宛書きをする幸せ。岡井 千聖さん  2011/03/21(MON)
だれでも知ってることだけど  2011/03/20(SUN)
宛書きをする幸せ。中島 早貴さん  2011/03/19(SAT)
宛書き(あてがき)をする幸せ。塩田泰造  2011/03/18(FRI)
1974 稽古場日記 0311 池田稔「こりゃ芝居なんかやってる場合じゃねーな。サ、ぶっ通そうぜ」  2011/03/17(THU)
1974 公演について。お詫びと延期のお知らせ  2011/03/16(WED)
1974 稽古場日記 0310  2011/03/10(THU)
1974 稽古場日記 0306  2011/03/06(SUN)
1974 稽古場日記 0305  2011/03/05(SAT)
1974 稽古場日記 0227  2011/02/27(SUN)


宛書きをする幸せ。岡井 千聖さん

ちっさー こと 岡井千聖さんとはじめてお会いしたのも
前述のオトムギ初ゲキハロ『寝る子は℃-ute』でした。
はつらつとした笑顔と、さくっとボーイッシュな雰囲気、
風とおしのいいギャグセンスに惹かれ、茅奈(ちな)と
いう、物語に他のみんなとは別の切り口でからんでくる
「カリスマ占い師の娘」というスパイス的な存在の役を
宛書き(あてがき)させてもらいました

その宛書きは、じまんっぽくなっちゃってすみませんが、
岡井さんの魅力にばっちりあっていたようにおもいます。
・・そして、だけど稽古がはじまってしばらくたつうち、
ちっさーはそれ以外に、いつもはかくされた特別な力を
持っていることにぼくも大人たちも気づきはじめました

『寝る子は℃-ute』には主題歌があって、歌詞の一部に
『二人で手をつないで、星を見たくて』というパートが
あります。振り付けの先生は、当然「二人で手をつなぐ」
振りをつけていくのですが、二人ずつ組んだら℃-uteは
一人あまってしまいます。ぼくが、そのことに気づいて
「うっ、どうするべ」とあせる間も無く、岡井ちゃんは
タタッと一人で遠くに駆けていきながら「じゃー千聖が
『二人でー♪』のあいだは、一人でこうダンスやってて
『星を見たくて♪』の時に、サッてなっきぃと舞ちゃん
のとこに手をつなぎに行きます」と、一瞬で言いました。
誰もあせりだす前に、自分を犠牲にして解決しちゃった
・・なんじゃ??この娘は・・??

『寝る子は℃-ute』は、℃-uteの初めての本格的な舞台。
さぞかし不安も多かろうと、演出家塩田は信頼する仲間、
プロフェッショナル俳優たちを連れて現場に臨みました。
「稽古や舞台上でなにか困ったら彼らを頼ってください。
彼らは海千山千(うみせんやません)絶対なんとかして
助けるから」くらいのことを言っていました。そうして
はじめた稽古で、バカヒロという役の中神さんがセリフ
を忘れてシーンを止めちゃった時(稽古初めの中神さん
にはよくあること、オトムギ稽古なら笑い話なのですが)
塩田はぶち切れて「中神!そんなんじゃ たよれねえよ!
役者だろ、おめえ!」と激しく罵倒をしてしまいました

恥ずかしい話ですが、稽古場は凍ってしまいカズさんは
(めずらしく)うなだれています。そんな重たい空気で
再開した稽古は「バカヒロがボヤ騒ぎを起こした別荘を
みんなで復旧する」という、セリフのないフリー演技の
ちょっとミュージカルっぽいシーンでした。その時です。
皆は掃除や修理に大忙しなのに、一人だけなにもせずに
また煙草なんぞ吸おうとする(役の)中神さんに茅奈役
の岡井さんが(今までそんな動きは見せてなかったのに)
目を強く光らせてぽんぽんぽんぽんからんでいくのです。
言葉のない演技で「あんたも働きなさい。タバコなんか
やめろ」とうったえてるその姿は、まるで「ひっこむな、
ひっこむな、さっきのリベンジをしろ。大丈夫、大丈夫」
ってカズさんを力づよく元気づけているかのようでした
・・なっ、なんじゃ??この娘は・・??

