小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書3人の公判が1日、東京地裁(登石郁朗裁判長)であった。元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)は、勾留中に取り調べを担当した元大阪地検特捜部検事、前田恒彦被告(43)=郵便不正事件を巡る証拠隠滅罪で起訴=から「小沢さんは終わりだ。ご無事をお祈りします」などとすごまれたと当時の様子を再現した。
大久保元秘書によると、前田元検事は昨年1月21日から2月4日まで取り調べを担当。「あなたが認めないと小沢さんはもっと大変なことになる」「小沢さんはうそをついている。おれたちは証拠を持っている」と言い、元代表の逮捕や自宅の捜索などを示唆したという。
また大久保元秘書は、前田元検事が立ち会いの検察事務官を退室させ1対1で取り調べをしたと説明。「今は作家の時間」「ここで大久保さん登場」などと独り言を言いながらノートパソコンを打ち調書を作成したと主張した。一方で前田元検事は「私もいろいろ悪いことをした。この事件を最後に検事を辞めようと思う」などと話したとも説明した。
検察側は、前田元検事が作成した大久保元秘書の供述調書5通の証拠請求を初公判直前に撤回している。
一方、西松建設を巡る違法献金事件に関する質問で、大久保元秘書は公共工事に絡んでゼネコン各社から陳情を受けていたことは認めたが、「天の声」を出していたとの検察側主張は「事実と異なる」と否定した。
検察側は、岩手県発注工事で便宜を図るよう依頼した西松建設元幹部に大久保元秘書が「よし分かった、西松にしてやる」と言ったとする元幹部の調書を引用。大久保元秘書は「虚勢を張った言い方をした」として事実関係を認めた。【野口由紀、伊藤直孝】
毎日新聞 2011年3月1日 21時13分(最終更新 3月1日 21時23分)