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福島第一原発に関する現在までの情報をまとめると、
1号機、2号機、3号機には原子炉内に融解しつつある燃料棒があり、3号機はプルトニウムを大量に含んだMOX燃料、2号機は格納容器の一部が破損。 原子炉の内圧上昇による水蒸気爆発を防ぐために、適宜、放射能を含んだ水蒸気が大気中に放出されている。 現在、これら原子炉内に海水の注入が行われているが、燃料棒の露出と融解は続いていると思われる。 また、1、2、3、4号機のいずれにも、原子炉の外側に使用済み核燃料プールがあり、通常では1000トンもの水によって冷やされていなければならない使用済み核燃料棒(4号機では点検のため一時使用停止した燃料棒も)の冷却水が沸騰して失われ、核燃料棒が露出。過熱して4号機では火災を起こした。 さて、問題のプルトニウムだ。 融解しつつある原子炉内の燃料棒にも、使用済み核燃料棒にも、すべてにプルトニウムが含まれている。 特に3号炉のMOX燃料には相当量の濃縮プルトニウムが含まれている。 ここで、MOX燃料に関するウィキペディアの記述を引用しよう。 MOX燃料の問題点: (1)ウラン新燃料に比べ放射能が高い(特に中性子が著しく高い)ため、燃料の製造については遠隔操作化を行い、作業員の不要な被曝に十分配慮して行う必要がある。 (2)ウラン中にプルトニウムを混ぜることにより、燃料の融点が下がる。これにより燃料が溶けやすくなる。また熱伝導度等が、通常のウラン燃料よりも低下する。これにより燃料温度が高くなりやすくなる。 (3)FPガスとアルファ線(ヘリウム、ガス状)の放出が多いため、燃料棒内の圧力が高くなる ********************************************************************************* 読んでいて恐ろしくなるのは私だけだろうか。つまり、3号機の燃料棒は、他の原子炉のウラン燃料棒よりも過熱しやすく、融解しやすく、放射能ガスを発生しやすく、危険で扱いにくいというわけだ。 さらに、プルトニウムに関するウィキペディアの記述を引用しよう。 プルトニウムの臨界管理 プルトニウムの臨界量はウラン235の3分の1しかないので、臨界量に近い量のプルトニウムが蓄積しないように注意しなければならない。溶液状のプルトニウムは固体より少ない量で臨界量に達する。ちなみに、プルトニウムの融点は639.5℃。それが単に溶けるか破片になるのではなく爆発するためには超臨界を大きく越える量を必要とするので、兵器級の核爆発は偶然に生じることは有りえない。しかしながら、ひとたび臨界量に達すれば致死量の放射線が発生する。 臨界事故は過去に何度か起きており、それらのうちのいくつかで死者を出している。1945年8月21日、ロスアラモス国立研究所で致死量の放射線を発生させた事故、1958年ロスアラモスのプルトニウム精製工程で、混合容器の中で臨界量が形成され、クレーン操作員が死亡した事故。この種の他の事故が、ソ連、日本および他の多くの国々で起こった(詳しくは原子力事故を参照)。1986年のチェルノブイリの事故は、大量のプルトニウムの放出を引き起こした。 さらに、金属プルトニウムには発火の危険がある。金属プルトニウムは酸素および水と反応し、水素化プルトニウム、ピロリン酸化合物が蓄積する可能性があり、これらは室温の空気中で発火する物質である。プルトニウムが酸化してその容器を壊すとともに、プルトニウムが相当に拡散する。 燃えている物質の放射能が危険を増す。酸化マグネシウムの砂は、プルトニウム火災を消火するための最も有効な素材である。それはヒートシンクとしてはたらき燃えている物質を冷やし、同時に酸素を遮断する。 1969年にコロラド州ボルダーの近くにあるロッキーフラッツ工場でプルトニウムが主な発火源になった火災があった。これらの問題を回避するために、どんな形態であれプルトニウムを保管・取り扱う場合は特別の警戒が必要である。一般的に、乾燥した不活性ガスが必要である。 反射体のない球状プルトニウムの臨界量は16kg。1kgのプルトニウムが完全に反応したとすると、20キロトンのTNT相当の爆発エネルギーを生むことができる。 ***************************************************************************************** 今朝の北海道新聞には、放射能についての詳細な解説が載っていたが、そこにはこう記述されていた。 「放射性ヨウ素は気体となって、セシウムは水蒸気とともに拡散する。重いプルトニウムやストロンチウムは燃料が溶けて爆発する大事故にならない限り飛散しない。」 ***************************************************************************************** さて、以上の情報をまとめると、次のような結論となる。 プルトニウムを含んだMOX燃料は、比較的低い温度で融解して液体状になりやすく、融けたプルトニウムが原子炉の底に溜まった場合、わずか16kgのプルトニウムだけで再臨界を開始する(すなわち核分裂反応が再開)。致死量の中性子線が放出されるとともに、爆発や火災によって大量のプルトニウムが大気中に放出される。 これが福島原発事故の最悪のシナリオではないか。MOX燃料を使っていなかったら、再臨界の危険性は極めて低かったと思われる。テレビで有識者たちは口々に、「再臨界してチェルノブイリのような爆発を起こすことはあり得ない」、などとコメントしているが、それはあくまでもウラン燃料の話に限るのではないか。MOX燃料となると、話は違ってくるはずだ。 もしこれが誤解であれば教えてほしい。 この記事のトラックバックURL:
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