トピック61
週刊金曜日11/15号 曽我さんインタビューの悪質さ


あの左翼運動系の週刊誌「週刊金曜日」(以下、週金と略す)が、朝鮮に残してきた曽我ひとみさんの家族にインタビューをして、大顰蹙を買っているのは御存知の通りです。しかし実物を読んでびっくり! インタビューなんてほんの一部であり、後は延々と北朝鮮のプロパガンダが並んでいます。報道の自由が云々と暢気な事を言っている自称ジャーナリストもいますが、まずはこの雑誌を一冊読んだ上でモノを言ってもらいたい。最初から中立的な立場から書かれたものではないのです。
 とは言っても売ってないんだよね、この雑誌。そこで週金今月号について、ここで詳しく書きたいと思います。週金を買いたくても手に入らない人、週金を利するのは嫌だが中身は見てみたい方、必見です。

今日は、浅井基文について更新です。

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救う会の反応



新聞各社の記事

本題に入る前に、各紙の報道をまとめておきましょう。以下のリンクは、最初だけ別ウインドウが開きますが、その後のリンクは同じウインドウを使い続けるので、読み終えた後にウインドウを閉じる事は不要です。

11/16以降にアップした分

11/14,15までにアップした分



発言等



今週の週刊金曜日の構成

マスコミでは「曽我さんインタビュー」しか出てきませんが、今週の週金は事実上「北朝鮮特集」です。表紙まで含めて70ページにも満たないのに、北朝鮮関連記事で紙面をかなり埋めています。

まず最も扱いが大きいのは、曽我さんインタビュー。全部で6ページですから、これだけで全体の一割近くを占めるんだけど、うち2ページは見開きのトップページ(右の画像)、1ページ半は記者の能書で占められており、実質的なインタビュー部分は僅か2ページ半。

次に見開き2ページを使って、粟野仁雄というジャーナリストが「忘れられた子どもの人権 『永住帰国』で見えてこない残された家族の気持ち」という文章を載せています。子供が可哀想だから、被害者を北へ戻せと暗に述べています。

更にその後、「何より拉致被害者の意思尊重を -改善の兆しが見えない北朝鮮での人権状況-」と題して、 アムネスティという国際人権団体の日本事務局長へのインタビュー記事。これが1ページ。アムネスティは、少し前に「被害者の意思を尊重しろ」と言って、ちょっとだけ話題になった団体です。

その後3ページおいて、浅井基文という明治学院の教授がインタビューを受けている。これは対米関係についての話題が主なのだが、北朝鮮にも触れていて、「有事法制を成立させるまでは、北朝鮮を摩詞不思議な国に仕立て上げておかなければいけないという状況は変わらないでしょうね。」と言う。

これでやっと朝鮮の話題は途切れるのだけど、50ページで落合恵子が日記形式のコラムの中で北朝鮮のマスコミ報道について若干触れています。

紙面も終わりに近づき、投書欄。ここには4つの北朝鮮関連投書が載っていますが、特に「日朝交渉のカードに使うな」と「拉致被害者の意志のみを尊重しよう」が秀逸(?)。横には東京YMCAというミニコミ紙が紹介されていて、「小泉首相の訪朝をめぐって アジアの良き隣人となるために」と題する文章が載っています。

そして「金曜日から」という事実上の編集後記で、岡田幹治編集長が曽我さんインタビューについて、かなり長い釈明文を書いています。ここから、彼らは確信犯である事が分かります。

という事で朝鮮関連の記事はトータルで10ページ以上の分量があり、全体に占める割合は2割にもなります。にも関わらず、北朝鮮がいかに(彼らの大好きな)人権の無い国かについて書かれたのは、ほんとチョビットです。




曽我ひとみさんインタビュー

既に2ちゃんねるに全文がアップされていました(私がアップしたのではありません)。内容は以下のURLクリックして下さい。

先に述べましたが、6ページにもわたる大きな記事なのに、インタビュー部分は僅か2ページ半しかなく、明かに不自然な構成です。1ページ半にもわたる能書は、記者が会見内容を要約したもの。そんなものを載せるくらいなら、もっとインタビューに紙面を使えば良いのに。そして肝腎のインタビュー部分は、「帰ってきて欲しい」「約束を守って」など北朝鮮政府の代弁が半分以上を占めています。

