2011年1月27日 20時25分 更新:1月28日 1時8分
ソニーは27日、携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の後継となる新型機、「ネクストジェネレーションポータブル(NGP。仮称)」を年末に発売すると発表した。従来の無線LAN(構内情報通信網)に加え、携帯電話回線に対応することで通信機能を強化。任天堂も裸眼で三次元(3D)映像を楽しめる「ニンテンドー3DS」を2月26日に発売する。携帯ゲーム機は、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」のように、ゲームもできるスマートフォン(多機能携帯電話)に押され気味で、国内ゲーム2強は機能向上で巻き返しを図る。【弘田恭子、宇都宮裕一】
「究極のエンターテインメント体験を提供するのはソニーの使命」。ソニーでゲーム事業を統括する平井一夫執行役は東京都内で会見し、機能強化による需要掘り起こしへの意欲を強調した。
ソニーが携帯型ゲーム機の新シリーズを投入するのは04年以来。画面は5インチで指で触れて操作する「タッチパネル」式。スクリーンに高精細な有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を採用することで画像解像度を高めた。画面にタッチすると「ゲームの世界に直接触れる感覚が得られる」という。携帯電話回線につなぐことで外出時にもソフトなどをダウンロードしやすくなるほか、全地球測位システム(GPS)機能も備える。
ソニーは27日、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した多機能携帯端末向けに人気ゲームソフトを提供することも発表し、アップル端末への対抗策を鮮明にした。
ゲーム出版大手「エンターブレイン」の調べでは、10年の国内ゲーム市場規模は前年比9%減の4937億円。ゲーム機の普及が一巡したことや景気低迷が原因で、過去最高だった07年の6877億円から3年連続の市場縮小となった。
その一方で人気を集めているのが、「iPhone」などのスマートフォンや携帯電話でゲームをダウンロードして遊ぶスタイル。専用機に比べてソフトも安く、短時間でも遊べる手軽さや音楽や電子書籍も楽しめる点が受け、利用者が増えている。
こうした「ゲーム専用機離れ」に歯止めをかけようと、任天堂も「ニンテンドー3DS」を投入する。テレビ局が無線で無料配信する3D映像の受信サービスを始めるなど、スマートフォンを意識して通信機能を強化。携帯電話向けゲームソフトが数百円でダウンロードできる値ごろ感で支持を広げているのに対抗し、3DSではあらかじめ本体に複数のゲームを組み込む。予約は好調で各家電量販店の2月26日販売分の受け付けは終了した。
ソニーもNGPで携帯電話回線を使うことで、従来PSP向けにも行っている動画やマンガの配信サービスの利便性を向上させ、利用層の拡大を図りたい考えだ。
エンターブレインの浜村弘一社長は「NGPは遠隔地のユーザーと文字で会話できるなど、通信機能の高さで新しい顧客を獲得する可能性がある。スマートフォンなどで短時間ゲームを遊ぶ人も取り込めるのではないか」と指摘している。