「被害は小さい」という勘違い
他にも、米国人が日本に募金しない理由がある。
被害の全容が見えないことが、米国人が募金を見送る原因になっている可能性も大きい。
地震当初、死亡者数が数百人から数千人規模と報じられたことを受けて、海外メディアは日本が地震への周到な準備が出来ていたと絶賛した。
しかし、被害状況が次第に明らかになりつつあり、深刻なダメージを受けたことが分かってきた。それでも、死亡者数、そして行方不明者数は、今も増え続けており、どの程度の数字まで達するのか、まだ正確には把握しきれない。
このことが、米国人や海外の一般人が、「募金するほどの災害ではない」という間違った判断をしてしまう事態につながっている。
死亡者数を確定するまで、日本では時間が掛かりすぎるのだ。
他の国では、災害の犠牲者を発表する際に、まず大まかな推計を出して、後で修正をかけることが多い。ところが、日本では、正確に把握している数字を発表する傾向がある。
また、「行方不明だ」という届け出があるまでは、行方不明者数に正式にカウントされない。だから、現在でも、死亡にも行方不明にも数えられていない人がかなりいる。
こうした数え方によって、阪神大震災でも死亡者数が6434人となったのは、震災から10年以上経ってからのことだった。
その阪神大震災よりも、今回は全容把握が難しく、死亡者数を把握するまでに相当の時間が掛かりそうだ。海岸沿いに住む多くの人が、津波に飲み込まれている。海岸に流れ着けば、身元確認を行うことも可能になる。しかし、津波で流された人を捜索することは困難を極める。