以上から私は、「週金の言いたい事」が最大限に伝わるよう編集がなされたと推測します。週金の言いたい事はいうまでもなく「曽我さんは北へ戻れ」です。インタビュー部分は、家族が「北へ戻れ」と繰り返し述べている部分を抜きだしたのでしょう。また記者による要約部分には2つの役割があります。一つは、インタビュー部分では載せられなかった部分を、補足する事。もう一つはインタビューと重複する事を述べて「北へ戻れ」というメッセージをより強める事。週金は公平な立場から取材をしたのではなく、予め決まった結論を導く為に取材をしたのです。確信犯であり、フジ朝毎のオマヌケとは一味も二味も違います。

黒川氏は「判断材料を提示するのがわれわれ報道関係者の務めだ」と言っています。つまり、この恣意的な結論の決まった記事を判断材料にしろと。自らのプロパガンダを通す為に、曽我さんに北に戻れ、と。判断材料などではなく、脅しです。




粟野仁雄:忘れられた子どもの人権

ここからが本番です。曽我さんインタビューの次に、この記事を持ってくるところに、週金の意図が見え隠れします。

筆者(粟野仁雄)について

あわの・まさお(ジャーナリスト)
1956年大阪府生まれ。大阪大学文学部卒業。ミノルタカメラを経て共同通信社に入社。北海道勤務、本社運動部勤務などを経て、現在はフリーで活躍。著書に『サハリンに残されて』『瓦礫の中の群像 阪神大震災』『あの日、東海村でなにが起きたのか』などがある。

http://www.usio.co.jp/magagine/usio0207/u020708.html


この文章は、次のように始まります。

忘れられた子どもの人権

忘れられた子どもの人権
「永住帰国」で見えてこない残された家族の気持ち


「北朝鮮に帰したら戻れる保証はない」との家族会の強い意向を受けて、政府は五人の拉致家族の永住帰国を決めた。しかし、子どもたちの意向は確認されておらず、被害者本人の真意も定かでない。

マレーシアのクアラルンプールで一〇月二九、三〇日に行なわれた日朝国交正常化交渉は物別れに終わった。「二週間程度」の約束で一〇月一五日に一時帰国した拉致被害者五人を、日本政府がそのまま永住させようとしていることが、原因の一つだった。被害者本人はもちろん、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に残されたままの子どもたちの処遇は宙に浮いたままだ。

かなり抑制をきかせている出だしですが、「日朝交渉が進まないのは、約束を破った日本政府が悪いのだ」「被害者はとっとと北へ戻せ」と言いたくてウズウズしています。子供の人権を忘れているのは勿論「日本政府」であります。

この後は、かなり長い間、事実の羅列が続きます。「北へ戻すべきだ」という言論に都合の良い事実を抜きだしてピックアップしている感じです。そして圧巻は終盤です。

納得いく説明の機会を

納得いく説明の機会を

この夏、戦時中に日本政府によってサハリンに強制運行され、戦後、韓国に帰国した朝鮮人家族を取材した。ソウルなどに落ち着いて、親たちは韓国に子どもを呼びたがっているが、二世はロシアで育ち、ロシア語しかしゃべれない。親の誘いを断ってサハリンにとどまり、離散状態となっている家族が少なくない。あれほど望郷一途で韓国に帰った親たちの中にも、再び子どものいるサハリンに戻ることまで考えている人がいる。

戦後、日本に帰りそびれたサハリン残留日本人も九〇年ごろから北海道などへ永住帰国した。サハリンに残した子どもを呼び寄せようとしたが、言葉の壁を克服できても、生活慣習や労働慣習が大きく違うため、うまく溶け込めない例も多い。中国残留孤児の二世も様々だ。もちろんソ連崩壊後のサハリンや中国と、いまの北朝鮮はまるで違うのだろうが、物質的な豊かさだけでは人は幸せになれない。

