なくもんか

なくもんか

どこにでもある平凡な幸せを手に入れるため…日本一のお人好し男が繰り広げる人情喜劇

主演・阿部サダヲ×脚本・宮藤官九郎が放つコメディ全開のド直球ホームドラマ

なくもんか 宮藤官九郎脚本、阿部サダヲ主演、水田伸生監督。大ヒットコメディ映画「舞妓Haaaan!!!」の強力タッグが、共演に瑛太&竹内結子を迎えて送る、“家族”をテーマにしたハチャメチャコメディ。笑って泣ける、懐かしくも新しいホームドラマの登場だ!

阿部サダヲ演じる主人公の祐太、通称“山ちゃん”は、ハムカツが人気の総菜店「山ちゃん」の二代目店主。血のつながらない先代の店主から店を継いだ彼は、秘伝の味を忠実に守り続ける生真面目さと、人からの頼まれごとを決して断らない究極の八方美人ぶりで、商店街で愛され(重宝され)ている。彼には生まれてから一度も会ったことのない弟・祐介(瑛太)がいた。お笑いの道を志した祐介は、相方の大介(塚本高史)を兄と偽り、兄弟漫才師として大ブレイク中。10年間音信不通だった「山ちゃん」初代店主の一人娘、徹子(竹内結子)と結婚した祐太は、弟の存在を知り、祐介に会いに行くのだが…。

物語の核となるのは3組の家族。1組目は祐太と祐介という一度も会ったことのない兄弟と、彼らの両親(伊原剛志・鈴木砂羽)。2組目は「山ちゃん」で暮らす祐太と徹子、徹子の母(いしだあゆみ)と徹子の連れ子という、祐太にとっての新しい家族。そして3組目は、祐介とお笑いコンビ「金城ブラザーズ」を結成した大介との偽家族。家族の愛情を知らずに生きてきた兄と弟が、それぞれに理想の家族を追い求め、お互いを家族として受け入れるまで。宮藤脚本らしいリアルでパワフルなセリフが散りばめられた、軽妙なタッチの展開から浮き彫りになるのは、兄弟の不器用すぎる生き様。中でも秀逸なのが祐太と祐介、彼らの父親、そして徹子の母子三代が、小さなちゃぶ台を囲んですき焼きを食べるシーン。食卓に笑顔はなく、食事もまったく進まない。それでも、「淡々と飯を食うのが本当の家族」とその空気ごと肯定しようとする祐太。どんな時でも他人のために自分を犠牲にして働き、笑顔を絶やさなかった祐太の、憧れてやまなかった家族への思いが溢れだし、思わずウルウルしてしまう。

なくもんか “バカ”がつくほど突き抜けたお人好しで、常にフルスロットルで行動している祐太を演じるのは阿部サダヲ。全編を貫くコミカルな演技はもちろんのこと、笑顔の後ろに隠された祐太の心の闇、そして思いがけない“別の顔”まで。植木等などの昭和のコメディ映画を思わせる、軽快な演技で突っ走る。宮藤脚本初挑戦となる瑛太は、コメディアンとして大舞台での漫才と捨て身の“すべり芸”を披露。また、落ち着いた印象のヒロイン・徹子を演じる竹内結子も、妄想を次第に暴走させていき、予想外の“困ったちゃん”ぶりを見せてくれる。ほか、宮藤印の個性派共演陣の中で、いしだあゆみが新境地に挑戦しているのも見逃せない!

物語の舞台となるゴチャゴチャとした昭和の雰囲気漂う商店街にも、隅々までネタが仕込まれているから要注意。商店街の人間関係には監督が独自に考えた裏設定もあるそうで、何度観ても新たな発見が訪れるはず。

阿部サダヲのスピード感あふれる演技に大笑いしているうち、気付けば心がほんのりと温かくなっている。家族の温かさと、そこに付きまとうほんの少しの面倒くささをストレートに描いた、ハートウォーミング・コメディ。家族で過ごす週末がちょっぴり楽しみになる秀作だ。

辛い時、やりきれない時こそ笑顔を絶やさない哀しいほど能天気な男が手に入れた本当の家族

なくもんか 祐太(阿部サダヲ)は、下町の“善人通り商店街”で評判のお総菜屋さん「デリカの山ちゃん」を営む“二代目”だ。しかし彼の生い立ちはちょっぴりワケアリだった。8歳の時に両親が離婚し、究極のダメ男である父・健太(伊原剛志)に連れられて家を出た祐太。しかし、健太は「山ちゃん」の店主、正徳(カンニング竹山)と安江(いしだあゆみ)に祐太を押し付け、店の売り上げ金を持って失踪。祐太は「山ちゃん」の居候として、育てられてきたのだ。

