事件【主張】農産物と風評被害 健康に不安抱く必要なし2011.3.21 03:06

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【主張】
農産物と風評被害 健康に不安抱く必要なし

2011.3.21 03:06

 福島県で採取された牛乳や茨城県のホウレンソウなどから放射性物質が検出された。食品衛生法に基づき出荷制限される暫定規制値を超える数値として発表されたが、仮に年間を通して食べても健康に影響のないごく微量なものだ。食品に不安を抱く必要はない。

 風評被害を招かないよう、国や行政機関には分かりやすい情報提供を求めたい。

 暫定規制値は、食品衛生法に放射性物質の基準がなかったため、福島第1原発の事故を受けて設定された。厚生労働省が飲料水や野菜など生鮮食品について都道府県を通じ、検査を求めていた。

 牛乳やホウレンソウ以外からも検出が報告されている。だが規制値は健康に影響のある放射線量を定めた国際基準に照らし、一段厳しいものだ。福島県の牛乳で検出された数値は規制値の約3~5倍だが、年間摂取してもCTスキャン検査の1回分程度だという。

 規制値を超えたものは出荷が停止され、流通していない。スーパーが生鮮食品を撤去するなどの過剰な対応は禁物だ。

 目に見えない放射性物質の影響は一般には分かりにくい。不安は当然だ。だからこそ何が起き、どう対応できるのか、情報提供には一段の工夫が必要である。

 枝野幸男官房長官は19日夕に牛乳などから放射性物質が検出されたことを発表したが、何事かと思わせる唐突感があった。放射線量の専門的な数値をあげるより、健康に影響があるのか、ないのかなどを、まず分かりやすく説明すべきだった。

 原発事故の発表をめぐり、海外からも不信感が高まっている。日本からの農産物輸入に懸念を示す動きも出ている。国は明確に不安を払拭すべきだ。

 東日本大震災では、ほかにデマや誤った情報による行き過ぎた避難騒ぎなどが起きている。

 16年前の阪神大震災のとき、3%程度だった携帯電話の普及率は100%近くになるなど情報ツールが急速に広がった。短文で情報発信できるツイッターなどを使った安否確認や情報交換が今回、効果をあげている例もある。

 一方、出所の不確かな情報が連鎖的に広がるネット社会特有の現象が起きている。ようやく進み出した被災者支援や復旧活動の大きな妨げになる。情報の出所を見極め冷静に対応したい。

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