2011年1月21日
地元では魔法の水と呼ばれているという「白山命水」 |
鳥取県倉吉市内で湧いている天然還元水「白山命水(はくさんめいすい)」に、肝臓内の脂肪を減少させ、脂肪肝の症状を軽くする効果のあることが、鳥取大大学院医学系研究科の汐田剛史(しおた・ごうし)教授のマウス実験による研究結果で明らかになった。20日に県庁で発表した汐田教授は「脂肪肝は肝硬変や肝がんの原因にもなる。身近にある水に効果があることが分かり、非常に驚いている」と語った。
汐田教授はマウス20匹を使って実験。業者が製造しているバランスのとれた通常の食べ物を与えたマウス、ココアバターを使いコレステロール値の高い食事を与えたマウスに分け、それぞれに水道水と天然還元水を3カ月間与えた。3カ月後、マウスの肝臓を取り出して分析した。
通常の食べ物を与えたマウスは、どちらの水を飲んでも脂肪酸や総コレステロールの数値に違いはほとんどなかった。一方、コレステロール値の高い食事をした場合、天然還元水を飲んだマウスの方が脂肪酸や総コレステロール、中性脂肪とも、水道水を飲んだマウスに比べ、数値が半減したという。
汐田教授は、酸化の強さを示す酸化還元電位が一般的な水道水で500〜700ミリボルトなのに対し、天然還元水はマイナス220ミリボルトと低いのが要因と指摘。その結果、肝臓内の脂肪酸を分解する酵素と、コレステロールを肝臓から排出する酵素の活動が活発化し、脂肪肝を改善したとみている。
今後、ヒトへの効果を分析する研究に取り組む予定。汐田教授は「通常の食事をしていれば問題ないが、コレステロール値が高いむちゃな食事をする人には、かなりの効果があると想定される」と話した。
「白山命水」は、ミネラルウオーター製造会社の白山(倉吉市蔵内)が温泉を掘った際に掘り当てたという。地元で「魔法の水」と呼ばれ好評だったため、03年4月から市販。酸化還元電位が低い天然水のことを、天然還元水と呼んでいるという。(倉富竜太)