2011年1月28日 13時25分 更新:1月28日 20時7分
議員1人当たりの有権者数を比較した「1票の格差」が最大5.00倍だった10年7月の参院選を巡る選挙無効訴訟の判決が28日、福岡高裁と同高裁宮崎支部であった。福岡高裁は格差を「違憲」とし、宮崎支部は「違憲状態」と判断した。選挙無効の請求はいずれも棄却した。
10年参院選を巡る同種訴訟はこれまでに8高裁・6高裁支部に起こされ、違憲判決は3件目。「違憲状態」「合憲」と判断は分かれており、最終的には最高裁が判断を示すことになる。
福岡高裁の広田民生裁判長は「格差は国会の立法裁量上認められる範囲内とは到底判断しえない不平等状態にある」と述べ「改正する時間は十二分にあったのに国会は怠った」と格差是正に対する国会の取り組みを批判し、違憲判断を示した。
さらに広田裁判長は、参院の選挙制度の抜本改正を阻害している最大の要因は都道府県単位の選挙区割りにあると指摘。「交通・通信手段の発達や居住圏の広域化で、必ずしも都道府県単位で選挙区を構築する合理的根拠は消失ないしは希薄化している」と述べ、都道府県を超えた枠組みでの選挙制度見直しにも踏み込んだ。
一方、宮崎支部の横山秀憲裁判長は「著しい不平等状態が生じていた」と違憲状態にあったとしながらも「国会は格差是正と選挙制度見直しを検討しており、国会の裁量権の限界を超えたとは言えない」と結論づけた。
同参院選の議員1人当たりの当日有権者数は、全国最少の鳥取選挙区と最多の神奈川選挙区との間で5.00倍▽福岡選挙区との間で4.20倍▽宮崎選挙区との間で1.92倍だった。【岸達也】