その夜の呑み屋。カズさんは半泣きしながら言いました。
「タイゾーの手のつけられない本気切れで俺は滅ぶかと
思った。俺は俺は今日、岡井ちゃんに救われたんだぁー!
あの子は・・岡井ちゃんは、菩薩(ぼさつ)だぁーッ!」

はい。岡井千聖の いつもは封印された特別な力。それは
菩薩のこころ。ひとの 場の ピンチを引き受ける人間力。
それは初顔合わせの時点では気づけなかったことでした。

ぼくはなんとなく稽古中「今、この瞬間、稽古場の空気
どうかな?」っておもう時、無意識にちっさーの表情を
目で追うようになっていました。「ちっさーが無邪気に
はつらつと笑ってる時は、ばっちしオッケー。まっすぐ
真剣に目を輝かせてる時も、ばっちしオッケー。なにか
『ん?』っていう表情を見せてる時は、どこかかげりが
出てるのかも」って

次回ご一緒するときは、ぜひそこのところを書きたいな
と思って臨んだ今回の芝居です。

そんな『1974』は、作家の思い入れをドドーンと一気に
引き受けて、岡井さんの役は超大変な挑戦になりました
(どんな超大変かは是非12月の『サザンシアター』で
見届けてください!)
でも、稽古期間中、千聖さんは「たいへん」「できない」
とは決して言わずに、日に日に、前日の何倍も素晴しい
演技、目が離せなくなるシーンを魅せ続けてくれました。
回を重ねるごとに役になりきっていって、目がきらきら
輝きを増すのです。「どんと来い」感がすごいオーラを
放っているのです。ほれぼれする取り組み、化けっぷり、
格好のよさに、作家・演出冥利を感じずにはいられない
聖なる時間でした

ご本人が「今回はあたしとはもうぜんっぜんちがう役で、
だからすごいやりがいがあります」って言ってくれてる
のを耳にしてとても嬉しかったのですが、塩田としては
千聖さんからいただいたものをちょっとかたちをかえて
脚本に描いてみたつもりです

カズさんは衣裳合せ中に岡井ちゃんとお話したそうです

「あたしは演技が苦手で、℃-uteのみんなはなっきぃも
舞美ちゃんもすごい演技が上手で、ホントすごいんです、
あぁ舞美ちゃんの演技、見せたいなぁ」

ううん。そうかもしれないけど、今、ヒトのことそんな
すてきにほめたりしなくていいから。あなたはあなたの
能力の異常な高さに自分で気がついていないよ。前の日
に出来なかったこと絶対逃げずに自分のものにしてくる。
その姿は1974座組の全員をとりこにしているよ。
あなたのこの役は、絶対に 岡井千聖でしかありえないよ

カズさんはその時そう思って、思ったけども、本人には
言わなかったそうです
オレもまったくおなじきもちです。でもやはり本人には
伝えられていません

なんせ、ちっさーはともかくほめさせてくれないのです。
「通しすごく良かったよ」って伝えたいのに、ぽろぽろ
涙を流したりしていて、「えっ?!どうしたの?」って
おろおろ心配するまえに「あの、どうか、ぜんぜん気に
しないでください。自分が自分にくやしいだけですので」
と逆に気づかいまでしてくれちゃうのだ・・なんという
自分へのオッケーの高さなんだろう

それは、なっきぃ(中島早貴さん)も同じで、二人とも
本番で、お客さんにいいものを観せるまでやりきること
しか考えていない。「℃-uteは、なかなかほめさせない」

だから客席に喝采で迎えられたら、その時こそほめよう。

大人の麦茶 十八杯め公演『1974』の岡井 千聖さん、

どうぞ、おもいっきりたのしみに待っていてください!!
Date: 2011/03/21(MON)


