oreoreoreoreの日記

2008-08-15

[]不動産会社各社の財務諸表を見てみるエントリー

倒産会社の財務諸表を見てみるエントリー - oreoreoreoreの日記というエントリーで、今年最大規模の倒産と言われているアーバンコーポレーションの財務諸表を見ました。

僕も、不動産会社については不勉強だったので、すさまじい棚卸資産に驚愕して、「これ、業界だと普通なのかな??」って疑問を持ったんで、他の有名不動産会社の財務諸表も勉強してみることにしました。


不動産会社に詳しくないんで、思いっきり先入観なんですが、東証1部で大手を選んで、7社ぐらいのCF計算書を見てみました。


三井不動産

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三菱地所

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野村不動産ホールディングス

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住友不動産

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東急不動産

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藤和不動産

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東京建物

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どんな感じでしょうね。個人的には、「うーん、厳しそうだな」みたいな感想です。三井不動産はさすがでございます、って感じですかね。全然詳しくないですが、三井不動産はやっぱ最大手なんですかね。


この中で、三井不動産ベンチマーク的に使えそうだなってことでピックアップするとして、儲かってそうなところとそうじゃないところを見た方が良さそうなので、結局、東急不動産藤和不動産、東京建物を見てみることにしました。


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三井不動産ベンチマーク的に見るとして、アーバンコーポがどんな具合だったのかも見たいので、一番上に見ることにします。で、今回の目的は、前回疑問に思った棚卸資産の具合ですので、普段、こういう指標は無いと思いますが、あえて思いつきで、「棚卸資産/売上高」の比率も見てみようと思いました。


三井不動産は、業績もそれほど悪くないので、この棚卸資産の比率は、標準なんでしょうね。年間売上高の半分を棚卸資産として保有しているってのは、他の業種からしたらすごい気がしますが、なんてったって不動産会社ですからね。ただ、そうして見てみると、このアーバンコーポの棚卸資産はすさまじいですね、やっぱ。


この前もちょっと触れましたが、なんで経常利益率を見ているかというと、不動産会社って、たぶん、他の業種より、借入金への依存が大きいと思うんですよ(検証してなくて想像だけど)。扱う金額が大きいから。なので、財務健全性を見るには、利息支払後を見た方がわかりやすいかなって思って、営業利益じゃなくて、経常利益で見てます。


で、さらに言うと、ここまであえて触れませんでしたが、販売部門がどのぐらいの比率かも見てません。ひょっとしたら、デベロッパー事業とかの割合は全然違うかもしれない。ただ、こうして見る限り、経常利益率は似ているので、それほど影響無いような気がしますが、一応、そこには触れておきます。不動産販売がどのくらいの事業比率かは無視しています。


で、その上で見てみると、アーバンコーポレーションの経常利益率って高すぎじゃないですかね??価格が強気だったのか、そこらへん調べてないから、数字だけでの判断ですが、利益率を追求したのかな?でも、それで売れ残るってのは、経営判断上のミスなんじゃないかと、この数字を見る限りは思ってしまいます。


あとは、これで見ると、藤和不動産、ちょっときてるなあって感じですかね。年間売上高に匹敵する在庫を抱えるってのは、うーむ、って感じでしょうね。




というわけで、次は、CF計算書の一部を見てみることにしました。



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どうでしょうか。三井不動産は、売上も利益も営業CFも伸びててすげーなあって感じですが、こうして比較してみると、アーバンコーポレーションの営業CFはすごいなあって思いますね。だって、三井不動産のちょうど逆ぐらいですからね。売上は、一方は千億、一方は一兆円だっていうのに、キャッシュ・インフローとキャッシュ・アウトフローが一緒ですからね。そりゃ、つぶれるだろっていう。


営業CFっていうのは、つまり、本業で、どれだけお金が入って減って最終的に1年間でどうなったかっていうお話しなんですが、これを、P/Lとくっつけてみると、どうなるでしょうか??



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こうして見てみると、必ずしも、P/Lの業績と一致していないことがわかると思います。営業CFの項目を細かく見ていくと、原因がわかるんですが、例えば、不動産の評価損とかは、P/L上、損失になるわけですが、お金は出て行かないわけです。そうやって、少しずつ、ズレが生じていきます。


ただ、どうでしょう??なんとなくしかわからなくても、こうして、主要な項目だけ抜き出してみると、倒産の原因っていうか、倒産するだろうなあって、見えてきますよね。結果論だからわかるっていうのもありますが、不動産会社で、こうして棚卸資産が増えまくって、かつ、営業CFが右肩下がりっていうのは非常にわかりやすい。研究事例として、非常に勉強になります。


結局、営業CFがマイナスになるってことは、そのままやってたら、お金が足りなくなるわけです。なので、借入金でまかなったり、社債を発行したりして資金調達するわけです。で、営業だけじゃなくて、設備投資もしないといけないから、投資CFがマイナスになるわけですね。


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これは、最初に見てみた三井不動産CF計算書ですが、

97,762 + 276,136 = 373,898 ← 営業+財務

373,898 − 392,160 = ▲18,262 ← キャッシュは合計で減った

というかたちで、営業で入ってきたお金に借入金を足して、設備投資をしたり、お金を貸したり、有価証券を買ったり、という感じになります(大雑把に言ってます)。


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というのを見た上で、前回のアーバンコーポレーションのCF計算書ですが、やればやるほど、本業のキャッシュ・アウトフローが増えていって、それを借入金でまかなうものの、最終的に、それでも足りないし、ましてや、在庫のレベルは三井不動産級っていう。不動産市場が良かったとは言え、お金を貸した方もすげー度胸だな、って個人的には思います。4年間見ただけで、営業CFがずっと▲ですからね。



そんなわけで、不動産会社の財務諸表を少しだけ見てみるエントリーでした。おかげさまで、今まで見ていなかった分野の勉強になりました。ありがとうございました。


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