2011年3月12日19時44分
12日午後6時前に枝野幸男官房長官が行った記者会見の内容は次の通り。
【冒頭】
すでに報道もされております通り、福島第一原子力発電所において、原子炉そのもののものであるということは、今のところ確認されておりませんが、何らかの爆発的事象があったということが報告をされております。
現在、先程の党首会談以降、総理そして経産大臣を含めて、専門家をまじえて、状況の把握と分析、対応に全力であたっているところでございます。放射能について測定はきちっと行われておりまして、このあと6時過ぎにも直近の新しい数字がでてまいります。
現在のところ出てきております数字のもとでは、当初からこの間、冷却水の水を増やす、あるいは圧を弱めるために放射性物質の含まれているものであるけれども管理されたもとで一部放出をするというような想定のもとで、想定される数値の範囲であるというふうに考えております。しっかりとこの放射性物質の数値の把握に努めて、周辺住民の皆さんの安全については万全を期しているところでございます。万全を期すという観点から、今回の事象は、東京電力福島第一原発の事象でございますが、第二原発についても念のため、従来3キロ圏内からの退避を指示をいたしておりましたが、10キロ圏内からの退避の指示に改めたところでございます。いま総理、経産大臣そして原子力の保安院そして原子力安全委員会、専門家を交えて、しっかりと情勢の把握、分析、そして対応につとめているところでございます。現時点でしっかりと放射性物質の測定が行われておりまして、この状況をしっかりと把握をしながら、周辺住民の皆さんの安全について万全を期しているところでございます。
また、万一の場合に備えたヨードの準備もしっかりといたしているところでございますので、大変、特に周辺の皆さんにとっては不安は多いかと思いますが、いま政府、東京電力、そして保安院、原子力安全委員会、総力を挙げて万全の対応につとめておりますので、落ち着いて対応をしていただきますようお願いを申し上げます。このあとしっかりと状況情勢の把握に基づいた分析と対応がお示しできる段階のもとに、大変ご関心、皆さんの関心も当然高い事象でございますので、適切に情報をお伝えをしてまいりたいというふうに思っているところでございます。なお、この福島第一原発の件に加えまして、あらためて私から何点かこの場を借りてお願いをさせて頂きたいと思います。まもなく夜になりますが、繰り返し申し上げてきておりますが、まだ余震あるいは津波の可能性は残っているということをぜひしっかりと意識をしていただきまして、避難所等に避難をしておられる皆さん、家の様子を見てくるなどのことを、これから夜間になりますので、くれぐれも避けて頂きまして、避難所など安全な場所にしっかりと頂きますようあらためてお願いを申し上げます。また二次災害のおそれ、交通等の混雑による救難活動の遅れの可能性もございますので、まだ二次災害の可能性のある現時点では、家族の方あるいはボランティアで協力をしたいという思いの方、少なからずいらっしゃるかと思いますが、被災地へ入ってくるということについてはくれぐれも慎重にご判断をいただきたいというふうに思っております。特に、津波の心配残っておりますので、海岸部あるいは河川の河口部付近には近づかないようお願いを申し上げます。
またこれはすべての国民の皆さんにお願いをいたしたいと思いますが、この地震と津波による原子力発電所あるいは火力発電所等の運転停止によりまして、いま発電量の総量が大きく落ち込んでいるところでございます。現在停電の地域の中にはまさに地震、津波の直接の影響で停電になっている地域もございますが、全体の発電量とのかねあいで停電になっている地域もございます。ぜひ、この地震・津波に国を挙げてしっかりと克服をしていくという観点から、すべての国民の皆さんに節電をお願いを申し上げます。ぜひ不要な電力については当分の間、使わないで節電につとめていただきまして、いま直接の地震の被害による停電以外の地域の皆さんが必要最小限の電力しっかりと確保できるようご協力をお願いを申し上げる次第でございます。
なおさらに、この間、特に、チェーンメールを通じて、事実とまったく異なっている情報をあたかも警察によるとなどのあたかも事実であるかのごとく装った形でのメール、チェーンメールが多数出回っていることを把握をいたしております。こうしたことはいたずらに不安感をあおるのみならず、それに対する対応で救出救難活動が遅れて、人命にかかわるということもあります。ぜひこうしたことは避けて頂きますよう、お願いを申し上げます。報道機関の皆さんが、各機関からの発表そして報道機関としてのしっかりとした取材に基づいて情報を的確に流していただいているというふうに思っておりますので、根拠のないそうした情報に惑わされることのないよう、またそれを広げる側に回ってしまうことのないようご協力をお願いを申し上げます。