だれでも知ってることだけど

時間は早めることも止めることもできない

だれかの安否を念っていたり
寒さや恐怖とたたかっている方には
一分一時間が果てしなくながいのだろう

なにも憂うることなく
自分がすべきことに集中して没頭している方には
一日のながさを感じる間もないのだろう

ご自分がとてもたいへんな心理状況にありながら
色んな人のつらさをおもんぱかれる「あるささん」
有り難く、大きな勇気をいただきます ↓

http://ameblo.jp/ashitanokaze-dd

山下治城さんのブログで知った「さとなお」さん
ふだんの美味しい店の食べ歩きや本紹介のコラムは
すごい面白かったけど
今はこんなふうにとんでもない活動をなさってて
有り難く、あたまがさがります ↓

http://www.satonao.com/

ぼくは、ここには書かない時間に涙をながしたり、
うわっ、ふだん毎日会ってる役者仲間のみんな・・
あらためて視ると異常に格好いいんだなぁ、なんて
おもったりしつつ、日日を過ごしています
Date: 2011/03/20(SUN)


宛書きをする幸せ。中島 早貴さん

なっきぃ こと 中島早貴さんとはじめてお会いしたのは
2007年のちょうど今ごろ。四年前の春の昼下がりでした

ぼくはその日、はじめて「ゲキハロ」の仕事をいただき、
はじめて会う℃-uteの はじめての主演舞台ということで
はじめて尽くしの緊張感の中、一時間ほどの面会時間で
℃-uteの皆さんの印象をインプットすべく、池田と共に
ペラ数枚の仮の脚本らしきものを持参してまいりました

「卒業式の帰り道に、仲良しの友だちとプリクラを撮る」
そんな内容のペラでした。読み合わせの一番最後だった
中島さんは、なんとその数枚の脚本を読みながら言葉を
つまらせ、涙を流しました。・・ぼくはア然としました

それは、卒業という晴れやかなきもちと、もう友だちと
毎日は会えないというかなしいきもち、プリクラなんか
撮らなくてもすぐ会えると笑う友だちの「きっとそうは
ならない未来」をいとおしくおもうきもち、およそその
ペラ数枚の脚本に(きちんと書きこまれていないのに)
求められているすべての感情が、淡く渾然一体となった、
貴い涙でした

ぼくは面会後の興奮も覚めやらぬまま、池田と立ち食い
蕎麦をすすりつつ「とんでもないものを見てしまったな」
と言うと、池田も「とんでもないものを見てしまったな」
と言いました
・・
その役の身になって、あたまで考えると相反する感情の
すべてを自分のものとして、こころで同時に感じている

それはものすごく特別な才能であり、これを感じるだけ
ではなく、おもいを言葉にのせて表現するところにまで
いけたならば、彼女はとんでもないことになっちゃうぜ
・・
言葉にするならそんな感じの興奮を、言葉にしないまま
共有していたのだとおもいます

それで前述のオトムギ初ゲキハロ『寝る子は℃-ute』で
早貴さんに宛書きさせてもらった司(つかさ)という役
に、クライマックスシーンで以下のセリフを書きました。


『夏美さんは空に帰っていった。

星が多すぎて、どの星になったのかはわからない。

だけど、もうあの水色の鏡の中に、夏美さんが現れることは、

ないんだろう。

チョウさんは、千切れるくらいに手を振っていた。

わたしたちはみんな笑っていたけど、

笑っていないと涙がでちゃいそうな、へんなきもちだった。』

(ごらんになってない方、なんのこっちゃですみません。
だけど是非今からでもDVDで観ていただきたい作品です)


この中島早貴さんの長台詞に、想いをのせきった表現に、
ぼくは深く感動しました。ご来場のお客様にも大絶賛で
迎えられた、忘れられないシーンとなりました。ですが、

このセリフって、セリフだけ注意深く読み返してみると、
二行目と三行目、四行目と五行目、ほとんどのセリフが
前の一行と相反する「別のきもち」の衝動に動かされた、
へたすると「わけわかんない」「ついていけない」こと
になっちゃう、ぎりぎりの連続で構成されているのです

なっきぃのモノローグにこめられた感情が、ぴたぁーっ、
とうまっていたからこそ、うけいれられた、神のシーン。

「しあわせ」と「かなしみ」は
両極にあるものではなく、隣り合わせにあるものなのだ。
そんな、知っているつもりだった、知らないでいたこと、
中島司にあらためて教えてもらった気がした塩田でした

・・ぎゃー!

