2011年1月26日 19時26分 更新:1月26日 19時51分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、世界初の宇宙ヨット「イカロス」が金星まで約8万キロの地点で撮影した画像を公開した。撮影は昨年12月で、三日月状に輝く金星と、太陽電池を載せた帆や帆綱が写っている。JAXAは「SF(空想科学小説)と思われた宇宙ヨットが金星に到達した証拠」と説明した。次は木星に向けたヨットを18~19年にも打ち上げる方針だ。
イカロスは昨年5月に打ち上げられた。14メートル四方の樹脂膜を広げ、太陽光のわずかな圧力を受けて進む。膜面の液晶装置で光の反射率を部分的に変えることで帆の向きを変え、かじを切ったり加減速にも成功。既に約5億キロを航行し、膜上の装置で宇宙空間のちりの分布を明らかにする観測を続けている。
現在、1周約10カ月で太陽を回る「人工惑星」となり、5年後に地球近くを通る。森治チームリーダーは「燃料は予定より多く残っており、その時まで運用できたら理想だ」と話した。
木星探査では、面積が10倍となる45メートル四方の帆を備え、小惑星探査機「はやぶさ」で使われたイオンエンジンと組み合わせた「ハイブリッド推進」で航行する計画。自然エネルギーを活用する日本の技術力を示す手段としても注目されそうだ。【山田大輔】