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きょうのコラム「時鐘」 2011年3月19日
被災者への伝言を読んでいたラジオ番組の女性アナウンサーが突然、涙声になった。こらえていたものがこみ上げたのだろう。発声に正確さは欠いたが、深い共感が残った
菅首相は、震災直後の会見で涙目になったように見えたが、その後、東京電力に乗り込んでどなり散らしたという。「冷静に」と国民に訴える立場の人は人一倍の冷静さが必要であり、感情むき出しでは困る 首相は周囲の慎重論を押し切ってヘリで福島原発も視察した。「現場主義」を貫いたとの評価もあったが、視察後に「危機的状況にはならないのでは」と語ったことが、後の見通しに影響を与えたとの声もある 不眠不休で必死の対応にあたっているのを疑うつもりはない。現場主義の大切さも理解できる。が、菅首相の場合は、かつてのカイワレ試食や昨年末の水田視察などのパフォーマンスを思い出させる。防災服姿と農村視察時のアノラック姿がダブって見える 首相の顔色、感情、行動の一つ一つが今は大きな意味を持っている。昨夜の会見でも、記者ではなく被災者に向かってしっかり目を見開き、心に訴える言葉がほしかった。 |