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東日本大震災:児童が体験、作文に 「今の気持ち」つづる--山田南小 /岩手

 東日本大震災で沿岸部が壊滅的な被害を受けた山田町で18日、子どもたちが地震や津波の体験を作文に書き始めた。揺れや大津波を「こわくて、泣いてしまった」と振り返りながら「もし、(将来また)大津波が来たら自分の子どもを守りたい」とつづった。発生から1週間を超え、被災地で懸命に生きる子どもたちがいる。

 町立山田南小(佐賀敏子校長、304人)では付近住民ら約630人が避難生活を送っている。高台にある校舎は無事だったが、休校が続き、子どもの心のケアに努める学校は「今の気持ちを書くことは心の安定につながるはず」と考え、作文を書く部屋を校舎2階に設け、数人の児童たちが鉛筆を握った。

 4年生の遠藤香乃(かの)さん(10)は揺れの恐怖を書いた。「校庭に行くときもゆれていたので、こわくて泣いてしまった」。学校近くの武道館で4日間の避難生活を送った後自宅に戻り、「こんな生活がつづくと思うけど、がんばろうと思う」とまとめた。

 津波が自宅近くまで迫ったという4年生の藤原凜(りん)さん(10)は両親と妹、弟の5人暮らしだ。震災当日は車中で一夜を過ごしたという。

 作文では、地震直後「家族のことが一番心配だった」とつづり、「わたしがお母さんになって子どもを産んだら、この大じしんと大津波と火事のことを教えたい。もし、大津波がきたら、子どもを守りたい」とも書いた。

 2人は約1時間をかけ、それぞれ400字詰めの原稿用紙2枚を使い、何度も書き直しながら黙々と書き進めた。自宅に戻れば給水車に水をくみに行くなど、家事の手伝いで忙しい。

 佐賀校長は「子どももつらい体験をしたが、今だから書ける気持ちがある。自分の思いを確かめて、未来への勇気を持ってほしい」と話している。【服部陽、土本匡孝】

毎日新聞 2011年3月20日 地方版

 
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