|
||
夏休み中のヴィクトリカと一弥を中心にアブリルや久城瑠璃たちのお話も絡めた連作短編集。
事件らしい事件も起きず、夏の日の下でごろごろ転がるヴィクトリカとそれに日傘をさしてあげる一弥の姿がひたすらに微笑ましいこと。
オカルト好きアブリルの地中海バカンス、某キャラの少女時代の友情、一弥を溺愛するお姉ちゃん・瑠璃の「怪人の夏、日本の夏」、ドリル警部グレヴィールの男心がせつない「初恋」。
謎解き要素はいつも以上に小粒なれど「GOSICK」世界を彩るキャラクタたちがなんとも魅力的で読んでて楽しいなあ。
特に今回初登場の瑠璃さんがかーわいいー。キャラも語り口も良かったし、瑠璃さん編また読みたいですにょ。
久城瑠璃と平井涼*1が学友だとか、河上君とどっかで出会うとか、そんな夢のコラボレーションやりませんか富士ミス編集部様さま。
雑誌掲載時にあった「怒りの表情で手紙を握りつぶすゾフィーさん」とか「少女時代のふたり」の挿絵が文庫に収録されてないのがちょっと残念。
ってか、そろそろ「GOSICK」画集出してもいい頃合じゃね?
感想:
アメリカ人のレイと女子高生の十子。
血のつながらない二人の、頼りなくも確かな家族の絆を描いた連作シリーズ「だからパパには敵わない」他、読み切り5篇を収録した作品集。
「だからパパには敵わない」は遠藤さんの中でも特に好きな作品の1つ。
レイのお茶目っぷりに笑い、不器用ながらも義理の娘を大切にしていこうと頑張る姿にしんみり…。
遠藤さんお得意の”人情”に溢れる実に味わい深い作品だよなあと再読して改めて思う。
今回併せて収録された短編もなかなかの粒ぞろい。
淡々とした中で”女の子の溜息”を描いた「エイミー」に元気いっぱいの世話焼き女子高生が魅力な「魔法のユキちゃん」あたりは名作ですよ。
心がささくれだったときに効きそうな一品。
*1:「平井骸恍此中ニ有リ」ヒロイン