GOSICKsⅡ―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車― 桜庭一樹
テーマ:サ行の作家- GOSICKsII―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車― (角川文庫)/桜庭 一樹
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生徒たちが、夏期休暇でいなくなった聖マルグリット学園に残されたのは、豪奢なドレスに身を包み、書物を片手に、お菓子にパクつく謎の美少女:ヴィクトリカと、極東の島国から留学してきた少年:久城一弥。
夏休みに起きた6つの事件が収録されていますが、主役の二人というよりも、彼らに関わる人々がメインで描かれています。
事件は、例によってトリックとも呼べないような謎ばかりなのですが、その謎に遭遇する二人にまつわる人々:サブキャラクターたちが、興味深かったです。
クラスメートの英国の留学生:アブリル・ブラッドリー。
男子寮のいろっぽい赤毛の寮母さん。
彼らの担任:セシル先生。
一弥の姉:瑠璃。
一弥のすぐ上の兄:寛(ゆたか)。
ヴィクトリカの兄:クレヴィール・ド・ブロワ警部。
警視総監の妻:ジャクリーヌ。
彼らの性格が、見事に描かれていて、読んでいて楽しかったです。
特に、私が気に入ったのは、一弥のおねえさんのエピソードである第四話「怪人の夏」です。
一弥の元に、届いた瑠璃からの手紙で彼女の身辺に起こった事件を、ヴィクトリカが例によって言語化します。
「GOSICKⅢ」 で、一弥に買い物を依頼してきたあの手紙です。
こんな事件が、はしょられていたんですね。
この第四話は、ほんっとに少女漫画の王道っぽくて好きです。
なんてったって、瑠璃さんの「はいからさん」が、かわいいの。
そして、瑠璃の許婚:武者小路さん。
いいわー。
大きなからだと、髭もじゃの顔。
ルックスは、イケてないんですよねー。
でも、。。。
未婚の17歳の女子が、行き遅れの時代。
働くなんてとんでもない。
親の決めた許婚の元に、黙って嫁ぐのが常識の時代に、彼女の意志をこっそりサポートしてくれる武者小路さんに、瑠璃と同じように、ちょっとドクンとしました。
この幸せ者め。
未来というものは、とても不安で、それでも、新しい発見や、希望があるように思えたんです。
それと、もう一人、恋に不器用な男:クレヴィールのドリル頭が、二股に分かれた謎が、第六話「初恋」で解けます。
相変わらず、おかしなヤツ。
クールなんだか、オマヌケなのか。
彼を純情な青年にしてしまう、初恋の相手:ジャクリーヌが登場です。
この彼女も、また変ですよー。
でも、こういうエピソードが、彼のキャラを憎めなくしているのも事実です。
だけど、やっぱり笑えるなぁ。
最後に、セシル先生のステキな言葉をピックアップしておきます。
一弥とヴィクトリカのふたりの行く末も、こうならいいのになぁと思います。
それにしても、遅い本編最終巻。
気になるゾ。
「そうよ、きっとね。人は本当に大切なお友達とは、離れても、また逢えるはずなの」
1 ■瑠璃さんの「はいからさん」
今年の予算消化してしまったので、個人的に買って読みました。読後は学校に寄贈です。(って、この先ずっとそうなりそうな…)
って、そんなことはともかく、おもしろかったです。登場人物の周辺にそんなことがあったのかと…。
特に青子さんも取り上げていらっしゃる瑠璃さんの「はいからさん」。見かけと違い、彼女の生き方を尊重してくれる久城家の男にはみられない武者小路さん。男嫌いもそう長く続かないかもしれませんね。いいなぁ~。この続きもそのうち日本からの便りなんかで、届けてもらえないかなぁ~。
GOSICK6早く届くといいですね~。