2011年1月26日 11時52分 更新:1月26日 13時14分
【ワシントン斉藤信宏、草野和彦】オバマ米大統領は25日午後9時(日本時間26日午前11時)過ぎから、上下両院合同会議で09年1月の就任以来2回目の一般教書演説を行い、政権3年目の施政方針を示した。大統領は中国やインドの経済発展を念頭に「(米国を取り巻く)世界は変わった」と指摘し、米国の「未来の勝利」に道筋をつけることが重要だと述べた。その上で、米国経済の国際競争力強化と雇用創出に全力を尽くす考えを強調した。
1年10カ月後に迫った次期大統領選に向け、国内経済の再生を最優先課題にすえた。10年11月の中間選挙での与党・民主党の大敗を受け、政策を中道寄りに路線変更する姿勢を鮮明にした形だ。
オバマ大統領は、旧ソ連が1957年に世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、米国が宇宙開発で遅れたことを引き合いに、現在の米国の国際競争力低下を「(今は)我々の世代にとってのスプートニク時代だ」と述べ、研究・開発分野や教育への投資の重要性を訴えた。
大統領は演説の80%を内政問題に費やし、うちほとんどを経済政策に割いた。国際競争力を高めるため、クリーンエネルギー分野などで技術革新を促し、教育やインフラ整備に集中的に投資する方針を強調。国内での民間投資促進のため、財政赤字を拡大せずに25年ぶりに法人減税を目指すことも表明した。巨額の財政赤字削減に向け、医療保険や年金、安全保障関係経費を除く国内政策に関する歳出の伸びを5年間凍結する方針を示した。
オバマ大統領は「我々が直面する課題は政党や政治より大きい」とも述べ、党派対立の克服なしに米国の前進はないと強調した。
外交・安全保障問題の分野では、アフガニスタンの駐留米軍が7月に撤退を開始し、イラクからは11年末までに駐留米軍が完全撤退することを確認。チュニジア政変に触れ、「米国はチュニジアの人々の側に立つ」と述べた。
さらにロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)が米議会で批准されたことを受け、核軍縮での成果を強調。大統領は核を「最悪の兵器」と呼び、イラン、北朝鮮に対する制裁強化など核不拡散への取り組みも指摘し、両国が国際的義務を守るよう求めた。