エジプト:エルバラダイ氏帰国、デモ参加へ 地方で銃撃戦

2011年1月28日 11時52分 更新:1月28日 12時30分

カイロの空港に到着し、報道陣の取材に答えるエルバラダイ氏=2011年1月27日、AP
カイロの空港に到着し、報道陣の取材に答えるエルバラダイ氏=2011年1月27日、AP

 【カイロ和田浩明】エジプトのムバラク大統領の長期政権に反対する大規模な反政府デモは27日(現地時間)、3日目に入り、治安部隊と銃撃戦を繰り広げるなど地方都市で先鋭化した。これまでの死者は治安部隊員2人を含め7人に上る。28日に最大級のデモが予定される中、エジプトの民主化を訴えデモ参加を表明していたエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長が帰国。デモが勢いづき、騒乱が一層拡大する可能性が高まっている。

 ◇当局、ネット遮断か

 AFP通信などによると、シナイ半島北部の町シェイクズウェイドで抗議デモがあり、銃撃戦が発生。参加していた青年が頭部を撃たれて死亡した。この直後に住民約300人が警察署を取り囲み、対戦車ロケット弾2発を発射した。この町には遊牧民が多く住み、待遇改善を求めて当局と長く対立してきた経緯があり、武装していた可能性がある。ロケット弾は医療施設に当たったという。

 また、25日以降の騒乱で3人が死亡したスエズでは27日も、拘束された住民の釈放を要求するデモ隊と治安部隊の衝突が継続。デモ参加者は消防署に火炎瓶を投げつけ、火災が発生した。

 こうした中、「独裁政権の打倒」を訴えるエルバラダイ氏が27日夜、自宅のあるウィーンから空路カイロに到着。28日のイスラム教の金曜礼拝後に行われる見通しのデモに参加する意向だ。エルバラダイ氏は記者団に「変革の要求は尊重されるべきだ。誰も暴力は見たくない。政権が拘束や拷問を止めることを望む」と話した。

 穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」も28日のデモ支持を表明。これに対し、治安当局は少なくとも幹部2人を拘束した模様だ。

 ただ、エルバラダイ氏は国外滞在が長いこともあり、民主化指導者としてふさわしいかなど、国民の間に異論もあり、情勢に与える影響は不透明だ。

 一方、カイロでは28日に入り、インターネットへの接続ができない状態になった。大規模デモを前に、当局側がネット情報の遮断を狙った可能性がある。

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド