2011年1月26日 11時45分 更新:1月26日 13時1分
独立行政法人の日本政府観光局は26日、10年の訪日外国人旅行者数が前年比26.8%増の861万1500人になったと発表した。08年の835万1000人を上回り過去最高となった。ただ、円高の進行や尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の影響から欧州や中国からの観光客が想定を下回り、10年の訪日外国人数を1000万人とした政府目標は未達成に終わった。これを受け、政府は観光戦略の抜本的な練り直しを行う方針。
国・地域別にみると、最多が韓国で53.8%増の243万人と主要国・地域の中で最大の伸び率となった。2位が中国で40.5%増の141万人、3位が台湾で23.8%増の126万人と、アジア各国が上位を独占した。米国(3.9%増の72万人)や英国(1.4%増の18万人)、フランス(6.9%増の15万人)は1ケタ台の伸び率にとどまった。
政府は1人当たりの観光消費額が多い中国を観光戦略上の重点国と位置づけ、昨年7月には個人観光ビザの発給要件を緩和。しかし、9月の中国漁船衝突事件でそれまで増加傾向にあった中国からの訪日数は減少に転じた。1000万人の目標をめぐり、「『頼みの綱』だった中国が伸び悩んだことが痛手」(観光庁幹部)となった格好だ。
民主党政権は政権交代直後、訪日外国人数を将来的に3000万人に増やすと宣言。16年に2000万人、19年に2500万人を目指す方針を決めた。【三沢耕平】