親にとっては拉致国家であっても、そこで生まれ育った子ども本人にとっては故郷であり、幼なじみもたくさんいる。いきなり、すべてを断ち切れというには、親からのきちんとした説明が必要だ。 救う会の荒木和博事務局長は「日本国籍があるのだから、日本に返すのは当然」と説明するが、粒致されたわけではない子どもにとって「原状回復」とは何なのだろうか。

小泉総理の電光石火の訪朝以来、急展開を見せた拉致問題の動きがやや止まったいま、「親が子に納得いくまで説明できる」環境作りこそが優先的な課題となっている。

国交正常化交渉がうまくいき、日本と北朝鮮が自由に往来できるようになった後で、任意に生活拠点を決められるようになれば、それに越したことはないのだが。

要するに粟野氏の言いたい事、そして週金が曽我さんにいいたいのは、こういう事なのでしょう。インタビュー記事と併せて、この記事も読ませれば効果絶大。週金が「曽我さん、北朝鮮へ帰れ」と考えており、それを実行に移そうとした事は、もう疑えません。本当にやり方が悪質です。

確かに子供が外国にいついてしまい、親の帰国が困難になったケースはあるでしょう。でもそうでないケースも存在します。一方のケースのみを根拠にして「原状回復とは何なのだろうか」では成り立ちません。

一番最後にホンネでちゃったね。「日本と北朝鮮が自由に往来」だって。北朝鮮がそんな国だったらどんなに良い事か・・・。こんな夢物語を語っても、ほとんど何も言ってないに等しいです。仮に「日本と北朝鮮が自由に往来」が実現出来たとしても、その都度、日本は北朝鮮から金か米をせびられますよ。




人権団体アムネスティ事務局長へのインタビュー:何よりも拉致被害者の意思尊重を

 一見まともな記事と思いきや、

アムネスティとしては、この五人の方々については、「どこに住むべきか、今後どのようにするべきかなどについて、彼ら自身の選択の自由を重んじなければならない」との声明を一〇月三〇日に発表しました。日本、北朝鮮ともご本人たちの選択の自由を無視したような姿勢には、懸念を感じます。まず、自由に自分たちの意思を決める環境をつくってあげることが必要ではないかと思っています。


といっています。

北朝鮮という国を知らない人が読むと、いかにも冷静な感じがするでしょう。しかし人権に対し最も厳しい筈の人権団体が、人権弾圧国家の北朝鮮と自由主義国家・日本を同列に扱っているという時点で、「日本のアムネスティは実は北朝鮮寄りの団体ではないか」と疑わなくてはなりません。

週金の記事の中でアムネスティは、いかにも北朝鮮の人権について色々と活動をしてきた風に書いています。しかし読み返すと、「北朝鮮に人権弾圧状況について質問したけど、なかなか答えが返ってこなくてねぇ」以上の事は書いておらず、北朝鮮の人権弾圧は断乎として許さない、みたいな迫力がありません。

------内部の人権状況をうかがい知る方法はないのですか(週金)。

北朝鮮国内で独立した調査ができない以上、国連など国際機関の監視活動が必要でしょうが、これも相手が認めるかどうか分かりません。また、中国には、「脱北者」と呼ばれる北朝鮮から脱出してきた多くの難民がいますから、聞き取り調査をやれば収穫があるでしょう。ところが中国側は私たちのそうした活動を認めていませんし、国内での組織作りも禁止している状態です。(アムネスティ)

人権団体なのに、人権弾圧支援国家・中国の言いなりになっている、というのがそもそもおかしい。それに中国がダメなら韓国亡命者を頼れば良いではないですか。韓国政府は喜んでインタビューさせてくれるぞ。中国脱出難民に対する聞き取り調査だって、石丸次郎という人がとうの昔に行っていて、「北朝鮮難民」という本まで出しています。この本を読めば、それなりの事は分かるぞ。それさえもしないという事は、彼らは北朝鮮の人権弾圧について戦うつもりなどさらさらなく、アリバイ作りをしているだけなのです。

日本のアムネスティが北シンパではないかと疑わせる事は更に2つあります。一つは事務局長・寺中誠が設立当時のJCA-NETの役員であり(今はどうだか知らない)、彼のHPのURLもhttp://www.jca.apc.org/~teramako/である事。JCA-NETはほとんど左翼運動用のプロバイダであり、異様に韓国北朝鮮を持ち上げる団体が少なくありません。次のページに、寺中氏がJCA-NETの常任理事である事が述べられています。