見知らぬ人の中で暮らしていくために祐太が身につけたのは、究極のお人好しに徹する生き方。その甲斐あって、商店街でもそれなりに愛される存在に成長した祐太は、正徳から「山ちゃん」を受け継ぐことに。それから祐太は絶品のハムカツと店に伝わる秘伝のソースを武器に、「山ちゃん」をテレビの取材を受けるほどの人気店に成長させたのだ。

今日も「山ちゃん」には人気お笑い芸人が取材に訪れていた。その芸人とは、「金城ブラザーズ」というお笑いコンビの祐介(瑛太)。相方の大介(塚本高史)とは本当は血のつながりはないが、兄弟漫才を名乗りアイドル的人気を博していた。実は、祐介は健太が家を出た時に母親の祐子(鈴木砂羽)のお腹の中にいた祐太の弟。これまで2人は、互いの顔も知らずに生きてきたのだ。

ある日。「山ちゃん」に、10年前に家を出て以来音信不通だった正徳の一人娘・徹子(竹内結子)が帰ってくる。デブでブサイクだった徹子が想像を超えた美人に成長し、甲斐甲斐しく店を手伝っている姿に、動揺する祐太。幼いころから兄妹のように育ち、亡き正徳から「徹子と結婚して店を継いでほしい」と言われていたこともあって、祐太は勢いで徹子にプロポーズしてしまう! しかし徹子は小学生になる娘・静香(山口愛)と息子・徹平(谷端奏人)を女手ひとつで育てるシングルマザーだった。

なくもんか 先代が自分を実の子同然に育ててくれたように、自分も徹子の子供たちの本当の父親になれるはず、と奮起する祐太。商店街を挙げての結婚パレードを経て、婚姻届をもらいに行った祐太は、自分の戸籍謄本を入手。そして、人気芸人の祐介が実の弟だったことを知る。

巷では、祐介の相方・大介が“金城兄弟”の不幸な生い立ちを綴った嘘満載の自叙伝がベストセラーになっていた。祐太は弟に会いたい一心で祐介を訪ねるが、祐介にとって実の兄の存在は商売の邪魔でしかなく、祐太は冷たく追い払われる羽目に。しかし自らの思いに踏ん切りをつけることができない祐介は、今度は自分から祐太のもとへ。そこで祐太に引導を渡すつもりが、逆に甘ったれた性格を徹子から指摘され、また祐太が笑顔の影で必死に家族を作ろうともがいている姿を目の当たりにする。徹子と結婚した後も自分の本当の居場所を探し続けている祐太は、子供たちから「お父さん」と呼んでもらえないことに傷ついていたのだ。

そんな中、健太が祐介のもとに突然現れる。どうしたらいいかわからずに、祐太に連絡する祐介。祐太は自分の家に祐介と健太を招き、一緒に食卓を囲むことになるのだが…。

健太との再会を機に、それぞれの“家族”と真正面から向き合うことになる祐太と祐介。誰よりも真っすぐに一生懸命生きてきた祐太は、本当の家族を手に入れるためにますます奮闘。そして祐介は実の兄である祐太と仕事上の兄である大介との関係を見つめ直し、自らの生きる道を探すことに。本当の家族の愛情を求めて生きてきた兄弟が、最終的に導き出す結論とは?

なくもんか

キャスト

<下井草祐太>
阿部サダヲ
<下井草祐介>
瑛太
<山岸徹子>
竹内結子
<金城大介>
塚本高史
<山岸安江>
いしだあゆみ
<桂谷壮一郎>
陣内孝則
<下井草健太>
伊原剛志
<トシちゃん>
皆川猿時
<みどり>
片桐はいり
<下井草祐子>
鈴木砂羽
<山岸正徳>
カンニング竹山
<桜井>
煖エジョージ
<ボーダーシャツの男>
藤村俊二
<中やん>
小倉一郎
<加々美昌弘>
光石研
<山岸静香>
山口愛
<山岸徹平>
谷端奏人
<下井草祐介(小学生)>
加藤清史郎
<下井草祐太(小学生)>
平野心暖

スタッフ

<監督>
水田伸生
<脚本>
宮藤官九郎
<撮影>
中山光一
<照明>
市川徳充
<美術>
清水剛
<録音>
鶴巻仁
<VFXスーパーバイザー>
小田一生
<監督補>
相沢淳
<スタイリスト>
宮本茉莉
<ヘアメイク>
中村洋子
<フードコーディネーター>
宮田清美
<音楽>
岩代太郎
<主題歌>
いきものがかり「なくもんか」
(Epic Records Japan)