2011年3月17日10時42分
東日本大震災を起こした地震の揺れが東日本全体で約6分間続いたことが、東京大学地震研究所の古村孝志教授らの解析でわかった。「キラーパルス」と呼ばれ、木造家屋に大きな被害をもたらす周期1秒前後の揺れは地震の規模の割に少なかった。海岸付近の家は、倒壊は免れたものの、直後の津波で流されたようだ。
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が全国展開している全国高密度強震計地震計(K―net)のデータが地震直後から使えなかったが、16日に復旧して解析が可能になった。古村教授らは、全国1800カ所のデータを使って、揺れの状況を調べた。
地震の揺れは、発生から35秒後に宮城県牡鹿半島に到達。50秒後には岩手県釜石市や福島県いわき市を揺らして、70秒後に東北日本全域に広がった。揺れのピークは約35秒の間をあけて2回あり、古村教授は地震を起こした断層の破壊が少なくとも2段階あったとみている。揺れは、最大で重力の約3倍の加速度に達した。
地震波の周期は0.1〜1秒の短い波がほとんどで、木造家屋に壊滅的な被害をおよぼす1秒前後の周期の地震波は少なかった。古村教授は「家がそのままの形で流された。津波地震の典型ではないか」とみている。
この地震では、遠く離れた高層ビルや石油タンクに大きな被害を与える10秒以上の長い周期の「長周期地震動」も観測された。東京湾岸のコンビナートの火災などは、この影響と考えられるが、それでも地震の規模の割に少なかったという。(川原千夏子)