2011年1月29日 11時47分 更新:1月29日 12時11分
【ワシントン斉藤信宏】28日のニューヨーク金融市場は、エジプト情勢の緊迫化に伴う中東地域の不安定化への懸念が高まり、株式が急落する一方、「質への逃避」から債券や金が買われた。原油先物相場は急騰した。
株式市場ではダウ工業株30種平均が前日終値比166.13ドル安の1万1823.70ドルと急反落。終値ベースで20日以来、約1週間ぶりの安値となった。下げ幅は昨年11月16日以来の大きさ。ハイテク銘柄主体のナスダック総合指数も同68.39ポイント安の2686.89と反落した。同日朝発表された10年10~12月期の米国内総生産(GDP)は3.2%増と堅調だったが、エジプトでムバラク大統領退陣を求める大規模デモが発生。軍が出動したと伝わると、投資家の間にリスク回避の姿勢が強まった。
「質への逃避」で米国債は買われ、価格が上昇(利回りは低下)。金先物相場(2月物)も前日終値比22.30ドル高の1オンス=1340.70ドルと急上昇した。
一方、28日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、指標の米国産標準油種(WTI)の3月渡しが一時、前日終値比4.09ドル高の1バレル=89.73ドルと90ドルの大台寸前まで急騰した。終値は3.70ドル高の89.34ドルだった。反政府デモの激化を受け、投資家の間では「エジプト政府がスエズ運河を閉鎖すれば、原油輸出が滞る」との観測も広がった。