なんか、どえらく長い文章になっちゃっててすみません。
まだ肝心の『1974』まで行き着けてないというのにぃー

ちょっと途中はしょります

今回のオトムギ、中島さん 岡井さんをお迎えするんだ!
そう決まった直後の塩田のきもちは
「うおぉーっ!」「ついに再会できる!」「うれしい!」
大興奮歓喜しましたが、それだけではありませんでした

四年前、はじめての芝居の時でさえ、あんだけこころを
揺さぶられたんだ
あれから四年めちゃ密度濃く毎日をたのばってるお二人。
今やいったいどんだけすごいことになっているのだろう。
年に数えるくらい、コンサートや劇場で「また、ご一緒
できる時を楽しみにしています」とごあいさつするたび、
必ず「はい!ぜひ!」とまっすぐな即答を返してくれた
あの笑顔には、なんとしても作品でばっちりこたえたい!

『寝る子は℃-ute』は稽古初日に台本が全部あったので、
「宛書き」のための準備時間は「一時間」とするならば、
『1974』がもらった時間は、なんと「四年間」なのだ。
今回の宛書きには、果てしない時間がかかっているのだ!
「やべえ!」「緊張する!」「がっかりさせたくねえ!」
色んなきもちで胸が騒いでしかたなかった稽古前でした

・・だけど、そうしてはじまった『1974』稽古・・

はじめてのホン読み稽古。早貴さんは「色んなきもちを
まぜこぜに」宛書きされた役に「うわぁ(喜)その声で、
そのように読んで欲しかったんだ」と作家冥利に尽きる、
感情が連綿と生まれ続ける素敵な読みを聴かせてくれて、
さらにちょいちょいと演出をつけるたび、その役として、
あまりにも絶妙な「こころで感じてる」リアクションを、
ぴたっぴたっと返してくれた。わぃっ!色んなきもちを
感じるこころ、大切にしたまま、さらに純化してパワー
アップしてるぅ!!

立ち稽古で「そこで前に、センターに出てみてください」
と頼んだら、ぶわっとおっきい目をもっとおっきくして
笑顔全開で魅せてくれた芝居に「こりゃ紀伊國屋ホール
の最後列の壁にライナー性のホームランでバコーン!と
ぶち当たるなーッ」って、おいら、演技でバコーン!と
やられてしまった。おもいをのせる表現が、四年前とは
比べようもなく圧倒的にパワーアップしてるぅ!!

そんな早貴さんを視た瞬間、シオダの渾然一体となった
色んなきもちは、ふわーっと「この芝居をつくれる幸せ」
という、もっと大いなるおもいへと昇華していきました

そうして

のこり半分の脚本は、その稽古時間からもらったものに
この身をまかせ、導かれるままに大胆に書き切りました。

はい。まるで、じぶんで書いたようじゃない、大胆さで。

大人の麦茶 十八杯め公演『1974』の中島 早貴さん、

どうぞ、おもいっきりたのしみに待っていてください!!

そして次回のムギムギデイズ『宛書きをする幸せ』には
この芝居のもうひとりの主演女優 岡井千聖さんのことを
書くでやんす!
Date: 2011/03/19(SAT)


宛書き(あてがき)をする幸せ。塩田泰造

ぼくは脚本を書く時『宛書き(あてがき)』というやりかたが
いちばん手応えを感じるぜいたくな書き方だとおもっています。

宛書きは、

最初に物語があるのではなく、演じてくれる俳優さんの容貌や、
声、立居振る舞いなどなど(はい。などなどです)から色んな
イメージをいただいて、それを動力源に物語を紡いでいきます。
かなりしも「これならハマり役だろう」ではなくて「この役を
演じてる姿を観てみたい!」という自分勝手的なわがままから
できていたりするのですが、稽古場で演出をしながらあたまに
描いた世界がぶわっと立ち上がり、増幅し、実現していく瞬間、
ぞくぞくする歓びにうちふるえます。