「JCA-NET」(市民組織)の正式発足

そして何よりも次のページです。

北朝鮮を「共和国」なんて呼ぶ時点でもうアウトだけど、他の疑問点も述べましょう。

「共和国政府と日本は、1970年代に強制的に共和国に拉致され、現在日本を訪れている生存者5人に対し、どこに住むべきか、今後どのようにするべきかなどについて、まず彼ら自身がそのように考えるか、という意思を重んじなければならない。」とアムネスティが言った当初は、アジア情勢に疎いヨーロッパの人権団体のいう事だからと気にも止めませんでした。しかし週金事件をキッカケにネットを検索してみると、日本のアムネスティは限りなく胡散臭い団体である事が分かりました。アムネスティ本部(ロンドン)が、親朝であるアムネスティ日本の意向を受けているのだとすれば、かなり恐い事です。北朝鮮問題を、そして救う会はそういうところにさえ期待をしなくてはならなかった事にも驚きました(まあ国際会議だから、必ずしも日本のアムネスティを指す訳ではないのだが)。

第3回北朝鮮の人権と難民問題国際会議での決議

7.アムネスティー・インターナショナル、ヒュウマンライツウォッチを含む国際人権諸団体は、北朝鮮の人権状況のより精密で、より包括的な全体像を描き、提供すべきである。

※この会議は日本実行委員会と韓国のNGOが共催。日本側実行委員会には家族会と救う会が参加した。

http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/2826/seimei/seimei_140228.html

で、週金に話を戻すと、日本のアムネスティは人権団体といっても北朝鮮に対してあまり非難めいた事は言わないし、寺中誠などはJCA-NETつながりで面識があるから(週金のHPもJCA-NETです)、週金も安心して記事に出来るのでしょう。




浅井基文、必死だな:岡田編集長によるインタビュー

吉田康彦さんほどではありませんが、この人もたまに槍玉にあがる人です(浅井基文のホームページ⇒ 孫の女の子がカワユイ)。反米的な言葉が多いですが、アメリカに異を唱える部分は違和感はありません。問題なのは、反米と有事法制反対を両立させる為に、「北朝鮮擁護」に走ってしまった点です。

ただし日本側には、アメリカが北朝鮮どあまり早く合意してくれては困るという思惑があります。米朝枠組み合意は結構となると、北朝鮮の軽水炉建設に協力するKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)は勢いよく動き出す。そうすると、国内の「北朝鮮脅威論」には冷水が浴びせられてしまうわけです。有事法制を成立させるでは、北朝鮮を摩詞不思議な国に仕立て上げておかなければいけないという状況は変わらないでしょうね。


 いやいや浅井さん、その認識は逆だって。「北朝鮮が摩訶不思議」な国だと、浅井さんの学説が崩れてしまう。だから浅井さんは、必死こいて北朝鮮を常識的な国に仕立て上げておかなければいけないという状況なのです。


 浅井さんの学説というのはこう。


一九九四年に核疑惑が表面化したときは、アメリカは北朝鮮と開戦寸前までいったようです。アメリカが北朝鮮に対して、寧辺などの核施設を無害化するために攻撃をかける。それに対して北朝鮮か三八度線を越えて反撃し、ソウルを火の海にしたり、あるいは日本にゲリラ部隊を送り込んで原子力発電所などを破壊したりする。そうしたことが予想される緊迫した事態になり、アメリカが一〇五九項目の対米支援要求を日本に突きつけていたのです。

当時、日本政府は国民の目を盗んで、アメリカの要求に応えることができるか一生懸命検討したわけですが、結果的にはなにもできなかった。それは当時、日本に有事法制がなかったからです。

この朝鮮半島での危機は、カーター元大統領が北に飛んで金日成主席と話をつけ土壇場で戦争が回避されたことになっている。しかしもう一つ大きな要因として、日本に有事法制がなかったことがアメリカの戦争継続の妨げになると考え、アメリカが先制攻撃を断念せざるを得なかったと私は思うんです。そうした点からみて私は、今問題になっている日本の有事法制の起点はやはり九四年だと思っています。

