2011年1月28日 12時28分 更新:1月28日 18時27分
鹿児島、宮崎県境の霧島山系新燃岳(しんもえだけ)(1421メートル)は28日も噴火活動を続けている。噴煙は西風の影響を受けて主に東側の宮崎県域に流れ、宮崎地方気象台によると、宮崎県内の降灰範囲は小林市、西都市など6市町に広がり、計12市町に及んだ。宮崎空港は同日午前10時ごろ~午後1時20分、降灰除去作業のため滑走路を閉鎖した。宮崎県都城市と同県高原(たかはる)町では小中学校13校が休校。農業や観光など経済への影響も出始めた。【村尾哲、小原擁、川島紘一】
鹿児島地方気象台によると、火口からの噴煙高度は28日午前9時現在で約800メートル。27日の最高値は約3000メートルだった。ただ、27日にあった爆発的噴火(爆発)は、噴火高度が比較的低くなった直後だったこともあり、同気象台は「小康状態とは言えず、いつ大規模化してもおかしくない」と警戒を呼びかけている。
宮崎県都城市の小中学校は登下校の安全を考慮し、7校が休校を決めた。また、保護者による車での送迎や始業時間を遅らせるなどの対応を取った小中学校もあった。同市吉之元町の市立吉之元小学校(14人)に長女(7)を車で送ってきた主婦、吉田千穂子さん(35)は「火口から近く、時折揺れがあって怖い」と話した。車にはいつでも避難できるように、2、3日分の洋服や通帳などの貴重品のほかカップめんなどの食料も積み込んでいるという。
同小6年の冷水龍二君は「揺れなくなったと思ったら、またすぐに揺れたりしてどうなるのか怖い」と話した。
同県高原(たかはる)町では町内全小中学校6校が休校した。
宮崎県によると、降灰による農作物の被害面積は27日までに約7270ヘクタールに及んだ。ホウレンソウやキャベツなどの露地野菜は収穫しても洗浄が必要になるという。ビニールハウスなど農業用施設も降灰で光が届かなくなり生育への影響が懸念されるという。
新燃岳から南に約5キロにある鹿児島県霧島市霧島田口の霧島神宮温泉郷。霧島山系や高千穂峰への登山口があり、観光客や登山客に人気だ。27日夜から28日朝に降った火山灰の影響で、道路は一面真っ白。車が通るたびに灰が巻き上げられる。観光客らの姿はほとんど見えない。
同温泉郷内で民宿を経営する上村昌也さん(32)は「今は登山客が少ないからいいが、登山客が増える春先までに収まるのかどうか」と落胆した様子。予約客などから問い合わせやキャンセルが増えているという。
噴火の影響で交通機関の乱れも続いている。JR九州によると、日豊線や吉都線で一時運転を見合わせた。レールの継ぎ目やポイントに灰が入り込み、電流が流れないなどの影響で列車の位置が把握できなかったり踏切が作動しない危険性があるという。
宮崎自動車道も田野-小林間が視界不良のため通行止めとなった。