この書き方の場合、物語のゆくえも当初イメージしていたもの
ではなくなってしまうことがあり、まるで自分で書いたみたい
じゃないシーンに出逢えたりします。その快感はなにものにも
代え難く、こんなことがあるから芝居はやめられないとおもう
瞬間です。

2011年3月17日。今日(日付が変わったからもう昨日だけれど)
初日を迎えるはずだった舞台『1974』

紀伊國屋ホールにはオデッセーの頼れるナイスガイA吉さんが
期間中常勤で、もしも延期を知らずに訪れてくださるお客さま
がいらした場合への対応をこころがけてくれています。

ぼくは劇場にも赴かず、電気を消した部屋で、静かに、静かに
今なにをしたらいいのかと考えたり考えなかったりしています。

公演が中止でなく延期になったこと、ものすごく有り難いです。
そして、ものすごく有り難いこととわかってるにもかかわらず、
「オッケー!よっしゃー、次だ!さぁ、切り替えて行くぜぃっ」
とはすぐにはどうしてもなれない自分がいます。

『1974』の炎が 『1974組』のみんなにもらったエネルギーが
からだのうちがわで燃えつづけてやみません

『1974』を今、お客さまにご覧いただきたいと願ったきもちが
からだのうちがわで燃えつづけてやみません

それで、

もちろん舞台の内容や役柄については来る12月の延期公演を
楽しみにしていただきたいので、ネタバレしたくないのですが、
それぞれの俳優さんたちから『宛書き(あてがき)』する時に
いただいたものについて、この「幻の公演期間中」に少しづつ
書きつづってみようとおもいます

パンフレット予告編みたいなニュアンスでゆるゆるお付き合い
いただければさいわいです

書いてみて「あ、やっぱ、これ、ネタバレに通じちゃうかなー」
とか思ったら途中でやめるかもです。スミマセン
Date: 2011/03/18(FRI)


1974 稽古場日記 0311 池田稔「こりゃ芝居なんかやってる場合じゃねーな。サ、ぶっ通そうぜ」

暖房をつけない音楽のない薄暗い部屋で
さぁなにをしようかなと思って、ムギムギデイズを書いてみます

こんな時に電力のしょうもない無駄遣いだと不愉快になられた方、
返す言葉もなく、本当にもうしわけありません
でも、この『1974』公演をたのしみにしていてくださった方々に
「『1974組』はあの時、こんなかんじでした」
って知ってもらいたいきもちもあって、徒然につづってみます

3月11日
最初のものすごい大揺れがあった時、
『1974組』は通し稽古の目前のスタンバイタイムでした
プロデューサーの佐々木さんが赤羽橋の方と電話してて
「えっ?!そっち地震?東京タワー曲がった?うそっ!」
と言った瞬間、電信柱がぐわんぐわん揺れはじめました

おもわず階下の稽古場まで駆け下りていくと
「灯体(とうたい)の下に行くなーっ」と池田が叫んでいて
年若の女優さんたちは稽古場の真ん中におしくらまんじゅう
みたいにチームワークよくかたまって、
どぅーが「う。ちょーこえー」とひとりごとをつぶやいてて
元気や将護が哺乳類の親(お兄さん犬やお母さん猿みたいな)
のような体勢で、びっと子供たちの頭上に手をかざしながら
じーっと天井を睨んでいました
宗兵や佑介さんは金剛力士像みたいな体勢で守っていました。
なっきぃが「ちょっとだけ前髪切ろうかなー」と言っていて、
ちっさーが直前につけたシーンの段取りの確認をしてたのが、
なんだか やたらに たくましくて たのもしくて 和みました

余震が続くなか、池田稔が
「おう・・こりゃ、芝居なんかやってる場合じゃねーな」
と言い、(塩田はあいまいにうなずき)
「お(稽古場の)ドア開けとけ。昼だから音したって構わねえ。
閉じこめられたらどうにもなんねえからな」
と言い、(塩田はあいまいにうなずき)
「少しでも揺れが来たら止めることにして、サ、ぶっ通そうぜ」
と言い、オレを視ました。
それまでただぼけーっとあいまいにうなずいていたオレが
「あ。こんな時ですが、通ししてもいいですか」
と言ったら、
みんなが元気に二つ返事の即答で「ハイッ」と応えてくれて
通し稽古をやりました

