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業務核都市として位置づけられ、国際都市としても発展しつづけている川崎市。その中で川崎駅西口地区は、川崎の中核的拠点として、130万都市にふさわしい機能強化とともに土地の高度利用による複合的な都市空間の創出が求められていた。「ミューザ川崎」は、そうした課題を解決するため、駅前の顔にふさわしい賑わいのある「業務と生活文化の核の創造」をテーマに取り組んできた市街地再開発事業である。
建物は、オフィス・コンサートホール・商業施設・駐車場が集積する都市型複合施設であり、27階建てのオフィス棟、2000席のホールを内包するホール棟、7階吹抜のガレリアから構成される。オフィス棟は、高さ約130mの特徴的なデザインをもつタワーであり、「ミューザ川崎セントラルタワー」と名づけられた。
ミューザ川崎セントラルタワーの外観は、川崎駅西口のシティゲートとして都市のランドマークの役割を果たし、かつ周辺中高層住宅とのスケールの融合を図るデザインを目指して、緩やかな曲線を描く横基調のシャープなアルミカーテンウォールと凹凸を持った柱型・梁型による彫りの深いPC版で構成している。
外装においては、施工性、ロングライフ、メンテナンスフリー等を考慮し可能な限りPC化に努め、合わせてディテールの検討を行っていった。
中・高層部の外壁PCパネルは、やわらかいテクスチャーを持った磁器質タイルと開口部のサッシュを工場打ち込みとした。面の構成が複雑なため、型枠ベッド面へのタイル等の上下配置、サッシュの打込み精度を含め、厳しい製品管理のなかで工場製作された。
最頂部は、さらにサッシュ割り込みや金物を細かくすることで上昇感と軽やかさを表現している。低層部は、花崗岩打込みPC版による柱型・梁型で形成され、スパンに合わせた大きめな開口部を持たせている。また、PC版とアルミカーテンウォールの取り合い、化粧金物との取り合い、シングルパラペットとの取り合い、低層部分のバルコニーとの取り合い等複雑な個所については、施工者、PC版設計担当者、他業者を含めた綿密な打合せを繰り返し行い決定された。
株式会社 松田平田設計
西川 東吾
大成建設株式会 社設計本部
上甲 孝