エジプト:夜間外出禁止 エルバラダイ氏軟禁か

2011年1月28日 20時37分 更新:1月29日 16時21分

カイロで、警官隊からの催涙弾を避けるデモ参加者=2011年1月28日、AP
カイロで、警官隊からの催涙弾を避けるデモ参加者=2011年1月28日、AP

 【カイロ和田浩明】ムバラク大統領の強権支配に反発する反政府デモや騒乱が続くエジプト各地で28日、イスラム教の金曜礼拝に合わせた数千~1万人規模のデモが発生した。AP通信などによると、少なくとも市民1人が死亡、数十人が負傷した。AP通信は、治安部隊がカイロ中心部でのデモに参加したエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長を自宅軟禁したと伝えた。また、国営テレビによると、軍が出動したほかムバラク大統領は同日夕、カイロ、スエズ、アレクサンドリア3市に夜間外出禁止令を出した。

 ◇死者8人に

 25日に始まった反政府デモに伴う死者はこれで、治安部隊員2人を含め8人となった。AP通信によると、反政府デモは28日現在、エジプト28県のうち少なくとも11県に拡大した。

 イスラム社会では、金曜日にモスク(イスラム礼拝所)で集団礼拝が行われる。金曜だけは礼拝に集まることを禁じることはできない。そのうえデモを主導するグループ「4月6日運動」は、この日に合わせインターネット上で動員を図った。

 カイロ中心部タハリール広場周辺では28日午後、数千人規模のデモが発生した。エルバラダイ氏も参加し、治安部隊が支持者らに放水。同氏は一時、近くのモスクに避難した。AP通信は治安部隊がその後、同氏を自宅軟禁したと報じたが、ロイター通信は同氏がモスクを出て再びデモに参加したと伝えている。また、市民の一部が治安部隊の催涙ガスや放水、こん棒による殴打などを受け、数十人が負傷した。

 地元テレビによると、警官隊の中には制服を脱いでデモに参加したり、鎮圧命令を拒む者も出ている。東部スエズでは群衆が警察署に放火し、銃などを略奪。少なくとも市民1人が死亡した。

 国民の不満の背景には、高い失業率と高騰する物価がある。公式失業率は10%弱だが、15~24歳の若年層の失業率は3割超ともいわれる。人口の2割が1日2ドル未満で暮らす貧困層で、庶民の反政府感情に直結している。

 デモ組織関係者は「ムバラク政権打倒」「政府が代わるまで運動を続ける」と主張する。一方、ロイター通信によると、カイロ中心部ではエジプト軍の軍用車両が目撃されている。AFP通信は大統領が軍に治安出動を命じたと伝えており、政府は徹底的にデモを弾圧する姿勢を鮮明にしている。

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