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【社会】

圏外でも100ミリシーベルト 放射性ヨウ素の拡散試算

2011年3月23日 23時49分

 枝野幸男官房長官は23日の記者会見で、福島第1原発を中心にした放射性ヨウ素による被ばく線量について、屋内退避の範囲である30キロ圏の外側の一部地域でも「100ミリシーベルト以上の被ばく線量となりうるケースがある」との試算結果を明らかにした。

 原子力安全委員会の班目春樹委員長によると、事故発生後の12日午前6時から24日午前0時までに、1歳児が一日中ずっと屋外にいたと仮定し、被ばくしやすい甲状腺に放射性ヨウ素が取り込まれる線量を推定した。より年長の子どもや大人の被ばく量はもっと少ないという。

 放射性物質の拡散についての試算は初めて。100ミリシーベルトを超える範囲は、北西方向に約50キロの福島県伊達市南部や、南南西方向に約40キロのいわき市の東部にまで広がり、ほかに南相馬市、飯館村、川俣町、浪江町、葛尾村、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町の一部が含まれた。

 枝野長官は「直ちに避難や屋内退避をしなければならない状況とは分析していない」とした。その上で「念のため、所在場所が原発の風下に当たる場合には、できるだけ窓を閉め、密閉した屋内にとどまることを勧めたい」と注意喚起した。

 100ミリシーベルトの被ばく線量は「退避の際に予防的にヨウ素剤を服用したほうがいいレベルだが、甲状腺疾患への影響は心配されない水準」という。

 班目委員長は記者会見で「非常に保守的な厳しい条件の結果。現段階では余裕があり、直ちに対策は必要ない」と話した。

 試算したシステムは、文部科学省が運用を委託する原子力安全技術センター(東京)に設置した「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」。

 大気中の放射性物質の測定値と、これまでの気象情報を踏まえて、放射性ヨウ素による甲状腺の被ばく量を推計した。放出源の情報がなく、観測結果に基づいて逆算して導いた。濃度に応じて赤から水色まで5段階に色分けした放射線が、原発から徐々に広がる様子が地図上に表示される。

(共同)
 

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