東日本大震災に伴う福島第1原発事故は原子力発電の是非について大きな論議を巻き起こした。
米ワシントン・ポスト社説(17日付)は「米国では今回の事故は原子力の安全性についての議論を復活させた。原発反対者はリスクが決して排除されないことが証明されたという。それは事実だ。しかしチュー・エネルギー庁長官は原子力を1つの選択肢として保持したいし、それには理由があると主張した。化石燃料は有害なガスを排出し、原発と違って気候変動という環境破壊の原因になる。原発事故は恐ろしい危険をもたらすが米政府として日本の状況を精査し必要なら米政策を調整するとしているのは正しい。事故は『原子力ルネサンス』にある程度影響を与えるだろう。しかし関連リスクについて広範かつ決定的な判断を下すのは時期尚早だ」と述べた。
米ボストン・グローブ社説(16日付)は「通常の状態なら原発はエネルギーミックスの安定した一部となり得る。ただ、原発の事故が福島第1原発にみられるように制御不能になったときその影響は悲惨だ。日本の事故により米国中の原発の安全計画を早急に見直すべきだ。オバマ政権は『原子力ルネサンス』の主張に熱中してきたが、日本政府が事故の原因を完全究明し、米原発操業者に最悪のシナリオへの準備が本当にできているかを米規制当局が評価するまでは新たな原発への連邦融資保証を凍結すべきだ」と主張した。
英エコノミスト社説(17日付)は「福島第1原発事故による排出放射能は日本政府の発表より強いものにみえる。日本の原子力産業には隠ぺいと無能力の長い歴史があり残念ながら東京電力の対応はその過去の行動をなぞっている。この事故が早急に制御可能になり、放射能漏れも人々の健康に影響するほど大きくなかったとしても今回の事故は日本内外の原子力産業に大きな衝撃を与えるだろう。原子力政策はジレンマを抱えている。説明責任と透明性を可能にする社会が必要だが、原子力産業を持つどの国もこれができていない。多くの先進国にとって原子力産業を維持することは理性的考えだ。パニックを経験すると理性的な道も簡単ではなく、日本ほど苦しい選択に直面する国はない」と論評した。
英デーリー・テレグラフ社説(15日付)は「福島第1原発でさらに損傷が拡大し多数の人命が失われることも考えられる。しかし今回の事故が稼働40年を経た原子炉でさえ想定を超えた地震と津波に生き残れることを示したのは事実だ。これは原子力エネルギーへの信頼を強めこそすれ失わせるものではない。エネルギーを作り出すことはすべてリスクが伴う。原子力はもっとも汚染が少なく頼れるエネルギー源だ」と信頼性を強調した。
ロシアのベドモスチ(15日付)はセルゲイ・ピーキン・エネルギー発展基金所長のコメントとして「この事故で日本のエネルギー・バランスは損なわれ、他のエネルギー源が必要になる」と指摘。ただ、世界的な原子力発電の今後に関しては「今回の事故が各国の原発建設計画の見直しにつながることはほとんどない。現状では代替エネルギーが原子力に取って代われるとは誰も考えていないからだ」との見解を伝えた。
(電子版などを参考にしました)
東京電力、エネルギーミックス、原子力発電、化石燃料
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