新燃岳噴火:大量マグマ、長期化必至…東大など調査報告

2011年1月30日 20時20分 更新:1月31日 1時17分

道路に面した自宅前の火山灰を取り除く住人=宮崎県都城市夏尾町で2011年1月30日午後1時32分、加古信志撮影
道路に面した自宅前の火山灰を取り除く住人=宮崎県都城市夏尾町で2011年1月30日午後1時32分、加古信志撮影
※国土地理院と東大地震研のデータを基に作成
※国土地理院と東大地震研のデータを基に作成

 30日に3度目の爆発的噴火を起こし避難勧告が出された霧島山系新燃(しんもえ)岳(1421メートル)は、約300年ぶりの本格的な活動に入る可能性も出てきた。東京大地震研究所などの観測チームは同日、東京都内で開いた報告会で、噴火前に地下で増えたマグマ量の半分程度しか噴出していないとする分析結果をまとめ、「長期化することは避けられない」と指摘した。さらに、29日夜から周辺で、これまでにない長い周期の地震波が観測され「近い将来噴火を繰り返す可能性もある」として注意を呼びかけている。

 現地調査した中田節也教授(火山学)によると、火山灰の分布範囲などから推計した26~28日に噴出したマグマ量は、計270万~370万立方メートル。噴火前に蓄積された地下のマグマ量は、国土地理院の推計で、火口の西北西約10キロ、地下約6キロのマグマだまりに600万立方メートル、火口の直下約3キロのマグマだまりに100万立方メートルの計700万立方メートルとされる。中田教授は「まだ半分程度しか出ておらず、まだまだ長期化することは避けられない」とする。上空からの調査では、直径約700メートルのすり鉢状の火口には、複数の小さな火口が並び、中央には直径約50メートルの溶岩ドームが見つかった。

 大噴火につながる見通しについて、中田教授は、江戸時代にあった前回の大噴火(享保噴火)を参考に挙げる。1716年から現在のようなマグマの上昇に伴う噴火が3カ月程度続き、7カ月沈静した後に大噴火に至った。この時に噴出されたマグマ量は約1億立方メートルとけた違いに大きい。現在、地下に蓄積されているマグマが徐々に消費されて終息に向かうのか、マグマの供給が続いて大噴火につながるかは「現時点では分からない」(中田教授)という。

 ◇「ドーム飛ばす噴火も」…長周期地震波を観測

 一方、同研究所の武尾実教授(火山学)は、29日夜以降に火口周辺でこれまでに見られなかった長い周期の火山特有の地震が起きていると報告。溶岩ドームがマグマの出口の「ふた」になり、ガスの圧力が、マグマの通り道となる火道で高まっている可能性があり、「ドームを吹き飛ばすような爆発的噴火が起こる懸念もある」と分析した。時期や規模に関しては現状では分からないという。

 今後、注意すべき現象として、軽石の飛散と、降り積もった火山灰が流れる泥流や土石流などがある。中田教授は「雨が降れば泥流が起こるのは100%間違いない。川などに近づかないことが重要だ」と警戒を呼びかけた。【八田浩輔】

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