2011年1月28日 20時3分 更新:1月28日 22時40分
2月3日の節分を前に流通各社が恵方巻きに力を入れている。節分に食べると縁起が良いとされる関西地方の風習だったが、今や全国に定着。今年はサラダ巻きや高額品も登場するなど多様化している。一方、豆まきの風習は押され気味で、主役の座を脅かされつつある。
セブン-イレブンは今年、シーフードをマヨネーズであえて巻いた「サラダ恵方巻」(390円、長さ8.5センチ)を展開する。通常、かんぴょうやシイタケ、アナゴなどを具材に使うが、子どもでも食べやすいようにアレンジした。ローソンはコンビニとしては高価な1本680円(長さ9センチ)の商品を投入。京都・清水寺で祈とうしたのりを使用し、「縁起物として受験生にも食べてもらいたい」という。百貨店では三越日本橋店が伊勢エビやタラバガニ、金粉を使った1本1万500円の恵方巻きを用意。イトーヨーカ堂も、うにやいくらを使った1本2500円の恵方巻きを用意した。菓子業界でも恵方巻き人気にあやかり、江崎グリコが人気菓子「コロン」を恵方巻きに見立てた商品(長さ26.5センチ)を販売するなど分野を超えた広がりを見せている。
博報堂生活総合研究所の調べでは、全国で昨年の節分に「恵方巻きを食べた人」は47.6%で、「豆まきをした人」の43.7%を上回った。東京都内の豆加工業者で作る東京都煎豆落花生商工業協同組合は「豆をまいた後の掃除が面倒くさいという人が増えている」といい、業界では風習が薄れていくことに危機感を募らせている。【谷多由】