2011年3月23日0時20分
【ベルリン=松井健】ベルリン動物園は22日、19日に急死した人気のシロクマ「クヌート」について、解剖の結果、脳に病気があったと発表した。詳しい調査にはまだ数日かかるが、この病気が急死の原因である可能性が高いという。
クヌートは19日、園内の飼育場で過ごしていたが、ひなたぼっこしていた時に急にびくっと体を動かし、何度かぐるぐると回ってから後ろ向きで池に落ちて死んだ。動物園は「まったく突然の死」としている。昨秋、年上のメスのクマ3頭と同じ飼育場に移された後、メスのクマたちから攻撃された様子があったことから、「死因はストレスではないか」とも言われたが、動物園側は否定している。
クヌートは2006年12月生まれ。母親が育児を放棄したため、トーマス・デルフラインさんら飼育員が人工飼育した。ぬいぐるみのような子グマがデルフラインさんと一緒に遊び、甘える様子が放映され、人気が沸騰。07年3月の一般公開以降、世界のメディアと入園者が殺到した。
映画などにも登場し、温暖化の危機を訴えるシンボルにもなった。一方で、ほかのクマとなじめない時期が続き、人工飼育への疑問の声も上がっていた。
デルフラインさんも08年9月に44歳で心筋梗塞(こうそく)で死亡しており、人気のコンビがともに急死したことに、ドイツでは多くのファンがショックを受けている。
ベルリン動物園にはファンが花束やぬいぐるみを持ち寄り、ベルリン市長が「彼はスターだった」と述べるなど、多くの人から惜しむ声が聞かれた。同園は、ネット上に追悼の言葉を書き込むためのページを立ち上げた。
中東に駐在し、日々、中東の動きに接する川上編集委員が、めまぐるしく移り変わる中東情勢の複雑な背景を解きほぐし、今後の展望を踏まえつつ解説します。エジプトからの緊急報告も。