なお、マスコミの皆さんにも2点お願いを申し上げます。適切な取材で国民の皆さんに的確な情報をお伝えするという役割は大変重要でございまして、そのことについてはそれぞれの判断と責任のもとに進めてもらいたいと思っておりますが、やはりこれ、上空からの取材がどうしても主になるということの中で、やはりヘリコプターの音が大変いろいろな妨げになるという声がいくつも届いているところでございます。ぜひこの点についてのご配慮をお願い申し上げますとともに、また取材とはいえ、津波等の危険のある地域に立ち入っての取材、報道などもいくつか見られておりますので、ぜひこの点については控えて頂ければありがたいと思っています。また、同時に上空からの映像などで、危険な地域に立ち入っていらっしゃる被災者の映像などが流れております。こうしたこと被災者の皆さん、心情はよく分かりますけれども避けていただきたいとお願いを申し上げてるところでございますが、こうした映像を流す場合には、こうした危険なことは避けてくださいなどといったコメントを付していただきますと、こうしたことは危険なんだということで二次災害のおそれ、リスクというものが小さくなるかというふうに思っておりますので、ぜひこうしたご配慮もお願いできれば幸いでございます。
最後に繰り返しもう一度最初の点について申し上げます。福島第一原発で生じました爆発的事象につきましては、現在、事実の正確、詳細な把握、分析、それに対する対応を菅総理、そして海江田経産相、原子力の保安院、原子力安全委員会、当事者の東京電力、総力を挙げて全力で取り組んで住民の皆さんへの被害が生じないよう全力を尽くしているところでございます。これまでにしっかりと放射性のレベルについては測定をし、それに基づいて皆さんへの指示を行ってきているところでございます。このあとまた6時過ぎにあらたな次の情報も入ってまいりますが、こうした放射線測定の数字に基づいて必要な待避などをお願いしてきておりますので、ぜひ落ち着いてそれぞれ関係の皆さん、避難所などにおられる方多いと思いますが、自治体、警察、消防、自衛隊総力あげて対応していただいておりますので、こうしたところの指示に従って落ち着いて対応を頂きますよう重ねてお願いを申し上げます。私からは以上でございます。
【質疑応答】
――福島第一原発の一号機の爆発。爆発で、圧力容器などが破損している可能性は
まさに現在、分析をしっかりと進めているところで、事実と異なるようなことを見通しということでも示して、それによって特に関係者の皆さんの判断、誤るようなことになってはいけないと思っている。住民の皆さんの待避などについてはしっかりと放射線レベルなどの測定はできている。原因についても、あるいはその原因に対する対処についても今、鋭意やっているので、しっかりと具体的にお示しできる程度の確からしさがあった場合には、その時点でしっかりと示したいと思っている。
――原子炉破損など最悪の事態が起きた場合でも10キロ圏外への待避で十分か
状況に応じて。これは常にこの間、その時点で想定される最悪のケースに備えて、現時点では10キロということをお願いしている。そういった意味では10キロとお願いした時点で想定される事態のなかでは10キロ以上のところにいていただいている、ほとんどの方がいていただいているということ。さらに新しい事象の分析の結果については、現時点では具体的なことを申し上げる段階ではないが、それぞれ把握した事態に基づいて最も万全の指示をさせていただいている。
――原子炉についても。先ほど確認されていないと言ったが、それは破損はないということか
何も確認していないというのは、今回の原因などについての最終的な事実を確認と、それから分析を含めて、きちっと今しているところなので、それがまとまった段階でしっかりとお示ししたい。
――原子炉が破損しているか、していないかということ自体が確認できていないと
今あらゆる、特に最悪の可能性を含めて、最悪の可能性を次々と一個ずつ消しながら事実の確定、あるいは現在対応すべき万全の措置は何かということについて専門家の皆さん含めて分析をしていただいている状況なので、何か確認できていないとか、できているとかではなくて、そういったやり方で今とらなければならない万全の策を今鋭意整理しているところ。
――炉が破損しているか、していないかは極めて重要。政府としてそれは確認できているのか、できていないのか
