室内は粉煙で真っ白になり、非常ベルが鳴り続けた――。東日本大震災で深刻な事態に陥った福島第1原子力発電所。地震発生時に原発内で働いていた複数の作業員が、当時の緊迫した状況を振り返った。
「天井や壁のコンクリートのかけら、配管上のほこりと思われる粉煙が立ちこめ、霧のように真っ白になった」。定期検査中だった5号機の建屋2階で保守作業をしていた男性(38)は、足場のパイプにつかまって地震の大きな揺れに耐えた。
屋外に避難する途中、天井の空調ダクトにあいたすきまから「プシュー」という音とともに空気が噴き出した。敷地外へ逃げていると背後から「パーン」と破裂音が響いた。門の前の陥没した道路には、軽トラックが落ちていた。
定期検査中の4号機建屋内にいた男性(41)は、全面マスクにカバーオール、ゴム手袋の重装備で作業中だった。揺れの直後に停電が起き、非常灯の明かりの中、懐中電灯を手に同僚らと非常口へ。周囲には非常ベルが鳴り響いていた。
同じく4号機で作業中だった男性(63)が出入り口にたどり着くと、普段は厳重に放射線量の検査をしている二重扉が開けっ放しになっていた。何百人という作業員が「津波が来るぞ」と叫びながら一斉に外へ飛び出した。
敷地内の廃棄物処理棟にいた20代の男性が屋外に出ると、1号機の建屋の外壁の一部がはがれ、構内放送の複数の警報音が重なるように鳴り響いていた。「原子炉は緊急停止したみたいなので大丈夫だろう」。そう考えて自宅に向かった。
しかし、津波で電源が断たれ、炉が冷却できなくなった原発は深刻な状況に陥った。上司は今も原発内で復旧作業に携わる。現在、県内の避難所に身を寄せる男性だが、「今後も人手が必要になる。交代要員として声がかかれば行くつもり」と話した。
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