その後、日本で合意された新ガイドラインや有事法制について、のなんです。アメリカが他国に先制攻撃を仕掛ける、それに対して日本が協力する。これがいま目指している中身であって、自衛権の行使とは全く別次元のきわめて攻撃的な話なんですよね。



これだけだと、浅井教授の学説は中途半端なので、別のページから補足しておきます。

そもそも有事法制の出発点は一九九四年のいわゆる北朝鮮の「核疑惑」だった。北朝鮮の核施設を米軍が破壊する軍事行動を発動する。北朝鮮は反撃し、アメリカに全面協力する日本も標的にする。しかし日本には有事の備えがない。日本に拠点を置くアメリカも大打撃を受ける。したがってアメリカは、北朝鮮に対する攻撃そのものを思いとどまらざるを得なかった。これが当時の状況だった。

それ以来アメリカは、日本に有事体制を作らせ、「戦争する国」に変質させる方針を本気で追求することになった。その結果が新ガイドラインであり、とくに「対日攻撃対処」の部分の念入りな作成だった。しかしその後、対日攻撃対処の受け皿となる有事法制は作られないまま小泉政権となった。

http://www.korea-htr.com/jp/971980/97309kk.htm

有事法制についての是非はおいておきましょう。とにかく浅井センセ―は、米朝戦争が起きなかったのは、日本に有事法制がなかったのが大きいと思っている。しかし事態はそれで終わらなかった。この94年を転機に、アメリカは日本に有事法制を作らせようと圧力をかけだした。でも日本人は暢気だから、自分から有事法制なんか作ろうとしない。そこで「北朝鮮の核の脅威」というものを燃料にして、有事法制へ突っ走っていった。

そういう見方もアリかなとは思うけど、浅井センセの論に説得力を持たせようと思ったら、クリアしなければならない問題がある。それは「北朝鮮の核疑惑がウソである事を証明しなくてはいけない」という事。だってそうでしょ。94年時点での北朝鮮の核疑惑がホントだったら、「なんだ、アメリカの見込みはあってたんじゃん」という事になり、そうしたら「アメリカが日本にやらせようとした有事法制も止むを得ないものなんだね。」と将棋倒しに論が崩れてしまいます。

という訳で、浅井センセにとって、北朝鮮が摩訶不思議な国であってはならず、常識的な国に仕立て上げておかなければいけないという状況に陥ります。だから北朝鮮が変な事をやらかした場合、意識的にか無意識にか、やたらと北朝鮮を擁護するようになります。

以下、浅井センセの北朝鮮擁護論を色々なHPから引用しておきます。「核疑惑はデッチ上げ」とまで言い切っているのは流石に無いけれど、これらを読めば「北朝鮮は核なんか持っていない! 持っていないで欲しい!」と思っていた事はビンビンに伝わってきます。現実を観察した上で理論を構築しているのではなく、理論が先にあって、それに都合が良いように解釈してるのですね。

どうでしょう、浅井センセの思想が、少しは分かってきましたか? 浅井センセは、「はじめに北朝鮮マンセーありき」ではないのです(「共和国」とも呼ばないし)。センセの反米理論、有事法制反対の理論を強化する為には、必然的に北朝鮮がごく常識的な国でなくてはならないのです。北朝鮮が危険な国だったら有事法制化論が説得力を持ってしまうのだから必死です。北朝鮮からの先制攻撃は決してなく、先制攻撃をするのは必ずアメリカでなくてはならない。北朝鮮には核疑惑よりも、アメリカが圧倒的な軍事力を背景に北朝鮮に対し脅しをかけているのが問題だ。不審船の件だって、結局は日本が悪かった事になっている。有事法制を止めるためには、何が何でも北朝鮮が悪であってはならないのです。

しかし現実には北朝鮮は核をもっていた。その時の言い訳は何か。週金本紙から引用です。

北朝鮮が濃縮ウラン製造施設を持っているのは、確かに国際法違反で、米朝の枠組み合意やNPT(核兵器不拡散条約)にも違反する。しかし実際問題としては、アメリカのペリー元国防長官が述べているように、遠心分離装置による濃縮ウランの抽出は技術的に難しく、そう簡単に成功するものではありません。この問題で大騒ぎするのはためにするものです。

