新垣あやせは死んでいた。
人気のない公園の片隅で、朝露にぬれる下草の影に隠れるように。
発育のよい均整の取れた身体は力なく投げ出され、艶やかな黒髪は泥にまみれていた。
きっちりと結ばれていた襟元のスカーフはだらしなく緩み、
乱れたことのなかったスカートの裾からは、真っ白な太ももがあられもなくはみ出していた。
そこにあるのは、明らかな暴力と冒涜の跡形。
そう。
新垣あやせは殺された。
妹たちの夜(まいたちのよる)
― あらすじ ―
オタクな友達、黒猫がノベルゲームを作成した。
実在の人物を登場人物にした、というふれこみだけでも嫌な予感しかしないのに、そのうえ推理モノだって!?
ひとつの与えられた状況に対し、いくつの異なる回答を用意できるのか。
マルチエンディングAVG風小説。
― 主な登場人物 ―
高坂京介:本編の主人公。高校3年生。俺。
高坂桐乃:京介の妹。HNきりりん。中学3年生。
黒 猫:本名・五更瑠璃。高校1年生。京介の友人兼後輩。
沙 織:本名・槇島沙織。高校1年生。ぐるぐる眼鏡の巨女。
新垣あやせ:桐乃の親友。中学3年生。被害者。
田村麻奈実:京介の幼馴染。高校3年生。
赤城浩平:京介の級友。高校3年生。
赤城瀬菜:京介の後輩。浩平の妹。高校1年生。
高坂大介:京介の父。警察。
― 注 ―
冒頭に描写してある通り、『作中作』での出来事とはいえ、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の登場人物が殺されたり、逆に犯人として他のキャラクターを殺した、といった描写があります。
そういった描写が苦手・許容できない、という方は注意して読み進めてください。