東日本巨大地震:日本製部品の供給中断、世界に影響(下)
18日に減産に入ったルノーサムスンも事情は同じだ。減産の直接原因となった部品はウォーターポンプで、生産元はカナダ系のマグナ・パワートレインだ。しかし、ウォーターポンプに付属するメカニカルシールは日本企業が生産している。
トヨタ系自動車部品メーカー、デンソーの韓国総代理店、ディーゼルサービス・コリアのノ・ヨンチョル社長は「地震の被害が深刻な岩手、福島、茨城の各県に自動車部品工場が集中している。これら企業が生産する小さな部品(の生産中断)が、より大きな部品を生産する各国企業に連鎖的な影響を与えている」と指摘した。事態の深刻さは、ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)が「部品供給網が完全に崩壊した」と語るほどだ。
■電子・鉄鋼も在庫確保困難に
電子業界も素材の確保に支障が生じている。特に日立化成工業が世界シェアの90%以上を占める液晶パネル用の異方性導電フィルム(ACF)が問題だ。サムスン電子、LGディスプレーもACFを日立化成からの輸入に100%依存している。日立化成は福島、茨城両県の工場が地震や原発事故の影響で操業がストップしている状況だ。
電子部品に必須の積層セラミックコンデンサー(MLCC)を生産する村田製作所、TDKは、電力供給の問題で工場の操業を一時中断している。台湾メーカーが生産するMLCCが中低価格の製品に使用されるのに対し、日本メーカーの製品は携帯電話端末、ノートパソコン、テレビなどに使われる高価格のMLCCを生産している。台湾のノートパソコンメーカーは現在、代わりの調達先を確保するのに苦慮している。
半導体や液晶用の露光装置を生産するニコンも宮城、栃木両県にある工場が操業を中断している。韓国、米国、欧州などのスマートフォン(多機能携帯電話端末)メーカーは、ニコンの操業再開状況を踏まえ、生産量を調整しなければならない状況だ。
日本は鉄鋼の生産量が世界の8%にすぎないが、自動車、電子部品などに使われる高級鋼材を生産している。このため、欧州、インドの自動車メーカーは日本からの自動車用鋼板の輸入に影響が出るものと予想される。
金熙燮(キム・ヒソプ)記者