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地震の危険にさらされる多数の原子炉

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 地震が発生する可能性が高い危険区域に位置する14基を含む何十もの原子炉が世界各国の地震多発地帯で稼動していることが、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査結果で明らかになった。

110317_fukushima1.jpg_image_Col3wide REUTERS

福島第1原発の3号機と4号機(15日)

 これらの多くは日本と台湾にある。天然資源に乏しいこの2つの島国は、海外からのエネルギー輸入に完全に依存するよりも、原子力発電のリスクを取ることを選んだ。

 福島第1原子力発電所の事故が深刻さを増す中、日本と台湾はその判断の見直しを余儀なくされている。東日本沿岸を襲ったマグニチュード(M)9.0の巨大地震とその後の津波により大きな被害と多数の死者が出た4日後の14日に台湾で行われた調査によると、55%の人が自国の原子力施設を信頼できないと回答した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルでは、ロンドンに本部を置く世界原子力協会(WNA)のデータを用いて、世界の原子炉400基以上と、建設中または今後建設が予定されている100基の所在地を調査した。その後、1999年に米国地質調査所とスイス地震局が行った世界地震ハザード評価プログラムのデータと照らし合わせ、それぞれの原子炉における地震リスクを測定した。

 その結果、全体の11%にあたる48基が、中規模以上の地震活動が見られる地域に位置することが判明。福島第1原発もその中に含まれる。また、3%にあたる14基は高危険区域にあり、そのうち10基は海岸線から1マイル以内にあるため、地震と津波両方のリスクにさらされている。

 高危険区域にある14基のうち、日本と台湾にある原子炉は10基。残りは米国に2基、スロベニアとアルメニアにそれぞれ1基、そしてアルメニアではさらに1基の建設が予定されている。

 原子炉は、各地で想定される最大規模の地震にも耐えられる構造になっており、その予測以上の地震が発生した場合に備えて、通常さらなる安全対策が講じられていると原子力産業関係者は言う。福島第1原発も、11日の巨大地震の影響は免れたようが、その後の津波で破損した。

 米原子力エネルギー協会の広報担当者は「我々の原子炉は十分な安全対策を取っている」と話す。

 米原子力規制委員会(NRC)は18日夜、米国で合計104基の原子炉を運営する会社に対して、福島第1原発の現状を初めて公式に説明した。

 その文書では、米国の原発は自然災害や他の非常事態への対策が十分であると国民に安心感を与えるため、当局がここ数年で講じた安全対策にも言及。NRCによると、その中には福島原発で損壊した原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能の復旧に関する取り組みも含まれている。

 米国で稼動する100基以上の原子炉のうち、カリフォルニア中部の沿岸に位置するディアブロキャニオン原子力発電所の2基のみが地震の高危険区域にあたる。同州北部のハンボルトベイ発電所は、地震の懸念により1976年に操業を停止したが、使用済み燃料の一部はまだ敷地内に残されている。

 ディアブロキャニオン原発を運営するパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)の広報担当者は、原子炉は発電所周辺のサンアンドレアス断層の活動によるM7.5の地震にも耐えられる構造になっていると言う。2008年に発見された原発から1マイル以内の断層など、サンアンドレアス断層よりもさらに近くに位置する断層もあるが、それらの地震活動にも耐えられることが検査で明らかになっている。

 しかし科学者は時に地震の規模を過小評価する。先週日本を襲った地震は、福島第1原発が想定していた10倍以上の大きさだった。2007年には、設計者が想定した以上の地震が発生したことにより、世界一の大きさを誇る柏崎刈羽原子力発電所が損傷を受けた。

 日本の反原発団体は長年、運営会社や政府当局者が認識する以上に原発は地震の影響を受けやすいと主張してきた。

 東京の反原発団体、原子力資料情報室は今週、「原発推進派が起こり得ないといっていた原子力事故が今まさに起こっている」との声明を発表した。

 原子力発電に関しては台湾でも議論が絶えない。台湾で稼動する原子炉4基は全て主要断層帯の近くにあり、人口が密集した台北市と新北市付近にさらに2基が建設中である。

 行政院原子能委員会と台湾当局は、すべての原子炉がM7またはそれ以上の規模の地震と、12~15メートルの津波にも耐えられると言う。また、当局と政府系電力会社の台湾電力は、必要に応じて安全性向上のための迅速な措置を講じると述べている。

 専門家は、日本と台湾が原子力発電から脱却するのは難しいという見解を示す。エネルギーコンサルタント会社IHSケンブリッジ・エナジー・リサーチ・アソシエーツ電力担当のマネージングディレクターで台湾出身のジョンリン・ワン氏は「原子力はエネルギー源を多様化し、石油、ガス、石炭の輸入依存度を軽減する手段」と話す。

 確かに、多くの国では地震危険地域以外に原子力発電所を建設するよう努めてきた。

 ミシガン大学のベン・ヴァン・デル・プライム地質学教授は、「主要活断層帯の上に建設されている原子炉はそれほどない」と話す。「日本はおそらくその代表例だ」

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日本版コラム〔3月18日更新〕