財政状況試算:14年度には100兆円の大台を突破

2011年1月26日 2時30分

 財務省が今国会に提出する14年度までの財政状況の試算が25日、明らかになった。それによると、11年度予算案に盛り込んだ事業や、税制が継続されると仮定すると、14年度の一般会計総額は100.9兆円と初めて100兆円の大台を突破、財源を手当てするための新規国債発行額は54.2兆円と11年度(44.3兆円)から約10兆円も増える見通しだ。年金や医療など社会保障費膨張が主因。

 国債発行の大幅な増加は長期金利上昇など深刻な弊害を招く懸念がある。財務省の試算は、政府の目指す税と社会保障の一体改革の必要性を強調する結果になっている。

 試算は、名目成長率が14年度まで年1.0~1.5%で推移すると仮定。11年度に28.7兆円だった社会保障費は、高齢化に伴って毎年1兆円前後増えていき、14年度には31.5兆円まで拡大する見込みだ。国債の元利払い費も、国債発行残高の増加で11年度の21.5兆円から27.1兆円に膨張。この結果、11年度は92.4兆円だった一般会計総額が、14年度には初めて100兆円を突破する。

 一方で、低成長が続くため、14年度の税収は43.1兆円(11年度は40.9兆円)と小幅な回復にとどまり、日銀の納付金など税外収入を加えても54.2兆円の歳入不足が発生。新規国債発行額は50兆円を大きく上回る規模に膨らむ、としている。

 財務省は、政府が目標とする名目3%成長を達成するケースも試算。この場合、14年度に税収が45兆円に上振れするが、景気回復に伴う金利.物価の上昇で歳出も増加。歳入不足は53.3兆円に達し、新規国債の発行額は名目1.5%成長の場合とあまり変わらないとしている。【坂井隆之】

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