祐太(阿部サダヲ)は、下町の“善人通り商店街”で評判のお総菜屋さん「デリカの山ちゃん」を営む“二代目”だ。しかし彼の生い立ちはちょっぴりワケアリだった。8歳の時に両親が離婚し、究極のダメ男である父・健太(伊原剛志)に連れられて家を出た祐太。しかし、健太は「山ちゃん」の店主、正徳(カンニング竹山)と安江(いしだあゆみ)に祐太を押し付け、店の売り上げ金を持って失踪。祐太は「山ちゃん」の居候として、育てられてきたのだ。
見知らぬ人の中で暮らしていくために祐太が身につけたのは、究極のお人好しに徹する生き方。その甲斐あって、商店街でもそれなりに愛される存在に成長した祐太は、正徳から「山ちゃん」を受け継ぐことに。それから祐太は絶品のハムカツと店に伝わる秘伝のソースを武器に、「山ちゃん」をテレビの取材を受けるほどの人気店に成長させたのだ。
今日も「山ちゃん」には人気お笑い芸人が取材に訪れていた。その芸人とは、「金城ブラザーズ」というお笑いコンビの祐介(瑛太)。相方の大介(塚本高史)とは本当は血のつながりはないが、兄弟漫才を名乗りアイドル的人気を博していた。実は、祐介は健太が家を出た時に母親の祐子(鈴木砂羽)のお腹の中にいた祐太の弟。これまで2人は、互いの顔も知らずに生きてきたのだ。
ある日。「山ちゃん」に、10年前に家を出て以来音信不通だった正徳の一人娘・徹子(竹内結子)が帰ってくる。デブでブサイクだった徹子が想像を超えた美人に成長し、甲斐甲斐しく店を手伝っている姿に、動揺する祐太。幼いころから兄妹のように育ち、亡き正徳から「徹子と結婚して店を継いでほしい」と言われていたこともあって、祐太は勢いで徹子にプロポーズしてしまう! しかし徹子は小学生になる娘・静香(山口愛)と息子・徹平(谷端奏人)を女手ひとつで育てるシングルマザーだった。
先代が自分を実の子同然に育ててくれたように、自分も徹子の子供たちの本当の父親になれるはず、と奮起する祐太。商店街を挙げての結婚パレードを経て、婚姻届をもらいに行った祐太は、自分の戸籍謄本を入手。そして、人気芸人の祐介が実の弟だったことを知る。
巷では、祐介の相方・大介が“金城兄弟”の不幸な生い立ちを綴った嘘満載の自叙伝がベストセラーになっていた。祐太は弟に会いたい一心で祐介を訪ねるが、祐介にとって実の兄の存在は商売の邪魔でしかなく、祐太は冷たく追い払われる羽目に。しかし自らの思いに踏ん切りをつけることができない祐介は、今度は自分から祐太のもとへ。そこで祐太に引導を渡すつもりが、逆に甘ったれた性格を徹子から指摘され、また祐太が笑顔の影で必死に家族を作ろうともがいている姿を目の当たりにする。徹子と結婚した後も自分の本当の居場所を探し続けている祐太は、子供たちから「お父さん」と呼んでもらえないことに傷ついていたのだ。
そんな中、健太が祐介のもとに突然現れる。どうしたらいいかわからずに、祐太に連絡する祐介。祐太は自分の家に祐介と健太を招き、一緒に食卓を囲むことになるのだが…。
健太との再会を機に、それぞれの“家族”と真正面から向き合うことになる祐太と祐介。誰よりも真っすぐに一生懸命生きてきた祐太は、本当の家族を手に入れるためにますます奮闘。そして祐介は実の兄である祐太と仕事上の兄である大介との関係を見つめ直し、自らの生きる道を探すことに。本当の家族の愛情を求めて生きてきた兄弟が、最終的に導き出す結論とは?