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【社会】

新生児と母に宿泊所 盛岡のNPO「普通の生活」提供

2011年3月20日 09時23分

 東日本大震災の被災者の中には、生まれたばかりの赤ちゃんもいる。避難所で産声を上げた新しい命もある。新生児を自宅で育てられない被災者のため、母子を宿泊施設に受け入れる活動がNPO法人によって始まっている。避難所生活は新生児にとって感染症など命に関わる危険があり、母体への負担も大きい。新たな命を守ろうと市民が動きだした。(坪井千隼)

 「お風呂に入って、いい気持ちになったね」。母親が赤ちゃんにお湯をゆっくりとかける。赤ちゃんも満足そうな表情を浮かべ、うとうとする。

 盛岡市の子育て支援NPO法人「いわて子育てネット」による母親と新生児の受け入れは、市内の宿泊施設の協力を得て17日から始まった。同市は津波で大きな被害を受けた岩手県内の三陸海岸沿いから車で1〜2時間。地震の影響は少ない。

 出産のため、東京都から同県宮古市の実家に帰っていた小林友香さん(28)は地震発生の翌日、市内の病院で長女幸愛(ゆきあ)ちゃんを出産。4日後に退院し、病院の紹介でこの施設に入った。

 実家はほぼ無事だが「断水して粉ミルクなどの入手も難しい。避難所で育てるのも難しい」と小林さん。「ここではちゃんと食事ができて、赤ちゃんをお風呂に入れてやることができる。普通のことだけど、涙が出るぐらいうれしい」と、ほっとした表情を見せた。

 同法人のメンバーで助産師の下川玉枝さん(49)は「避難所は感染症にかかりやすく、新生児には厳しい環境。避難住民が集まる中で母乳をあげるのも難しい」と指摘する。

 最大20組程度の母親と新生児を1週間をめどに受け入れる予定だ。助産師がサポートに当たり、支援者の協力で粉ミルクなど必要な物資も用意されている。

 新生児だけでなく、乳幼児を抱えて避難所での生活が難しい母親の滞在も検討している。両川いずみ事務局長は「行政が本格的に動きだすまでは私たちが担う。1人でも多くの母子を励まし、サポートしたい」と言葉に力を込めた。

(中日新聞)

 

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