救いようが無いとは正にこの事です。目の前の現実でさえ、浅井センセを変える力は無いのだ。。。現実に核を持っていると分かると、「いや、それは簡単に成功するものではないから、問題無いんだよ」という風に、理論を微修正する。技術的な事は時間をかければ克服されてしまうのだから、浅井センセのおっしゃる事は全く説得力が無いのですが。。。

浅井先生は以前にも同様の論法を使っています。テポドンについてです。

新ガイドラインは何をもたらすか

新ガイドラインは何をもたらすか

[xi] 弾道ミサイル攻撃が加えられた背景についても若干説明しておく必要があるだろう。「弾道ミサイル攻撃」というと、直ちに北朝鮮のノドンやテポドンによる核攻撃を思い浮かべる人が多いことは、新聞やテレビといったマスメディアの無責任を極めた報道の影響が大いに力があって、多くの集会に伺っている私が実感させられることだが、これは見当はずれも甚だしい。ノドン、テポドンの命中精度の低さ及び搭載能力の低さは軍事専門家の間では常識である。

多くの読者が簡単に目に触れることができることを考慮して、ここではとくに99年8月28日付の朝日新聞に掲載された「一から分かるテポドン」という記事を紹介しておく。同紙の軍事専門家である田岡俊次氏が書いたものだ。それによれば、日本のある原子力発電所をめがけてテポドンを発射した場合、「四万五千発発射すれば一発が命中する確率だ」とあるし、「長崎に投下された最初のプルトニウム原爆(ちなみに北朝鮮が開発を目指しているといわれるのはこのタイプ)…は重さ四・九トン…もあった。そんな巨大なものではミサイル弾頭にしにくい(筆者注:小型化するためには核実験を積み重ねることが不可欠であるが、北朝鮮が核実験を行ったということは、北朝鮮にもっとも疑惑の目を向けているアメリカ政府すら一言も触れたことがない)」ともある。要するに、新ガイドラインが「弾道ミサイル」攻撃をわざわざ取り上げたのは、北朝鮮を念頭に置いたものでないことは明らかだ。

http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/japan/file26.htm

とにかく北朝鮮が、(浅井センセの意に反して)色々とヤバい事を仕掛けてくると、浅井センセはこの種の論法(「いや、北朝鮮の軍事力は問題無いんだ」)で逃げようとします。本当に爆弾が落とされたとしても、北朝鮮を擁護し続けるんだろうね。それにしても今、命中の精度が低いからといって将来もそうとは限らない。それに原発にスポット的にあてるのは45,000分の1という数字は、そもそも田岡俊次はどうやって計算したんだ? それに東京23区内、日本領土内と範囲を大きくすれば、確率は1に近づいていく。「原発に当たらないから安全」なんて事は絶対にない。この時点では、浅井センセはまだ北朝鮮が核を持っているとは思ってなかったみたいですね。よくここまで北朝鮮の軍事力につして都合の良い解釈が出来るものです。

週金本紙に戻ります。とにかくこの人の反米論は延々と続きます。北朝鮮論は一部の左翼にしか通用しないものなんだけど、反米論は必ずしも変なものではなく、次の段落なんかは石原慎太郎が言ってもおかしくありません。

日米協調とか日米友好とか言いますけど、実際のアメリカはとってもしたたかだと思うんですよ。それをファーストネームで呼び合える仲だと喜んでいるところに、日本の政治家の幼稚さ、狭量さ、刹那性というものを見ますね。要するにアメリカの恐さを分かっていないんですよ。 戦後五〇年の間に、日本の政治も経済も意識までもが、アメリカ的なものに支配されてしまったという感じがします。その通りだと思いますね。アメリカ神話というか、日本がアメリカ製日本になったという状況ではないでしょうか。

