2011年3月22日15時1分
別の仲卸業者も「放射能の影響がどれだけ尾を引くか想像もできない。関西、九州産のものに頼る時がくるかも」と懸念した。
産地も風評被害の打ち消しに努める。市場の白板には、茨城産レタスの放射性物質について「基準値を大きく下回る値であることを確認できた」と強調する貼り紙が掲示されていた。
市場の営業担当者は「過剰反応も目立つ。専門家もゆでたり、よく洗ったりすれば影響がなくなると説明しているし、政府は適切に広報してほしい」と話した。
農林水産省によると、2009年産ホウレンソウの出荷量は、この4県で全国の約17%を占める。(上沢博之)
■詳しく調査後、説明添え発表を
〈関沢純・元徳島大教授=リスク科学=の話〉これまで最も高い値の放射性物質が検出されたホウレンソウばかりを、1年間、毎日15グラム(日本人の1日の平均摂取量に相当)ずつ食べ続けても、胸のCT撮影の1回分に過ぎない。ホウレンソウは洗ったりゆでたりすると、付着した放射性物質がかなり除かれるし、実際にはホウレンソウを毎日食べることはない。
最も高い値の牛乳を1キロ飲むと、胃のX線検査の5分の1回分。子どもは放射性ヨウ素の影響を受けやすいので、規制値を超えた牛乳は避けることも考えていい。
私たちは普段の生活でも自然界からの放射線を浴びて問題なく暮らしている。規制値を超えたホウレンソウや牛乳を何度か口にしても、1年間に自然界から受ける放射線を超える量を体に受けることは考えられない。
出荷停止の指示で、規制値を超えた農産物は出荷されていない。流通業者などが、対象外の品目や周辺地域の農作物を忌避するのは風評被害につながり、控えるべきだ。
汚染食品を広げず、風評被害を防ぐためにも実態の把握が欠かせない。早く詳しい調査を実施し、調査結果は数値だけでなく、理解しやすい説明を添えて発表するべきだ。