東日本大震災では、センバツに出場する光星学院の選手の家族も被災、自然の猛威を目の当たりにした。被害状況を踏まえ、「がんばろう!日本」のスローガンのもとに決まった開催。「全力プレーを見せてほしい。下を向かず、やりきってほしい」と話している。
川崎貴之三塁手(3年)の父純孝さん(44)は、岩手県洋野町の海沿いの町で仕事中に携帯電話が鳴った。11日午後3時前、緊急地震速報だった。
直後の揺れは経験したことがないほど大きく、長かった。同僚と共に急いで車に戻り、職場である八戸市鮫町のホテルに帰った。
一帯は停電し、ホテルのロビーには近くの老人ホームの入居者や住民が次々に避難してきた。対応に追われた。
高台から見下ろす太平洋の眺望が自慢のホテル。海に目をやって飛び込んできた光景に息をのんだ。「海が、どす黒い渦を巻いていた」。津波にさらわれた小屋や漁船が流され、渦にのまれて海底へ沈んでいった。
地震後数日は同僚と交代でホテルに泊まり込み、最大40人の避難者の対応に追われた。宿泊客から借りた発電機や結婚式場にあったキャンドルで停電をしのいだ。
被害が大きかった岩手や仙台に知人も多い。近いうちに会食会をする予定だった家族とは、今も連絡が取れないという。
被災地の現況を伝える報道に気持ちが重くなることもある。「(グラウンドに立つことで)勇気と希望を地域の方々に届けられるのではないかとも思う」
遠い空の下で練習に励む息子の活躍を願っている。【三股智子】
毎日新聞 2011年3月20日 地方版