だから、アメリカが自己破綻を遂げないと私たちも目が覚めないということになりかねない。困るのは、アメリカが破綻したら日本も破綻することは火を見るよりも明らかなことです。今の日本は四面楚歌の状態ですよ。この状況を脱するには、理屈抜きのアメリカヘの追従、これをまず清算することが第一だと思いますね。それな くして、アジア諸国に対して目を向けるということも不可能です。 日本は世界の大国なんですよ。性根を据えて主張すれば、アメリカだって聞かざるを得ないだけの実力を持っている。国民の覚醒があれば、すべて事態が好転すると思うんです。

もっとも次の段落ですぐに馬脚を現してしまいます。

その覚醒がないと、結局、総選挙で自民党は嫌だけど、自民党に代わる政党として共産党に投票するという思い切った選択をしない。そういう国民性ですね。しかし共産党が総選挙で五〇議庶以上を得て、予算案提出権を得る、それぐらいの力を持てば、目に見える変化が起こると思うんです。年末年始にかけて、どのように国際情勢は動いていくのでしょうか。

・・・だれか、自民の代わりに共産に入れた人っている? 石原都知事の例えを引用すると、共産党はあくまで「カレーの中の福神漬け」だから良いのであって、ライスの上に福神漬けがドバーってかかったものを食べる人など、そうそういません。結局この人は、(社民ではなく)共産が好きなんですね。

ちなみに、浅井さんは、中核派をはじめとする過激派の救援団体「救援連絡センター」ともお付き合いがありそうですよ。詳しくは、石田ビル4階とは何か? 〜救援連絡センターと中核派〜 を読んでね。一番下に浅井さんが登場します。あと、百万人署名運動の呼びかけ人もやっていますね。




落合恵子氏の日記コラム:犬の遠吠え 花に嵐

 50ページにポツンと載っている落合氏の日記形式のコラムに、以下のような文章がありました。ちなみに落合氏も週金の編集委員です。

一一月★日

一一月★日

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の粒致事件に関する報道の過熱ぶりは常軌を逸していないか? ワイドショーなんかすっごく張り切ってるぞ。かけがえのない個人の人生と人権が、政治的取引と力学の素材とされていることを、どうしてメディアはもっと正面から伝えない!

私もワイドショー的な拉致報道には嫌悪感を感じています。でも「じゃあ、落合恵子氏と同じ意見だね!」という事にはなりません。「かけがえのない個人の人生と人権が、政治的取引と力学の素材とされていることを、どうしてメディアはもっと正面から伝えない!」という文章に隠された意図があると思われるからです。短い文章なので分かりづらいですが、落合氏は以下のような事を言いたいんだと思う。

かけがえのない個人の人生と人権が、政治的取引と力学の素材とされている。

政治的取引と力学の素材にしているのは、日朝の政府である。

日朝の政府は、政治的取引と力学の素材にするのを止めるべきだ。

日本が拉致被害者を朝鮮に戻せば、政治的取引と力学の素材になるのが止められる。

この文章にはどうにもこのような論理が見え隠れするので、中立的な立場で被害者を思いやって書かれた文章であるとは、私には思えません。後の投稿欄で中西由多嘉さん(86歳)が、この事をズバリと書いていてくれてます。




編集部が書けなかった事は、読者投稿欄で補足します


 ある意味一番悪質なのは、この読者投稿欄です。編集部が直接言えない事をズバリと読者に言わせるものだからです。掲載順通りではありませんが、落合恵子氏コラムとの繋がり上、まず中西由多嘉さんの投稿を採り挙げます。

日朝交湊のカードに使うな 中西由多嘉(86歳)

日朝交渉のカードに使うな 中西由多嘉(86歳)

北朝鮮に拉致された被害者が帰国してから、テレビ・新聞は連日、彼らの動静を報じている。しかし、そのほとんどが北朝鮮に返さないという日本政府の方針を是とし、彼らの子どもたちを日本に寄越せと主張している。拉致帰国者たちの言動から、早く帰って子どもたちに逢いたいという思いが伝わってくる。にもかかわらず、彼らの親たちまでが帰さないと態度を堅くしている。

こんなことを長く続けていたら、彼らとその親たちとの精神の断絶を来すことになるのではないか。政府が彼らを人質にとって国交正常化交渉を有利に進めようという策略は、幼稚であるし、人権弾圧でさえあるだろう。

