2011年1月26日 21時12分 更新:1月26日 21時41分
菅直人首相による施政方針演説など政府4演説に対する各党の代表質問が26日始まり、首相は11年度予算案や税と社会保障の一体改革などについて与野党協議に入るよう野党側に求めた。予算の執行に必要な予算関連法案の成立には野党の協力が不可欠で、首相は低姿勢で論戦に臨んだが、自民党の谷垣禎一総裁は衆院解散・総選挙や退陣に追い込む姿勢を鮮明にし、首相は防戦に追われた。
「首相は6月までに消費税を含む税制抜本改革の成案を得るとして、『政治生命を懸ける』と明言したが、期限通りになし得なかったら辞職する、もしくは信を問うために解散するということか」。谷垣氏の質問に首相は色をなし「政治生命を懸けるという点は改革に向けて最大限努力していきたいという私の覚悟を申し上げた」とかわした。
ただ、語気を強めたのはこの時だけ。税と社会保障の一体改革について「さまざまな選択肢を検討したい。野党の皆様にも議論に参加していただきたい」と低姿勢に終始。予算案と関連法案についても「国民に安心と活気をもたらすため、なくてはならない。建設的な議論を呼び掛けている」とし、答弁の最後も「社会保障改革に向けて国民に責任を果たす立場から、超党派の協議に参加いただきたい」と与野党協議を呼び掛けた。
首相が下手に出ざるを得ないのは、与党が参院で過半数を持たない「ねじれ国会」のもと、関連法案を成立させるには野党の協力が不可欠なためだ。
一方、谷垣氏は強気一辺倒で首相を攻め立てた。自民党は予算案と関連法案で政権を行き詰まらせ、内閣総辞職か衆院解散・総選挙に首相を追い込む戦略を描いている。また、対決路線を前面に出し、4月の統一地方選を有利に進めたい思惑もある。谷垣氏は「(マニフェストの)過ちを認めて撤回し、有権者におわびして信を問い直すべきだ」と追及するなど、計7回も衆院解散・総選挙を求めた。
これに対し、首相は「9月で衆院議員の任期の折り返しを迎えることから、党でマニフェストの検証を行いたい。仮に見直しを行う判断をした際は、国民に丁寧に説明し理解を得たい」と述べるにとどめ、解散はあくまで拒否した。
首相は代表質問終了後、記者団に「できるだけ丁寧に質疑をしたつもり」と振り返った。一方の谷垣氏は「正面から答えていなかったことが多かった」と首相の答弁に不満を漏らした。【中山裕司】