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【千葉】

浦安 四重苦の生活 液状化被害 洗濯も、トイレもだめ 

2011年3月22日

土砂に埋まった今川地区。断水、下水とガスの不通に加え、計画停電まである“四重苦”に見舞われた=浦安市で

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 幹線道路は大きくたわみ、至るところに亀裂が走り、段差ができている。JR新浦安駅前は歩道のアスファルトが隆起し、敷石は陥没している。地中から噴き出した大量の土砂が砂ぼこりとなり、終日市内を白く覆うことも。住みたい街として人気の浦安市。いまはその面影もない。(林容史)

 市内の四分の三が埋め立て地の浦安市は、中町、新町地区を中心に液状化現象が起き、地盤沈下で水道管や下水道管、ガス管が破損し、断水、ガスと下水の不通が続き、市民生活は大打撃を受けた。

 給水所通いを続ける同市日の出の主婦日高裕子さん(39)は「洗濯ができず、トイレも使えない。銭湯に行っても一時間待ちで…」と表情に疲れがにじむ。

 紙ナプキンで顔や体をふき、洗わなくてもいいよう食器にはラップを巻いている。食器の要らないインスタント食品が食卓に上る機会が増えたが、「子どもたちの栄養を考えると、あまり食べさせたくない」と悩む。

 市災害対策本部は当初、十七日の水道復旧を約束したが、その後訂正。日高さんは「みんな最初から無理って思ってたみたい。でも、水が出ても下水が使えないから意味がない」といら立つ。

 下水道について、市災害対策本部は「破損箇所の確認に手間取り、復旧のめどはまったく立たない」とし、市民には仮設トイレや簡易トイレを使い、水を流さないよう求めている。市には、断水が解消した地区で下水の使用禁止が徹底されていないことへの苦情が増えているという。

 市内にガスを供給する京葉ガス(市川市)によると、破損したガス管を交換する前に大量にたまった泥水を取り除かなければならず、復旧の大きな妨げになっているという。

 断水に加え、下水とガスの不通と“三重苦”の今川地区。十七日から始まった計画停電で“四重苦”に。

 同市今川二の主婦小野正子さん(56)は、近くから避難してきた娘一家と近隣市区の飲食店や入浴施設、コインランドリーに出掛けているが、給油所の大混雑に自家用車のガソリンが心配という。

 小野さんは「これからどうなるのか全然考えられない。埋め立て地とは知っていたけど、まさかこんなことになるなんて。また地価は上がったが、それどころじゃない」と力なく笑った。

 同市今川二に住む台湾出身の会社員許智敏さん(32)は「こんな状態じゃ生活できない。落ち着いたら帰ってくる」と台湾の実家に身を寄せるため羽田空港から飛び立った。

 当初から計画停電の実施に抗議し、回避を求めてきた松崎秀樹市長は「電気まで止まったら、避難所を再び開設しなければならなくなる」として、十八日に資源エネルギー庁長官あてに計画停電から除外してもらえるよう配慮を求めたが、同日夜の市内での計画停電は予定通り実施された。

 

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