政府はこそくな手段をやめ、速やかに彼ら拉致帰国者を北朝鮮に戻し、日本に永住するか、北朝鮮に永住するかを、彼ら自身に決めさせるべきである。私は先の大戦のさい、新聞やラジオによって毎日叫ばれていた「一億一心火の玉だ」というスローガンを思い起こして、寒気がした。

このおじいさん、カードという言葉の意味を理解していませんね。国語辞典にもこの用法は載っていないんだからしょうがないか。大学では数学をやってきたこの私奴(わたくしめ)が、中西さんの為に正しい用法をお教えして差し上げます。

つまり被害者をカードとして使っているのは朝鮮の側なんです。日本としては、被害者家族が日本に帰ってきたところで、それ以上の意味はありません。このおじいさんは、「カード」と「カードを切る事によって得られる果実」を混同しているだけなのです。あと北朝鮮の極端な金親子崇拜を棚に上げて、日本についてだけ「一億一心火の玉だ」を言うのもどうかしている。

中西さんの過去の投稿を挙げましょう

 次に藤田稔さんという大学教授。検索をしたら、どうやら山形大学で経済関係の法律を御専門にされているようです(藤田氏の公式HP)。

拉致被害者の意志のみを尊重しよう 藤田稔(48歳) 大学教授

拉致被害者の意志のみを尊重しよう 藤田稔(48歳) 大学教授

日本に帰国した北朝鮮による拉致被害者が日本にそのまま留まることになっているが、その表情は明るいとは言えない。私は被害者が気の毒でならない。

被害者は粒致された後、艱難辛苦を乗り越えて今日の北朝鮮における地位・キャリア・生活を築き上げたものと思う。想像を絶する苦労であったろう。ところが被害者の家族会や日本政府が、日本への永住帰国を強いれば、被害者にとっての二十数年ぱまさしく無価値とされることになろう、日本において、濃密な家族の感情に縛られながら、ひたすら家族と日本政府に依存し、マスコミの好奇心にさらされる毎日が続くのではないか。 北朝鮮に育ち、突然、親から直接話を聞くまでもなく、半強制的に日本への移住を強いられる子どもたちの気持ちはどうなのか。自分がその立場なら、簡単には日本への移住を受け入れないであろう。

日本国憲法二二条は、日本国民に明確に海外への移住を権利として認めており、家族であろうとこれを侵害することは許されない。私は、日本政府は国交正常化交渉の申で、日本人妻を含めて、すべての北朝鮮在住の日本人とその家族が、現在の中国なみに日本と自由に往来できるように強く要求すべきであると思う。日本に永住帰国するかどうかは、あくまで拉致被害者のみの意志に基づき、被害者自身が決定すべきことである。

私も藤田さんと同じように考えた時期もありましたが、「現在の中国なみに日本と自由に往来」なんて事を要求しても通る可能性は非常に小さいので、政府の措置も止む無しです。そもそも法律の専門家が、日本国憲法の移住の自由と、北朝鮮の拉致を並列に論じてどうする。「移住の自由」が穢れます。それに「移住の自由が無い国」に、被害者を連れていくのも、間接的に移住の自由を迫害する事になると思うのだけど。

藤田教授もそうですが、北朝鮮擁護論者は、「北朝鮮について一般論で語る」という戦法をとっています。「一般論で言えばそうなんだけれども、北朝鮮についてはそれが適用出来ないから、困っている」のです。藤田教授のような輩に騙されてはいけません。

あと北朝鮮関連では二つほど投稿が載っています。一つは「北朝鮮と日本の類似点」。最高権力者が世襲によるものかどうかが「ちょっと似ている」そうです。まあ戦前の皇室と金正日体制を擬えるのも悪くない試みだとは思う。ただ日本の場合は、アメリカに占領されたにも関わらず「象徴天皇制」として生き残ったけど、金正日体制が崩壊したら、金正日は死刑になるか亡命するかありません。そこは「似てない点」です。

もう一つは、「過去も現在も、大切なのは悲劇を繰り返さないこと」という在日朝鮮人の投稿。投稿者の立場を考えれば、バランスはとれていると思う。要旨を箇条書きで示すと、以下の通りです。





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