小沢元代表:離党、議員辞職を否定

2011年1月31日 20時36分 更新:1月31日 22時13分

強制起訴を受け、コメントを読み上げる民主党の小沢一郎元代表=衆院第1議員会館で2011年1月31日午後6時3分、西本勝撮影
強制起訴を受け、コメントを読み上げる民主党の小沢一郎元代表=衆院第1議員会館で2011年1月31日午後6時3分、西本勝撮影

 民主党の小沢一郎元代表は31日、強制起訴を受け国会内で記者団に「今後も国民の生活が第一の政治を実現するために、民主党の国会議員として努力する」と述べ、離党や議員辞職を否定した。菅直人首相は小沢元代表に対し、離党勧告などを含めた処分を検討する構えだが、党内の反発が強いことを踏まえ、野党側の動きや世論の反応を見極めて慎重に対応する。政権の求心力が低下するなか、実現可能性は不透明だ。

 小沢元代表は「何一つやましいことはない。裁判で無実が明らかになる」と主張した。執行部が処分を検討している点についても「(強制起訴は)一般の検察の起訴とは全く異質だ」と指摘。小沢元代表の元秘書の石川知裕衆院議員が起訴されて民主党を離党した前例などとは異なるという考えを示した。その上で国会招致についても「今後は公開の法廷で真実を述べる」と応じない考えを示した。

 これに対し、菅首相は31日、首相官邸で記者団に「民主党の代表を務めた小沢元代表が起訴されたことは大変残念だ。岡田(克也)幹事長を中心に役員会などで協議することになる」と述べ、処分を検討する考えを表明。国会招致についても「国会で説明される必要はある」と指摘した。

 党の処分には、多数決による常任幹事会の決定が必要となる。党員資格停止、離党勧告、除籍(除名)の処分を行う場合、倫理委員会の意見を聞く手続きも必要。執行部は処分を検討する役員会を週内に開く方針で、岡田氏は記者団に「処分の前例、国会で説明が実現しなかったことなどをふまえて検討する」と語った。

 菅首相は年頭所感で「政治とカネの問題に対する失望を解消する」と宣言し、1月4日の年頭会見では小沢元代表の強制起訴時の対応について「政治家として出処進退を明らかにすべきだ」と述べた。国会招致が実現せず処分もできなければ、「政治とカネ」のけじめをつけられない政権として、首相の指導力にも疑問符がつく。

 だが、11年度予算案と関連法案の見通しが付かずに行き詰まる「3月危機」が現実味を増すなかでは、小沢元代表に離党勧告を迫る求心力に乏しい。脆弱(ぜいじゃく)な政権を見透かした非主流派は「外部から言うべきではなく、冷静に見守るべきだ」(鳩山由紀夫前首相)と処分に反対の姿勢。参院で野党が過半数を占めるねじれ国会で発言力を強める輿石東参院議員会長も31日、「(処分が必要ないとの)考えは変わっていない」と重ねてクギを刺した。

 強制起訴を受け事実上、政治活動が制約される小沢元代表は、党内の影響力維持に腐心している。31日夜には東京都内の日本料理店に小沢グループと鳩山グループの幹部十数人を集め、結束を誇示。党内には中間派の議員らを中心に、党内の混乱を起こしてまで小沢元代表の問題にけじめをつける必要はない、という意見も浮上している。執行部内には離党勧告より一段軽い党員資格停止を模索する動きも出ており、党幹部は「処分をしてもしなくても反発が出る」ともらした。【葛西大博】

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