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きょうのコラム「時鐘」 2011年3月22日
名前と年齢が延々と連なる。大震災で「亡くなった方々」という痛ましい欄が日々続く
本紙に最初に載ったのは宮城で11人、東京2人、千葉は1人だった。日を追って数が増える。文字と数字が並ぶだけだが、夫婦や家族と思われる人たちの名がある。幼児も、長寿を祝福されていた人の名もある。それぞれが突然の悲しみを帯びる名前の列である もう一つ、名前と数字が並ぶ欄に目が止まる。義援金を寄せる多くの人たちが紙面を埋める。知人の名もある。「少しでも力に」と短い言葉では言い尽くせぬ気持ちが、これも行間から伝わる 死者・不明者が2万人を超えた。不明だった祖母と孫が9日ぶりに救出された。そんな奇跡が何度も起きてほしいが、所持品などを基に各県警が名前を推定した「身元不明の方々」という欄もある。推定年齢や漢字が不明の片仮名表記も交じる。感情を伝えぬ文字と数字が、非情な爪痕を語ってあまりある 深い悲しみを伝える犠牲者の名、流した涙を義援金に託すこの地の人々。言うまでもない。悲しみの名が一刻も早く消え、善意の名が絶え間なく続きますように。 |