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冷却系の復活焦点

2011年3月20日8時20分

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 今回の地震による福島第一原発の被害では、原子炉が壊れて大量の放射性物質が漏れ出すというのが、最悪シナリオだ。そうならないために水でいかに核燃料を冷やすかがカギになる。水を循環させるポンプのほとんどは電気で動く。外部から大容量の電源確保が欠かせない。電源復旧は事態打開の第一歩だが、今後はシステムがどこまで正常に動くか確かめていかなければならない。

 核燃料は原子炉が停止していても、常に熱を出し続ける。このため、水を循環させて、海水と熱交換して冷やす作業をずっと続けている。そのための機器の動力源は、ほとんどすべてが電気だ。想定を超える今回の地震と津波で、全電源喪失という原発の運転で絶対にあってはならない事態が起きた。

 現在、装置の故障で水の注入ができずに、燃料が熱を持ち、原子炉や使用済み燃料プールの水が蒸発してむき出しになっている状態とみられる。そうすれば、大量の放射性物質が外部に出る恐れがある。現在、特殊放水車などを使って水を注入する異例の方法を試みている。

 送電線とつなぎ、大容量の電気がつながれば、あらゆる方法で大量の水を原子炉や使用済み燃料プールに注入することが期待できる。まず、原子炉建屋の下にある圧力抑制室の水を原子炉に注入し、水で満たすことができる。

 さらに、通常の運転中に原子炉や使用済み燃料プールを冷却するシステムが稼働できる。そうして、原子炉内の水を100度以下にする「冷温停止」の状態に持っていくのが目標だ。

 ただ、問題もある。津波や相次ぐ爆発、火災などで、水を注入するための配管や弁、ポンプなどが破損している恐れがある。現在はその現状把握がほとんどできていないのが実情だ。このため、電源が復旧しても、水を原子炉や使用済み燃料プールに注入したり、循環させたりすることができない可能性がある。

 そうした場合に備えて、東電の対策本部では、壊れたポンプとすぐに取り換えられるように、仮設のポンプを大量に用意。故障した場合には、修理せずに取り換えて早急に復旧できるよう、準備しているという。

 車のように目で見ながら運転できない原発は、水や蒸気の温度、原子炉や配管の圧力、原子炉の水位などを測る計器類で確認しながら運転する。その測定もすべて電気に頼っている。しかし、停電中の福島第一原発では、予備のバッテリーが切れて計測不能だったり、計測が難しくなったりしている。このため、原子炉の状態がよくわかっていないのが実情だ。原子炉の燃料の破損の状況を確かめながら作業を進めていかなければならない。

 電源が復旧すれば、そうした計測が可能になり、原子炉の状態が把握できるようになる。そうすれば、原子炉や使用済み燃料の破損状態なども測定でき、放射線による被害などを想定できる。少ない電気を節約するために、現在は中央操作室も停電させており、夜間の作業を困難にしている。こうした計器類が作動し、照明などがつけば、さらに復旧作業が進む。

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