それは、
信じられないほどぴったぴたに集中した、素晴しい通しでした

通しが終わったら、もちろん即時解散となり
でも電車はひとつも動いていないので
年若の女優さんたちはそれぞれ大渋滞の中、迎えに来るご家族を
待っていて、さぞかし不安だろうに明るい笑顔を絶やさずにいて、
なにくわーぬ顔で大河元気がいちばん遠くの のうちが帰るまで
ずっとおもしろい話とかして時間を忘れさせてくれていて、
子供たちはひとりひとりみんな家路につきました
佐々木プロデューサーは、ハローの子が全員帰るまできっちり
稽古場にいて、つながりづらい連絡を注意深く丹念にとり続け、
皆が帰った瞬間「ではわたしも帰ります」とお帰りになりました

「未成年がいるうちは誰も酒を買いに行くなよ」と言っていた
池田が、稽古場の真ん中に小道具のちゃぶ台を引っ張って来て、
いただきものの幻のようにウマい酒『夢心』をドンッと置いて、
将護が気のきいたつけもの的なものを買って来て、
ナミチョウのはちゃめちゃ明るい音頭と、コンちゃんのいなせな
お酌で、演劇人生初の稽古場エンドレス酒盛りがはじまりました

塩田は家族との連絡がとれていなかった関係で大田区の自宅まで
五時間くらいかな?歩く決意をして、宗兵の「異常に寒いですよ、
今夜はここにいた方が」との優しい忠告にも「いや、帰ってみる」
と(当社比)りりしく答え、「気をつけて!さようなら!!」と
すっごいもったいないくらいの見送りをみんなからしてもらって、
稽古場を出た瞬間、家族の無事を知って、そのままコンビニ直行、
大量の酒を買って引き返し、大爆笑の「お帰りなさい」もらって

その夜は、忘れられない酒になりました

非常時にふざけててすみません。
だけど、目にはいる座組の皆すべてがたのもしくやたら格好いい
そんな日でした

写真1。稽古場ど真ん中でちゃぶ台酒場開幕
写真2。並木秀介画伯による深夜のスケッチ
写真3。紀伊國屋ホールにて粛々と搬入の図
もちろんクレーンは使用せず。オール階段で。
写真4。紀伊國屋ホールの裸舞台にて
宮原NASAKE将護 & 斉藤YOKOHAMA佑介
「おら、足!しゃんとしろぉっ!足!」の図。

本日の日記はここまでとします。でも、
この芝居の主演女優、中島早貴さんのこと、岡井千聖さんのこと
その他、本番までは書かずにいようと思っていた、塩田がこころ
動かされたことのつれづれ、また折にふれ書かせていただきます

公演が打てなかった思い出の追憶としてでなく
冬まで延期になったあいだを、さらにたのしみに待っていただく
こころの予告編として
Date: 2011/03/17(THU)


1974 公演について。お詫びと延期のお知らせ
稽古最終日前日
震災後の対応でBS-TBSで二日間徹夜だった
プロデューサーの丹羽多聞アンドリウさんが
通し稽古を見終わって、感想のひとこと
「ものすごく疲れていたんだけど、これを観たら
元気をもらった。活力がわいてきた」
と言ってくれました。

1974組一同、一丸となってつくってきたこの舞台、
「一人でもご来場くださるなら公演をしたい」
そう思って、昨日ぎりぎりまで紀伊國屋ホールにて
美術セット建て込み、照明吊り込み、音響チェックなど
すすめていた我らですが
佐々木淳子プロデューサーとじっくり話し合いを重ね
交通機関への影響、計画停電への協力、余震への対応
などをかんがみて、公演を延期とさせていただきます