確認をするということでは直接見てということは元々、平時でも炉について直接見るというのは簡単にできるものではないので、何をもって確認できるのかということの意味づけはあるかと思うが、現時点では今出している10キロ圏内からの待避ということを越えて万全の策を取らなければならない可能性は今、検討しているが、今の段階でそういったことは直ちにしなければならないという状況を認識しているものではないということは間違いなく申し上げる。今、計測結果などや分析に基づいて、さらに必要があれば、もちろんそれを開始するが、現時点ではまさに10キロ圏内から出ていただいていれば大丈夫であるという範囲のなかで認識をし、分析など進めている。
――今現在は10キロ圏外に出ていれば何の問題もないと。住民はこれで大丈夫なのか
3キロの最初の退避をした時点でも、その時点で想定される最悪のケースを想定して3キロ圏外に出ていただければとお願いした。そして、10キロ圏外の時も最悪のケースに備えて万全ということで10キロ圏外に出ていただいた。その今、そのケースのなかの範囲で物事は起きていると思っているが、さらに今回の新しい事象に基づいて今後の対応策について分析、検討しているところだが、それは起きている事象と放射線の計測と両面からやっているので、放射線の計測では前回の測定結果からは10キロ圏外にいる方はいまのところ大丈夫だという計測結果が1時間前の、失礼、30分ほど前だったでしょうか、発表されている状況。新たな情報に基づいて、その都度、万全の一番万全の策をお願いしていこうと思っている。
――爆発的事象が起きた後のデータでも、いまのところは10キロ圏外なら大丈夫だと
いま計測されているものでは。一回の数字がどうこうで決まるのではなく、その数字の変化とか継続性とかいろんなものでみて分析しないといけないということを専門家に指摘いただきながらやっている。いま分析してる状況を行うまでの間はこれで大丈夫ということだ。
――今後、計測結果が思わしくない場合は10キロ圏外からの避難をさらに広げる可能性は
これは常に安全確保のためには、常に万全を期すという方針でやっているので、あらゆることの可能性は常に持っている。その時点で把握している情報にもとづいて万全の措置をとる。
――政府としては爆発後、放射性物質が出た可能性が高いとみているのか
1号機については原子力の圧力を戻すことが全体の安全のためには必要ということで、管理されたかたちで若干の放射性物質が外にでることは想定してやってきた。一定の放射性物質が外にでることは想定していた。
――爆発によってか
今出ているがそれが、我々が当初から、正確にいうと東京電力が想定していたことにおけるものなのか、それ以外の要素が含まれているか、そのことについての分析をしている。
――政府としてそれは想定の範囲内か
常に最悪の事を想定しながら対応をしてきている。この事象は、起こる段階で想定していた範囲の中に含まれている。この事象を受けてさらに新たな分析をしている。
――政府はこれまで安全だいうことを強調してきたが、想定の範囲内ではなかったのでは
常に、最悪のケースに備えて、万全の策で住民のみなさんの健康安全のために万全の策をとるということで対処してきた。その中で、その時点で想定される最もリスクの高いケースに備えて避難などの指示を出してきているところ。その意味ではこの事象がおこる前に想定していた範囲10キロを超えたところに出てくださいということの想定の範囲内で起きていること。ただこの事象によって、新たな問題、リスクを検討すべきであるかどうか、いま検討している。
――その都度その都度ということだが、10キロ圏内で難しいとなった場合、15キロ、20キロとなった場合、移動手段などいろいろ問題出てくると思うが、あらかじめ最悪の事態を想定したケースを想定して指示しないのか
そのことも、避難については、これから夜になるということについては、これは専門家の分析というよりも、リスク管理の観点から当然想定の範囲には入ることと思っている。なお、自衛隊、消防、警察はじめとして関係機関の備えというか、それについてはあらゆる事態を想定して、昨夜の内からいろんな車両、あるいは人員を現地に向かわせ、到着させているところ。
――総理からどのような指示が
総理ご自身が専門家のみなさんの話、経済産業大臣の話を聞きながらやっているので、指示を出すというよりも、しっかりと住民のみなさまの健康の観点からつねに最悪のケースを想定して、万全の措置をとるということを事実上指示しながら経産大臣、保安院、原子力安全委員会、東電などと対応させていただいているところ。
――2号機もヨード配布が始まっていると認識していいか。
配布が現に行われているかどうかは現場の問題なので、配布できる状況はきちっと備えている。あとは現場のほうで状況、もちろんこちらと相談しながらではあるが、いつでも配布できる状態になってることは確認している。それは医療関係者、放射能の関係者のみなさんのところで必要な段階で配布をしている対応になっている。
