2011年3月22日15時1分
政府が規制値を超える放射性物質が検出された福島、茨城、栃木、群馬の4県産ホウレンソウなどの出荷停止を指示したのを受け、東京最大の青果市場、東京都中央卸売市場・大田市場(大田区)では22日、ホウレンソウの取扱量が連休前の半分以下に激減した。
市場の一角には、段ボール箱が2メートルほどの高さに山積みにされていた。スーパーから返品されたり、買い手がつかなかったりした茨城産のホウレンソウだ。「使用禁止」の貼り紙がされたものもあった。市場の群馬県産ホウレンソウの相場欄も、棒線で消されていた。
青果卸売り大手の「東京青果」によると、連休前の18日まで、同社は同市場で1日約20トン前後のホウレンソウを取り扱い、その約6割を群馬、茨城県産が占めていた。それが出荷停止によって22日の取扱量は約8トンに激減した。同市場全体での取扱量も半分以下になった。
競りでは埼玉、千葉、神奈川県産などのホウレンソウが短時間で競り落とされた。だが品薄にもかかわらず価格は高騰しなかった。市場関係者は「震災や原発事故の影響で外食産業の買い付けが弱く、野菜自体の需要も下がってしまっている」と分析する。
出荷停止になった4県産の青果物は、出荷停止対象品目以外でも、買い手が付かずに積み上げられた箱が目立つ。都内の小売業者は、茨城県産のチンゲンサイの段ボールが山積みで競りに出ていることに目を見張った。普段は大手スーパーなどがまとめ買いしているため、大量に競りにかけられることはないという。価格は通常の10分の1以下まで暴落したものもあった。
ある仲卸の野菜担当者には、政府の昨夜の出荷停止指示後にスーパーからこんなファクスが届いた。「茨城産はとりあえずパス。無理なら欠品可」。購買中止の通知という。「冬野菜は関東が主力なので経営への打撃は大きい。今後、対象品目が広がったりすれば大変なことになる」