菅政権、在日米軍による福島原発への冷却剤輸送を断る。
米国から冷却剤輸送の申し出を受けていたにも関わらず、
菅政権は断った、といううわさがあります。
まるでこれも緘口令を敷いて隠しているかのように、
マスコミではほとんど言われていません。
調べてみると、ロイターのみ2回出ていました。
まずは、3月12日(土)です。
《転載開始》
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【米国、東北地震で被害受けた原発に冷却剤輸送=国務長官】
2011年 03月 12日 04:27 JST
[ワシントン 11日 ロイター] ヒラリー・クリントン米国務長官は11日、
東北地方太平洋沖地震で被害を受けた原子力発電所に、
冷却剤を輸送したことを明らかにした上で、今後も支援を続ける考えを示した。
同国務長官は「在日米空軍が原子力発電所に非常に重要な冷却剤を輸送した」と述べた。
「日本は原子力発電への依存度が極めて高く、非常に厳格な技術的基準を設けている。
しかし地震により一部の発電所に圧力がかかっており、
冷却剤が不十分となっている」と説明した。
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《転載終わり》
危機管理的には、感謝して受け入れるのが正しい判断です。
既に輸送しているという発表でしたので、この時点では、賢明な判断だったと言えます。
しかし、その数時間後には全く変わっています。次の記事を紹介します。
《転載始め》
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【在日米軍、地震被害の原発への冷却剤輸送は実施せず=米政府高官】
2011年 03月 12日 12:56 JST
[ワシントン 11日 ロイター] 米政府高官は11日、
東北地方太平洋沖地震で被害を受けた原子力発電所への
在日米軍による冷却剤輸送は実施しなかったことを明らかにした。
これより先、ヒラリー・クリントン米国務長官は、同原発に冷却剤を輸送したと述べていた。
これについて同高官は、冷却材の供給について日本側から要請があり、
米軍も同意し輸送を開始すると国務長官は聞かされていたもようだと説明した。
その後、日本側から冷却材は不要との連絡があったものの、
国務長官の耳に入っていなかったとしている。
別の米政府当局者は、
「結局、日本は自国で状況に対応できたとわれわれは理解している」と述べた。
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《転載終わり》
日本政府と東電はアメリカの冷却材なしで事故に至らずに解決できると見積もったのでしょうか。
甘い見積もりとしか言いようがありません。
もしもの時に備えておけば事態はかなり違ったものになったでしょう。
残念です。
さらに、福島県出身の私の友人は、このうわさを聞き、
抗議した内容をいただきましたので、紹介します。
■福島県人からみた菅政権の震災・原発への対応
ネットでは、菅首相がアメリカの冷却剤輸送を断ったという話が流れているようです。
福島県人としてどうしても我慢ならず菅直人事務所に電話して聞いてみました。
「福島の人間ですが、少し意見を言わせていただいていいですか。管さんが、アメリカからの冷却剤輸送の申し出を断ったという話が流れていますが本当ですか?もしこの冷却剤があったら放射能漏れの事態にはならなかったと思いますが、どう思いますか?」
「・・・・」
「もしもし、聞こえますか?どう思いますか?」
「はい・・・・」
「もしネットで流れていることが本当なら辞職に値する大変な問題だと思います。もしネット情報が間違っているなら、管さんも立場が悪くなりますから、ちゃんと弁明しておいたほうがいいと思いますよ。管さんは本当にアメリカからの冷却剤の申し出を断ったんですか?」
「‥‥いえ、そんな事実はありません!」 (結構強い口調で断言)
「そうですか、いまそうした事実はないのですね。わかりました。すいませんがお名前をお伺いしていいですか」
「O山と申します」
「はい、私は○○と申します」
「もし、アメリカの申し出を断っていた事実が判明した場合は、首相を辞任いただかねばならない重大な問題だと思います。国民として首相をお願いすることはできませんので、その時は辞めてください。よろしくお願いいたします。」
(既に紹介したロイターの記事は、東電職員が勝手に決めたと言いたいのでしょうか)
昨日、菅首相が、はじめて放射能漏れが人体に影響を与えるレベルであることを認めました。
しかし当初の枝野官房長官の政府発表は、状況分析ばかりで、それも「と思います」とか
「健康に影響を与えるものではない」など、抽象的で楽観的にとれる発表ばかりでした。
福島県では被曝者が出た事実を、政府の発表よりも早く発表。
政府は、状況分析の発表ばかりで、安全だ安全だということばかりが印象に残ります。
福島県人は、のんびりしていますので、そうかまだ安全なのか、じゃ大丈夫だなと判断してしまったのではないかと思います。
それが当初、避難が進まなかった原因です。
ラジオでは、南相馬市の市長がインタビューに応えて言っていました。
「政府にどうしたらよいか聞いても、明確な返答もなく、
何度か催促してやっと回答がくるような状況だった。」
また政府が放射能漏れを発表していない段階で、
会津の避難所では、病院で被爆していないか検査を受けてもらい
被曝していない証明がなければ、避難所に受け入れない状況だったのです。
つまり、福島では、すでに被曝していることは常識になっています。
地震があった翌日の午前中には、福島では、放射能漏れがあったという認識が広まっておりました。
いわきでは、被曝を覚悟で救援活動もやっていると聞いています。
東電の発表と政府の発表には乖離があり、政府の発表は遅いばかりか、
安全を強調する状況の分析ばかりで逆に住民の不安を煽ったことは事実です。
分析は東電に任せて、政府としてはこれから起こる事態を予測し、
自衛隊や地元自治体と連携をはかって、
20キロ、30キロ県外に移動する具体的指示をすべきだったのです。
以上、私の友人S氏(福島県民)の怒りのメッセージでした。
もう一度、整理したいと思います。
東電原発の不手際は、菅直人による人災です。ポイントは以下の通り。
①米軍は、冷却剤を空輸し、原子炉に注入することを提言。
②しかし、東電は、冷却剤注入で原子炉の復旧が難しくなると注入を拒否し、軽水注入での冷却に固守。
③ところが、配管ラインの一部が損傷のため冷却水が十分に供給できず、水位があがらないことが判明。
④そこでやむを得ず、11日未明に政府に蒸気放出の要請を出す。
⑤ところが、菅総理が視察に行くため、政府は蒸気放出をやめるよう指示。
⑥蒸気放出は、結局、菅総理の視察が終わった夜明け以降に実施。
⑦この遅れのため、原子炉外部容器内の圧力が既定値の2倍以上に高まる。
⑧蒸気放出作業は2時過ぎに実施できたが、3時半には爆発事故を起こしてしまう。
⑨東電は、1号機の運用維持をようやく破棄し、廃炉覚悟の海水とホウ酸注入を決定。
(結論)原発事故は、菅のパフォーマンスと東京電力の危機管理より利益を優先させたための人災
そしてその後は、計画停電での混乱、第二、第三、第四原発の建屋の爆発……。
今は、この危機を力を合わせて乗り越えることが大事です。
しかし、
私たち国民は、このようなぜい弱な危機管理体制の政府を決して許してはなりません。
水に流してはいけないと思います。
小島一郎
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