第3回目

ホネホネロック

子門真人
1976年発表(日本)

 ポンキッキ表名曲といえば「たいやきくん」ですが、裏名曲と言えばやっぱりこれ。どちらも子門真人の歌唱という事実に運命の素晴らしさを感じてしまうのは日本国民共通の想いである。

 この曲の
シモニック唱法の爆発(暴発)加減は、彼のヒーローものの歌の中でさえも見られないほどの冴えを見せ、聴くものを圧倒する。サウンド面においてもムーグ(シンセサイザー)のうねり、エレキギターのワウがこの曲の妖し気テイストを増加させている。
 イントロ前半のアコースティックギターのストロークからすぐ、ム−グ(シンセサイザー)の妖しい響きがうなり(?)を上げ、ここで聴くものを曲の世界に引きずり込む。そしてギターが印象的なメロディを奏で始めてしばらくすると、レベルメーターもぶちきれんばかりの子門のヴォーカルが炸裂する。
 ここでの彼の「シモニック唱法」はいわゆる「ヒーロー物」にみられるものよりも格段に違うものがある。ヒーロー物の歌い方と言うのはある程度の「形」の存在が見られる、このことがヒーロー物の歌をヒーロー然とするものにしているので僕は「形」を否定するつもりはないのだが、歌手にとって、そのことが多少自縛気味のきらいがあるのもまた事実である。(開き直ればまた別)
 ただ、この「ホネホネロック」での子門は、ヒーロー物でつちかわれた技と経験を活かした「おたけび」、さらにはこの曲間奏部分のジャングル風味、エキゾチックな感じを出すために鳥や獣達の鳴き真似を取り入れることで、
曲の魅力を倍増させている。
 そして、ただ上手いだけでなく、その独特の歌声による表現力の多才さを持った自分自身のヴォーカルの魅力を引き出すことに成功している。(この表現力の豊かさは「たいやきくん」でのあのけだるい感じのヴォーカルでも実証済み)

 また、曲自体もも良く出来ていて、コミカルさの中に妖し気テイストを上手く取り入れ、(前述のムーグの音色、エレキギターの「ワウ」等、楽器のアレンジもまた良し)その上に子門の歌が重なることでまさに全てが完成されている。
 しかしこの頃の子供歌は良く出来たものが多いですね、結構頭の中にメロディーが残ってるもんです。(一例として「みんなのうた」の「ドラキュラのうた」とか。
「ドラドラキュッキュッ ドラドラ〜」ってやつです)
 ただ、多少難を言えばヴォーカルのミックスのバランスが
偏りまくっていること。けれどこの頃、テレビでステレオ音声の物なんてあんまりなかったし、家のプレイヤーもモノラルが多かったと思うからしょうがないのかな。(モノラルで再生してもヴォーカルをくっきりと全面に出すため)

 ヒーロー物の歌の代表歌手と言うと「佐々木功」、「水木一郎」とかの名前が上がります。まぁ、現在彼の活動がイマイチ分からないことを考えると前の2人に脚光が浴びるのは間違いないんだけれど、もう少し子門真人に脚光が当たっても良いのでないか。
 前の2人はボックスセット等カタログが充実しているのに対し、彼のコンピレーション物は2枚出ているだけである。(しかもヒーロー物のみ)
 佐々木、水木と共に僕らの心に焼き付くあの独特の声とシモニック唱法にも愛の手を差し伸べたい。彼の歌声は決して2人に負けず、または
それ以上の魅力を持っているのだから。


c/wは「パタパタ ママ」
(歌:のこ いのこ、作詞作曲、編曲はホネホネと同じ)
ぼくはアナログのシングルで持っています。
最近ポンキッキのトリビュ−ト盤で違う人が歌っていて
アレンジももろにロックになっているらしいです。
昔、ポンキッキの歌のCDがあってそれに入っていたと思います。
でも、子供歌のCDってなかなか中古に出ないんだよね、
アナログもまたしかりなんですよ。