エジプト:新首相指名、組閣命じる 情報長官が副大統領に

2011年1月30日 1時29分 更新:1月30日 1時43分

 【カイロ和田浩明、樋口直樹】エジプトのナジフ内閣は29日、国内各地の反政府騒乱を受けたムバラク大統領の指示で総辞職した。国営テレビによると、ムバラク大統領は同日、新首相にアハメド・シャフィク前民間航空相を指名、組閣を命じた。またオマル・スレイマン情報長官を副大統領に指名し、長官は即日就任した。大統領が副大統領を置くのは初めて。一方、全土で発生した大規模デモから一夜明けた同日も、首都カイロや北部アレクサンドリア、スエズなどで大統領の退陣を求めるデモが再び発生。国営テレビは外出禁止時間が「午後6時~午前7時」から「午後4時~午前8時」に延長されたと報じたが、カイロでは午後4時を過ぎてもデモ隊は外出禁止令を無視し、大統領退陣を求めて集まっている。

 ロイター通信の独自集計では、これまでの死者数は74人に上った。エジプトの保健当局は死者数を38人としているが、中東の衛星放送アルジャジーラは100人を超えたと伝えた。AP通信によると、負傷者も2000人以上。各地で多くの遺体が収容されており、死傷者数がさらに増える可能性がある。

 民主勢力結集を目指すエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長は辞職を拒否した大統領に「失望した」と発言し、デモ参加を続ける意向を示した。自宅に軟禁されたとの情報は否定した。

 カイロ中心部のタハリール広場では29日も約5万人の市民が集まってムバラク大統領の退陣を要求。ロイター通信によると、アレクサンドリアでも数千人規模のデモ隊と警官隊が衝突し、警官隊が実弾を発砲するなど全土で予断を許さない状態が続いている。カイロで市民約1000人が内務省の建物に突入を図り、警官隊が発砲したとの情報もある。

 国軍は治安維持のため、戦車や装甲車を幹線道路に配置するなど、国内の要所で展開。国軍は声明で、夜間外出禁止令の順守やデモ自粛を求め、違反者には「法的措置を取る」と警告した。

 28日午前から当局が導入したカイロなどでの携帯電話遮断は、29日午前に一部解除されたが、つながりにくい状態が続いている。インターネットは遮断されたまま。

 国営テレビによると、全銀行とカイロ証券取引所は30日の営業を休止する。騒乱の経済への影響を受けた措置とみられる。

 また、AP通信によると、国軍は29日、世界遺産に登録されているカイロ郊外の観光地「ギザのピラミッド」周辺も軍用車両で封鎖した。

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