たのしみにして待っていてくださったお客さま
たいへん申しわけありません
どうぞご理解くださいますようお願い申し上げます

ですが、先ほども書きましたように
この公演は中止でなく延期なのです

この『1974』の

なっきぃ(中島 早貴さん)の超フレッシュな可愛らしさ、素敵さ
ちっさー(岡井 千聖さん)の運命に向き合うりりしさ、格好よさ

工藤 遥さんの元気いっぱいの愛くるしさ、
竹内 朱莉さんのすこやかな明朗さ、
大河 元気さんのまっすぐな瞳のつよさ、
斉藤 佑介さんの知性あふれる色っぽさ、
宮原 将護さんのアホで優しい日向のにおい、
和泉 宗兵さんの骨太で繊細なたくましさ、
磯和 武明さんの天晴な怪優っぷり、
岩田 陽葵さんの記念すべきデビュー、
今藤 洋子さんの涼やかな母性、
池田 稔のいぶし銀の怪しさ、
並木 秀介の見たことないろくでなしっぷり、
中神 一保の家族をおもうまなざし・・

もう明日に本番を観てもらいたくてたまらない状態、
ばりっばりに仕上がっている
『1974(イクナヨ)』
今のフレッシュさ、勢いや熱気、なにもかも
そのまんま真空パックして、
この滑走路の時間、さらなるブラッシュアップをかさね
ご来場くださる全てのお客さまに
「元気になってもらえる芝居!!」
をお届けいたします
どうぞ引き続きのご期待、宜しくお願いいたします

そして

今も寒さ、かなしみ、おそろしさ、こころぼそさ、
とともに過ごしていらっしゃるであろう震災被災者の方々に
こころからのお見舞いを申し上げるとともに
犠牲者の方々のご冥福をお祈りいたします。

『1974』脚本・演出 塩田泰造
Date: 2011/03/16(WED)


1974 稽古場日記 0310

毎日毎日
熱気球のように膨らみながら
上昇してゆく
『1974』
です

いろいろ書きたいこといっぱいの毎日
でも、やっぱり今は、核心のところは、
「たのしみにしてください」
としか書かないでおきます。。。

美術 田中敏恵さんの至高のセット
音響 尾林真理さんの匂い立つ音

舞台監督 小野八着さんのご尽力で
ものすごーく美味しい会津のお酒『夢心』
いただきました
「あ、お正月にしか呑めないお正月の味」
とつぶやいたおばやん(尾林さん)でした

この舞台を紀伊國屋ホールに持っていくこと
たのしみでなりません

本日の写真
アクトリーグをともに闘ったミラスタの
きゃぷてん後藤公太さんが登場していますが
合成写真ではありません
乞うご期待関係!!

Date: 2011/03/10(THU)


1974 稽古場日記 0306

今日の宿題が(遅れに遅れたけど)一応終わって、
なおかつまだ日付変更線を超えたばっかだなんて
ハッピーすぎるワーカホリックサボリーマンです

たのしみにしてもらいたくて、なんにも書けない、
と前回は書きましたが、やっぱちょっと書きます
『1974』のこと。

池田稔のチャチャ入れ

『お前が心を洗われているのは、
毎日1974の稽古場で
お前が魂ごともってかれているのは、
まっすぐな芝居だろう?』

まったく同感で。そうおもわずにはいられません


前々回の稽古、ようやく(遅すぎじゃろぉー塩駄)
座組の皆さんにラストシーンまで脚本を渡した日、
なっきぃ(中島早貴さん)のぶっつけの初読みに、
心の琴線がふるえて、涙でそうになってしまった。
作家が紙に書いた言葉に、まっすぐになっきぃの
こころがやどって本当になる瞬間が見えたんです


前回の稽古、(本日の)コンサートのリハ直前の
ちっさー(岡井千聖さん)の、あまりにも華麗な
役になりきりっぷりに、かなしいシーンじゃない
のに、あっぱれすぎて涙でそうになってしまった。
ちっさーの、疑いなくまっすぐ役に取り組む姿に、
芝居の天使が舞い降りて来た瞬間が見えたんです


『愛すべき芝居馬鹿』斉藤佑介さん。どんな役も
どんなシーンも初見で見事な演技を魅せてくれる。
だけど本人は(常に穏やかでヒトには優しいけど)
じぶんには穏やかじゃない厳しい役者さんなので

