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【社会】

「まさかこんなことに」 4号機作業員 地震直後は異常なし

2011年3月18日 朝刊

 東日本大震災の発生時、福島第一原発4号機の建屋から五百メートル離れた事務所棟にいた三十代の男性作業員が十七日、本紙に当時の様子を語った。発生直後に異常はなく、今回の緊急事態に「まさか、こんなことになるとは」とやりきれない様子。深刻な事態が一向に収まらない現状に複雑な表情を見せた。

 男性は東京電力の協力会社社員で、約十五年前から原発施設のメンテナンス業務に従事。地震当日の午前中も、定期点検中だった4号機内で設備の点検を行っていた。

 男性が建屋内にいた同僚らに聞いた話では、突然の大きな揺れと同時に、建屋内の照明がすべて消えた。しばらくして誘導員が現れ作業員らに避難を促した。暗闇の中、機械類に異常がないことを確認した後、建屋から五百メートルほど離れた事務所棟を目指して走った。

 「1〜4号機の建屋は海面よりずっと高いので、津波は入らなかったのではないか」と男性は推測する。

 通常は建屋から出る際に放射線の線量を測るが、この日は突然の大揺れでそんな余裕はなく、事務所で全員の安否を確認後、解散となり、敷地から出る際に放射線量を確認した。男性は福島第二原発のある富岡町の自宅に戻った。発電機の故障や2号機の冷却機能停止など、相次ぐ異常発生が分かったのは、その後のことだ。

 「普段から耐震性のチェックもしていたのに。まさかこんなことになると思っていなかった」と男性。自分が作業していた4号機建屋でも火災が起き、放射性物質漏出の不安が広がる事態に、将来同じ仕事を続けるかどうかも「わからない」と声を落とした。「とにかく放水がうまくいき、収束してほしい」と望みをかけた。

 

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