――VTRで炉の外壁が崩れている。人的被害は
まさに、どの部分がどういう風に破損しているかについて、これこそまさに確実な情報をみなさんにご提起しなければいけないと思っているので、しっかりとその点を確認して公表できる時点では公表したい。
――現時点でわかっている範囲でどういった被害がでているのかについては
現時点で出ているのは、一定の爆発があって、それによって建物の一部が破損していることは間違いない。その破損の程度、破損の正確な部位については、これは正確を期して申し上げないと必要以上に不安をあおったり、逆に必要外に安心感をもっていただくことがあってはいけないので、正確を期して発表したい。
――10キロ圏外への避難の前提となる、想定する事態には原子炉本体の破損は含まれていないのか
こういうことがありうるということについては専門家の様々な分析に基づいて、そしてその場合に起きる最悪の可能性というものを想定して、そして万全を期すというのが経緯。その具体的な分析の中身は専門家からお答えいただいた方がいい。
――最悪の事態。専門家の一部からは現状でも20キロ圏内で避難をするべきだと指摘がある
そろそろ午後6時前後の放射線の測定などが上がってくる。まさに新たな事態を迎えたことでどういう対応を取る必要があるか、放射線の測定も含めて分析と検討をしていく
――映像見る限り、事故。政府が情報を出すことがおそいことで、被害が拡大しているのではないか
これはまさに正しい間違いのない情報をしっかりとお伝えをしなければいけない。逆に間違った情報を早く出すことによる過ちはこれこそ許されない。しっかりと事実関係を把握し、分析をし、必要な対処方針と一緒にお示しをするのが責任だ。
――今朝、首相が福島第一原発を視察した。視察で東電側で説明、警備などいろいろな作業が必要。作業が遅れたことはなかったか
そういったことは私はなかったというふうに思う。むしろ総理ご自身が現場で直接の対応してらっしゃる皆さんの認識や評価、あるいはその時点での事実関係をしっかりと把握をされて、いま対応をされているということで。むしろ対応には万全を期すために、必要なことだったのではないかと思っている。
――国民に節電をお願いという話。電力は平時から発電できる量からどのくらい落ち込んでいるのか
これはまさに原発だけではなくて、火力もある。それを今いろいろなところでフォローして頂いている。週が明けると経済活動なども動き出す。経済産業省の方に明日の遅くない時期までに整理、分析をしてどの程度対応、月曜になったところで対応が必要か、できるだけはやく整理するように要請をしている。
――想定される最悪のケースを考えながらと。今回の地震そのものが専門家の想定を超えた地震。10キロは法律で決まっているが、それを上回る超法規的な措置は
一般論で申してもご指摘の通りだと思っている。そして今回の地震は、いろんなご評価あるようだが、1000年に一度とか、観測史上もっともと強いとか、いろんなことがいわれている。いずれにしろ従来の我が国の地震、津波被害のある意味では常識以上の激甚災害だというふうに思っている。その結果として、原子力安全に対する対応も、地震津波前に想定されていた通りのことですべて行くなら、逆にそれにのっとって、あえていえば機械的に対応が進んでいく。まさに地震そのものが想定の範囲を超えているという表現がある意味でも当たるかもしれない地震であるがゆえに、一歩一歩の事象、ひとつひとつの状況にしっかりと分析をしながらやっていくところでございます。そしてこの地震がそうした地震であると含めて、その時点において考えられる万全の措置をとってきているということでありまして。その時点における想定できる万全の措置をこの間進めてきております。だからこそ、いまの時点で想定できる万全の措置がなんであるか、新たな事象が起きるごとに適切に分析をして、その都度対応にあたっていく。
――刻一刻と悪化している
そういうこともありうることも含めて常に万全の措置をとっている。では、どこまでやったらいいのか。もちろん、その場合は対応が足りないということは絶対あってはいけない。まさに想定を超えるような大きな地震と津波ということに対しても、そのことを前提に、その時点その時点で万全の措置をとっていくということで国民の安全を守る。
――この会見で首相が冒頭説明をされる予定だった
まさにこの事態に対応をするために、メディアの皆さんを通じて国民の皆さんに総理としてのメッセージや意思をお伝えすることは大変重要だと思っているが、それ以上にしっかりと対応することが重要であると。そうした事情の説明も含めて私から説明した。
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