『実は昨日の稽古は、上手くいきませんでした。
上手く生きられませんでした。』

そうブログに綴られていたシーン、もういっかい
丹念に立ち稽古を繰り返しているうちに、共演の
どぅー(工藤遥さん)、将護とのあいだになにか
「今ここで本当に起こっていること」としか表現
できない、まっすぐなものの息吹が立ちのぼって
びりびりと感電しました。稽古終わりのユースケ、
曇りの無い「穏やかな」笑顔を見せてくれました


宮原将護の「チャチャ入れデイズ」うれしいなー、
あ軽くて深いなーショーゴ。と思いつつ、写メの
天下一品で共にふざけた夜の記憶が思いだせない。
きっとめちゃくちゃ酔っぱらってめちゃくちゃな
チャチャを入れながら、めちゃくちゃに楽しんだ
んだろなー、駄ーしお。将護、いつも見てくれて
有り難う、おいらの◯◯◯◯を。

オトムギ『タイガーブリージング』の田中ナサケ。
ゲキハロ『三億円少女』の昭和のイチロウちゃん。
将護力にお世話になりまくりの作塩。さぁ、次は
・・

きみのこころに いつも新しい君を 見つけにいくよ


上の最後の一行は、大人の麦茶『いちころソング』
主題歌『想風(=しゃんぷう)』からの引用です。

『いちころソング』本番の日に京都から上京して
そのまま紀伊國屋ホールで受付を手伝ってくれた
タケ坊(磯和武明さん)。ずっと気になっていた
このピュアな怪優のまっすぐな演技をオトムギの
舞台でお披露目できることが楽しみでなりません

おーっと。ながくなりました。また書くでやんす。
『1974組』語りだしたら止まらない語りたいこと
いっぱいの魅力的な俳優さんばっかしです
Date: 2011/03/06(SUN)


1974 稽古場日記 0305

ぎゃー \(☆o☆)/

劇団のホームページ日記として、いちばんだいじな季節に
ムギムギ御無沙汰すみませんー。。。

並木からメール
「だめだめムギムギ止めちゃだめ。期待の公演、宣伝必要」

うぐっ、まさしく、そのとーり
ただいま稽古真っ只中。書きたいこといっぱいなのですが

池田のひとこと
「おまえさぁ『楽しいです』って以外の表現ってねーの?
仮にも作家だろ?」

うぐっ、図星じゃまったく図星じゃ。文才なさすぎだオレ

しかし、公演を期待してくれてるとおもえばおもうほどに
ネタバレ的なものを書くの、がまんしちゃうじぶんもいて

なんで、池田が並木をおもいきりぶん殴ってしまったのか
なんで、ぶん殴られた並木がクレイジー笑顔で包丁なのか
なんで、佑介と並木がペンキ缶ゴシゴシしてくれてるのか
なんで、座組一同で森実友紀さんを囲んで記念写真なのか

書きたくっても書くのがまんの塩駄なのでした
『1974』たのしいです。

どうぞおもいっきりたのしみにしてください!!

森実友紀さん

ROCKミュージカル 『ピンク スパイダー』
http://pinkspider.main.jp/

東京公演@東京グローブ座
2011年3月8日から27日

3月8日初日って・・・!
本番超目前の中、最高に素敵で献身的でカリスマあふれる
◯◯◯◯指導、本気で大大大感謝してます

『1974』無事に大成功で千穐楽を迎えたら 皆で参ります!
Date: 2011/03/05(SAT)


1974 稽古場日記 0227

『1974(イクナヨ)』けいこ熱いっす!
こりゃあ イクっきゃナいっすヨ!!

そんな稽古場で目撃したきらきらのあれやこれや
けっこうながながと書いたのですが
それを当日パンフのごあいさつにすることに決定。
ちゃらくてさぁーせん

1974、どうぞ乞うご期待です!!

1。イクナヨ自家製ノートに桜チラリです
2。「明星」っぽいスナップですって
3。どぅーがぴょんと飛んで覗いてるのは?
4。関係ないけど冬は野菜が特にうまいっす
Date: 2011/02/27(SUN)


現行ログ/ [1] [2] [3] [4] [5]
キーワードスペースで区切って複数指定可能 OR  AND

**HOME**
368519
[TOP]
shiromuku(u2)DIARY version 2.70