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今、被災地の映像を目にする全国の子どもたちに/前編

このたびの東北地方太平洋沖大震災におきまして、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
目の前にある多くの困難を乗り越えられますよう、そして一日も早い復興を祈ります。


2011/03/16

今、被災地の映像を目にする全国の子どもたちに[前編]

不安や恐怖から幼い子どもの気持ちを守ろう

テレビでは連日、
被災地からの映像が、とぎれなく流れてきますね。

「死」の話に世の中すべてが向かっているような現在、それを見て不安になっている全国の子どもたちに対して、緊急にお話したいと思います。

身内を亡くした人々が悲しむ姿を見て、「命というのは儚いものだけれども、大切にしなければならない」と感じられるのは、小学生でも3~4年生以降の話。

幼児にとって、脈絡はわからないけれどもとにかく怖いという、つまり「死」はよくわからない「おばけ」のような存在なんです。


大人のような計算や判断をせずに映像を見ている小さな子どもたちは、地震や津波の事象を必要以上に怖がり、自分にも同じようなことが起こるという恐怖を持ってしまいます。

しかし、ほとんどの親は深く考えることなく、子どもといっしょにニュースを見てしまいます。

しかも親が自分の気持ちを口にして、「ひどいことになったね。 地震が起こって死んじゃうと、もうママとパパにも会えないんだよ」などと話しかけたりする。 「死」について口にしたひとことが、いかに子どもたちを不安に落とし込むか、またダメージを与えるかをもっとよく知ってもらいたいと思います。


過去の震災に基づいた、具体的なアドバイス

私たちの研究グループは阪神大震災の直後に、ニュース映像をみた園児たちの反応を調査しました。

多くの子に夜泣きが始まった、母親のそばを離れなくなった、不登園の傾向が出始めたという報告があり、ある子どもは夜驚(やきょう)、爪かみ、チックといった神経症状が強くでて、治療が必要な段階にありました。

「死」というものを目の当たりにして、漠然とした、しかし激しい不安を持つようになったんですね。
ですので、私は今回お母さんたちに、次のことを基本に心がけていただけたらと思います。


◎子どもに被災した場所や亡くなった人を悼む映像を極力見せないようにする
  そのような映像を見て命の大切さを感じるのは小学生3~4年生になってから。
  子どもは恐怖心だけを感じる。 恐怖心を感じたからと言って、きちんと
  地震発生時に対処できるわけではない。 幼児には悪影響の方が多い。


◎見る際には親がそばにいること
  しかし、生活をする上でそのような映像を見ないわけにはいかないので、
  見る際には 子どもの不安を取り去るように、親が適切な言葉がけを
  しながら見るようにする。


◎見た後で「ママやパパがついているから絶対大丈夫だよ」と
  子どもに語り、安心させること



◎地震と死を結び付けた話を極力しないこと
  つい日常のしつけの中でこのような話題を出しがちになる。
  この蓄積が子どもの心を恐怖心でいっぱいにする。


◎「死んでしまったら…になるよ」という話をしないこと
  例えば、「ママやパパに会えなくなるよ」とか「お友達と遊べなくなるよ」とか
  「お菓子が食べられなくなるよ」とか。子どもにとってはそのような身近なことの
  喪失が最も心理的にかなり影響する。

また再会して抱き合って喜んでいる家族、ああいう姿であれば子どもたちに見せたいですね。



≪ [後編]につづきます ≫

後編では、不安がる子どもたちに安心感を与えるためのアドバイスをお話します。





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