野球賭博:容疑の元力士ら4人逮捕 警視庁

2011年1月26日 10時39分 更新:1月26日 13時24分

車両に乗り込む古市貞秀容疑者=千葉市で2011年1月26日午前10時28分、久保玲撮影
車両に乗り込む古市貞秀容疑者=千葉市で2011年1月26日午前10時28分、久保玲撮影

 大相撲の野球賭博事件で、警視庁組織犯罪対策3課は26日、阿武松(おうのまつ)部屋の元幕下力士、山本俊作容疑者(35)=06年5月引退=ら4人が予想や賭け金を取りまとめていたとして、賭博開張図利と同ほう助容疑で逮捕した。一方、10年7月に解雇された前大嶽親方(43)や元大関・琴光喜関(34)ら賭博客だった力士らについては今後、単純賭博容疑で書類送検する方針。角界を揺るがした一連の事件で、賭博容疑による立件は初めて。組対3課は賭博の利益が暴力団側に流れていた疑いがあるとみて全容解明を進める。

 捜査関係者によると、他に逮捕されたのは、事件当時は阿武松部屋の現役力士だった▽元幕下の藪下哲也容疑者(29)=10年9月引退▽元幕下の古市満朝被告(38)=恐喝罪で公判中=の弟で元十両の古市貞秀容疑者(34)=同9月解雇=と、古市容疑者の母米子容疑者(63)。

 逮捕容疑は09~10年、客の力士ら10人前後にプロ野球公式戦で勝ちチームを予想させ、百数十万円の利益を得たとしている。

 日本相撲協会の調査や捜査関係者によると、山本容疑者ら力士3人は実質的な胴元として携帯電話のメールで賭博の賭け率などに差を付ける「ハンデ」を客の力士らに送信。試合の勝敗予想を受け付け、「寺銭」(場所代)として勝ち金の1割を得ていたとされる。古市米子容疑者は賭博金の管理をしていたという。

 これまでの捜査で、山本容疑者が野球賭博を阿武松部屋に持ち込んだことが判明。その後、客だった古市、藪下両容疑者が胴元として独立したという。さらに、横綱・白鵬関らと契約していたトレーナーを胴元とするルートもあった。協会は親方や力士ら約30人が野球賭博に関与したと認定したが、ほとんどがこの4ルートで賭博をしていたとみられる。

 元琴光喜関は山本容疑者のルートで賭博を重ねていた。09年12月に勝ち金の請求を巡るトラブルが起き、古市被告や暴力団組員が逮捕・起訴された。【川崎桂吾、前谷宏】

 ◇ことば 賭博開張図利罪

 刑法186条で賭博をさせる場所を開設し、利益を図ろうとすることを禁じている。罰則は懲役3月以上5年以下で、主に胴元が取り締まりの対象。場所代や勝ち金の一部から胴元が得る金は「寺銭」と呼ばれる。賭博をした客については単純賭博罪は50万円以下の罰金、常習賭博罪は3年以下の懲役が科される。

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